「アンタ方が知らんだけでね。オレだって有名なんだよ」~1980年の全米オープンでの青木功の名言

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偉人の歴史に残る場面での名言を取り上げる 「高嶋ひでたけと里崎智也サタデーバッテリートーク」の“名言名場面プレイバック”。1月19日放送では、超一流プロゴルファーたちの名言を紹介した。


まずは、“世界のAOKI”、青木功選手。こんな名言を残しています。

「アンタ方が知らんだけでね。オレだって有名なんだよ」(青木功)

この意外と知られていない発言は、いまから39年前の1980年、「バルタスロールの死闘」と呼ばれた全米オープンの記者会見で飛び出した言葉です。この胸のすくような名言が発せられるまでの経緯を振り返りましょう。
青木さんは、初日から「帝王」ジャック・ニクラウスと激しいトップ争いを演じまして、3日目終了時点で、ついに6アンダーのトップタイに並びました。当時のニクラウスは自他ともに認める世界一のゴルファー。かたや青木さんは、日本では活躍していたものの、アメリカでは全く無名の存在でした。そして迎えた、最終日スタート直前の記者会見。アメリカの記者が「かなりの上から目線」で、青木さんにこう質問したのです。
「アナタはスゴイですね。あの有名なニクラウスと闘えて、さぞ嬉しいでしょう?」
すると青木功… ニコリともせず、こう答えたのです。
「アンタ方が知らんだけでね。オレだって有名なんだよ」
さすが世界のAOKI。これくらいの気概がないと、とても世界とは渡り合えません。実際、この最終日でも、青木さんは全く気後れすることなくニクラウスと渡り合いました。惜しくも惜敗しましたが、最終日の18ホール、最後の1打まで勝負がもつれこむほど、文字通りの「大死闘」でした。

続いては、青木さんと死闘を演じた「帝王」ジャック・ニクラウスの名言です。ニクラウスは、ゴルフ道具を大切に扱う選手としてつとに有名でした。特に愛用していたのが「George Low Wizard 600 Sportsman」、通称「ジャックのスポーツマン」と呼ばれた愛用のパター。ニクラウスはメジャーで通算18勝をマークしていますが、そのうちの16勝は、この「スポーツマン」が使われていた… それだけ、名器中の名器でした。
もちろん、青木さんとの「バルタスロールの死闘」で用いられたのも「スポーツマン」です。さて、1977年、全盛期にあったニクラウスが来日したときのこと。某名門ゴルフ場で、なんとなんと…この「ジャックのスポーツマン」が何者かに盗まれるという事件が発生! ニクラウスを招いた主催者はもちろんのこと、スポーツ記者たちも、上を下への大騒ぎ。
「ニクラウスのパターが盗難に遭った」というニュースはすぐさま世界中に打電されました。
さぁ、このとき… 苦楽を共にしてきた愛用のパターが盗まれたニウクラウスは、何と言ったか?

「私が失ったのは、パターだけだ。ただの道具だ。なんということはない。だが… 盗んでしまった者は、心の中にある、もっと大事なものを失ったはずだ。私は、彼が…あるいは彼女が、今後どんな気持ちで人生を送るかの方が心配だ」(ジャック・ニクラウス)

この話には続きがあります。
翌日、目を真っ赤に泣き腫らしたひとりの若者が、パターを返しに来たのです。彼は大のニクラウスファンでして、ほんの出来心で盗んでしまったのですが… ニクラウスの言葉を聞いて、いてもたってもいられず、返しに来たのです!

ニクラウスで、もうひとつ名言を。
これは、ちょっと珍しい「ひとりごとの名言」です。1986年、マスターズ・トーナメントの直前のこと。この時点でニクラウス、すでに46歳。新聞は「ニクラウスはもう終わった」と書き立てました。ニクラウスは、この記事を自宅の外のテラスで読んでいました。かたわらで見つめる奥さんは、「怒り出すんじゃないかしら」とヒヤヒヤしています。ところがこのとき…。
ニクラウスは、ニヤリとしながら新聞をゆっくりと畳みつつ… こうつぶやいたのです。

「終わっただって? よし、確かめてみようじゃないか」(ジャック・ニクラウス)

中傷めいた記事が、誇り高き老雄の魂に火を点けました。史上最年長、46歳にして、ニクラウスはマスターズを制覇したのです。

続いては、ニクラウスの後継者、タイガー・ウッズの名言です。
例の「大不倫スキャンダル」で、ウッズは世界中から大バッシングを受けました。その後、持病の腰痛も小康状態となり、ゴルフでも目鼻が立ち始めた頃。ウッズのこんなセリフがいろいろなメディアに紹介されました。

「僕は、ヘイトレター(※悪口を書き連ねた手紙)をぜんぶ捨てずに取っておいた。そして、壁に貼って、ことあるごとに読み返し、なにくそ、負けるもんかと、逆にゴルフのエネルギーへ転化したんだ」(タイガー・ウッズ)

さすがウッズと思うでしょう。
でも…実は、ウッズがヘイトレターを部屋に貼り始めたのは、この頃のことではないのです。はるか昔… ジュニア選手の頃から、ウッズのもとには口に出すのもはばかられるような、人種差別的な罵詈雑言が書かれたヘイトレターが届けられていたのです。そして、タイガー・ウッズはジュニアの頃からそうした手紙を壁に貼って、心を奮い立たせていました。栴檀は双葉より芳し。さすがタイガー、モノが違う、ハナから精神力が違います!

最後は、やはりこの人。日本にゴルフブームを根付かせた、「ジャンボ尾崎」の名言を…。

「100を切るのに、趣味を捨てた。90を切るのに、仕事を捨てた。80を切るのに、家族を捨てた。70を切ったら、全てが返ってきた」(ジャンボ尾崎)

ゴルフを少しでもかじったことがある方なら、ジンとくること請け合いです。ゴルフは、人生そのものなのです。

高嶋ひでたけと里崎智也 サタデーバッテリートーク
FM93AM1242ニッポン放送 土曜18:00-20:30

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