光通信速度の転落は日本の技術力の低下が原因か
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ニッポン放送「須田慎一郎のOK! Cozy up!」(2月18日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。日本の光通信速度の転落について解説した。
日本の光通信速度23位に転落
日本経済新聞が各国の光回線など高速固定通信の速度を調べたところ、日本は7位から23位に転落したことが分かった。大容量の動画が普及する一方で設備の増強が追いつかず、夜は東南アジア主要国より遅いという状況となっている。
新行)こちらは土曜日の日経新聞の一面に掲載された、日本の通信環境が悪化しているという記事です。OECDの36ヵ国中、日本は2015年では7位だったのですが、2018年は23位に転落したということなのですね。
須田)なかなか報道などでは出て来ないのですが、ポイントは2つあると思います。1つは、日本の通信事業者があまり投資をしなくなって来ている。その投資金額も外国と比べて少ないということです。もう1つは日本発の技術革新だとか、技術開発がなかなか進んで行かないという状況にあることです。
この1番目と2番目のポイントは全く無関係では無くて、裏表の関係にあると言っても良いのです。実は非常に大きな問題なのですが、かつてこの通信あるいは通信関係の技術は、日本が世界最先端のグループに位置していたことは間違いない。しかし、どんどん競争力が衰えて来た。その背景にあるのは、中国などを中心とする外国の企業に技術が盗まれている現実があるのですね。
日本の技術が外国企業に流れている現実
須田)ですから、自社で投資したり技術開発して事業をスタートしようとしても、その段階では技術を盗んだ外国企業に負けているという状況があって、投資しているお金が回収できない。そのため、なかなか技術開発も進んで行かないし、開発に対する意欲も失われて行く状況にあるのです。だから、日本の企業あるいは通信事業者が頑張っていないわけではなくて、そういった事情があるのだということを、まず最初に理解すべきだと思うのです。やはり経済産業省などが中心となって、日本の技術盗難に対して何らかの防御策を講じる必要がある。はっきり言って法的な整備が必要なのですね。スパイ防止法と言うと安全保障問題だけをイメージしてしまうのですが、こういった産業スパイによる技術流出なども意識した法整備が必要になって来る。そういった整備をしないと日本企業の競争力も衰えて行くし、開発力も失われて行くという状況にあるのですね。
新行)次世代通信規格の5Gが始まれば、光回線を通るデータ量も爆発的に増えるので、少し改善されるのではないかという見方もあるとは思うのですけれども。
須田)そういった点で言うと、実は日本の大手メーカーが作っているエアコンにはカメラが搭載されていて、現時点でもカメラの映像情報をインターネット上にのせることができるのですよ。インターネットに接続しませんか、というアプローチが日本メーカーに対して行われているのだそうです。でも日本のメーカーはこれを断っている。なぜかと言うと、例えばその映像情報が外国のインターネットにのってしまうと、どんどん情報が流出してしまう懸念があります。例えば日本版グーグルであるとか、日本にもそういった事業者が出て来ないと現時点ではやむを得ない。IOT技術が進むと、エアコンメーカーにとってみれば接続しないと競争力を失ってしまうから、結果的にそちらと手を結んでしまう。これは日本にとって大きなピンチかなと思いますね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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