アメリカがイランへ行う4つの追加制裁

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月27日放送)に国際政治学者の高橋和夫が出演。アメリカのイランへの追加制裁の内容と日本の立ち位置について解説した。

トランプ大統領がイランへの追加経済制裁を表明

アメリカのトランプ大統領はニューヨークの国連総会で演説し、イランを「腐敗した独裁体制」と批判。追加制裁を表明した。一方イランのロウハニ大統領は、「アメリカがイラン制裁を再開して経済戦争を仕掛けている」として、「アメリカのアプローチは失敗に終わる」と牽制した。

飯田)トランプさんは35分演説しましたが、その多くをイラン批判に費やしたそうです。イランに対しての制裁ですが、核合意からも離脱して、ガンガンいっている感じですね。

高橋)1つは、アメリカ自身がイランに対する制裁をする。アメリカの企業はイランと経済的な付き合いができなくなります。
2つ目は、イランと付き合いのある企業はアメリカへ入れない。例えばイランに自動車を輸出する日本企業は、アメリカで自動車を売れなくなる。これでヨーロッパや日本の企業は参ってしまったのです。
加えて、3つ目は金融制裁です。アメリカはドルを動かしていますから、銀行のドル決済はアメリカ経由で行います。「イランの銀行と付き合うような銀行は、ここから出ていけ」です。イランにお金を出し入れすると銀行はドルで商売ができなくなるので、イランとの付き合いを止める。その結果、イランを締め付けていく。
最後に4つ目です。イランは石油輸出で食べている国ですが、「イランから石油を買うのは止めてくれ。イランの輸出量をゼロまで追いつめる」と言っているのです。こうした制裁を「実質11月5日からスタートする」と言っています。そして、11月6日はアメリカ中間選挙です。あまりに露骨な気もしますが、よく分かる制裁ですね。

飯田)前日に制裁をかけて、「やったぞ!」と見せつけるということですね。

日本はパレスチナ問題に積極的にかかわる姿勢を示している

飯田)トルコの銀行などがそうですが、金融制裁の部分で困っている周りの国も多いのでは?

高橋)例えばインドでは「ドルが使えないからルピーで払います」と言っていますが、イランとしてもルピーを貰ってインドで紅茶ばかり買うわけにはいかないですから。使い勝手が悪いですよね。中国は「元で払う」です。イラン人は「円、ドル、ユーロなどで貰いたい」と思うけれど、貰える通貨で貰うしかない。そうすると、イランをどんどん中国の方へ追いやってしまいます。日本の外務省などは、「イランは問題があるかもしれないけれど、大の大人(アメリカ)が先頭に立っていじめる国ではないだろう」としています。「重要なのは中国だから、もう少し中国の問題に関わって下さい」と一生懸命言っているのですが、トランプさんはなかなか聞いて下さらない。
今回、安倍さんはよく「トランプさんにべったり」と言われていますが、ロウハニ大統領ともしっかり会談していますし、演説のなかでパレスチナ問題について、「ガザ地区から小中学校教師を日本に呼びたい」と言っています。明らかにトランプさんと温度差が違い、日本はパレスチナ問題に積極的に関わる姿勢を示しています。そこは安倍さんや外務省は頑張っていると思います。

評価できる安倍総理のスピーチ内容

飯田)あの演説も大局的な、地政学的なことを言っているなかで、「ガザの教師を呼ぶ」という話だけ、ものすごくミクロな話でした。総理自身も思い入れが強いようですね。

高橋)総理のスピーチ原稿を誰が書いているかの問題ですが、ああいう人間のドキュメント、ストーリーがある方が、聞く人に訴えるというのをスピーチライターの方が意識して、必ずああいう場面を入れています。その意味では、日本の歴代総理のスピーチのなかでは、安倍さんはスピーチ上手になったと思うし、スピーチそのものも、よく書けています。これまでは官僚が書いていて、コンセンサスで面白くないスピーチでした。最近は好き嫌いはあっても印象に残るスピーチですよね。安倍外交はその面では評価されるべきだと思います。

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