絵画と映画でフェルメールの世界に酔いしれる
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第491回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、10月6日公開の『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』を掘り起こします。
ある肖像画に秘められた、禁断の愛の物語
10月5日から上野の森美術館で開催される「フェルメール展」。オランダ絵画黄金時代の巨匠であるヨハネス・フェルメールは国内外で不動の人気を誇る画家のひとりで、現存する作品はわずか35点とも言われています。そのなかから「牛乳を注ぐ女」をはじめとする代表的な9点が一堂に会する本展は、“日本美術展史上最大のフェルメール展”だと大きな話題になっています。
フェルメール絵画の魅力は、その写実的な技法。光の粒子までをも捉えた独特の質感は“光の魔術師”と称されるフェルメールならではのもので、ミステリアスさえ漂います。
そんなフェルメールの世界を小説にしたい! と願った作家が書き上げた、世界的ベストセラー小説が映画化されました。
『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』は、17世紀オランダが舞台。チューリップが高値で取引された世界最古の経済バブル、“チューリップ・フィーバー”を背景に、修道院で育った若い女ソフィアと年の離れた夫で裕福な商人コルネリス、夫婦の肖像画を描く若き画家ヤンの運命が交差する様子を描いたラブストーリー。
まるでフェルメールの絵画から抜け出してきたような登場人物たちが、美しくも激しい愛の顛末を展開しています。
ソフィアを演じるアリシア・ヴィキャンデルが「真珠の耳飾りの少女」をオマージュした衣装や“フェルメール・ブルー”のドレスをまとう姿。「手紙を書く夫人と召使い」を彷彿とさせる、ヒロインと女中マリアとの危険な共犯関係。薄暗い室内に差し込む“光”。
全編にわたってフェルメール絵画を読み解くうえでのキーワードが散りばめられ、フェルメール好きにとってはたまらない1作となっています。この秋は美術展と映画から、フェルメールの世界を堪能してみてはいかが。
チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛
2018年10月6日から新宿バルト9ほか全国ロードショー
監督:ジャスティン・チャドウィック
原作・脚本:デボラ・モガー 脚本:トム・ストッパード
製作:アリソン・オーウェン
出演:アリシア・ヴィキャンデル、デイン・デハーン、ジュディ・デンチ、クリストフ・ヴァルツ ほか
©2017 TULIP FEVER FILMS LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト http://tulip-movie.com/フェルメール展
【東京展】
会期:2018年10月5日(金)~2019年2月3日(日)
会場:上野の森美術館
産経新聞創刊85周年・フジテレビ開局60周年記念事業
【大阪展】
会期:2019年2月16日(土)~2019年5月12日(日)
会場:大阪市立美術館
(産経新聞創刊85周年・関西テレビ放送開局60周年記念事業)
公式サイト https://www.vermeer.jp
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/