いまさら聞けない!? 第91回アカデミー賞を席巻した『ROMA/ローマ』って???

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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第576回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、Netflixにて世界配信中の『ROMA/ローマ』を掘り起こします。


アルフォンソ・キュアロン監督最新作、自身の少年期を投影したヒューマンドラマ


第91回アカデミー賞授賞式。蓋を開けてみれば、作品賞にノミネートされた8作品すべてが、何かしらのオスカーを獲得するという“分け合った”感もある、第91回アカデミー賞。ひとつの作品が“1人勝ちする”賞レースも圧巻ではありますが、それぞれの作品の良い部分がクローズアップされたような授賞式も、これまた清々しいものがありました。

そんななか、今年度アカデミー賞の“台風の目”とも呼べる存在だったのが、監督賞・撮影賞・外国語映画賞の3冠に輝いた『ROMA/ローマ』。賞レースの最高峰で、世界最大の動画ストリーミング配信プラットフォームであるNetflixのオリジナル映画がオスカーを手にするとは、映画界の歴史を語るうえでも画期的な出来事です。


1970年代、メキシコ。首都メキシコシティの中心部にほど近い“コロニア・ローマ”地区で、中産階級家庭に住み込み、家政婦として働くクレオ。彼女は、医者のアントニオ、妻のソフィア、4人の子どもたち、ソフィアの母であるテレサ、彼らの世話や家事に追われ、目まぐるしい日々を送っていた。

そんななか、クレオは同僚のアデラを通じて知り合った青年・フェルミンと恋に落ちる。その一方で、アントニオは長期の海外出張へと出かけ、当たり前の日常に少しずつ変化が起こり始める…。


『ゼロ・グラビティ』のアルフォンソ・キュアロン監督の最新作であり、彼がこれまで手がけたなかで、もっとも自伝的要素が強い作品と言われている本作。

家政婦のクリオと雇い主一家の日常を情感豊かに描きながら、当時のメキシコの世相や庶民の差別意識といった社会背景を浮かび上がらせ、鮮やかなモノクロームの世界が広がります。


全編スペイン語でモノクロの映像、主演のヤリッツァ・アパリシオをはじめとするキャストは無名の役者ばかり。娯楽作とは対極にある作品ゆえ、劇場公開も限定的なものになると予測していたキュアロン監督は、自らNetflixに働きかけ、ストリーミング配信というスタイルでの“世界公開”に踏み切ることになったとか。

しかし、光と影のコントラストや空間の使い方が印象的な撮影技法、ドルビーアトモス対応の音響設計など、あくまでも劇場公開を意識した作りとなっており、その映像美には、思わず見入ってしまうことでしょう。

映画を楽しむ醍醐味は、スクリーンにあり。それはもちろん大前提ではありますが、視聴デバイスの垣根がなくなりつつある現代においては、映画を取り巻く環境が急速に変化し続けているのも事実。今年度の賞レースにおいて本作が投じた一石が、今後の映画業界の動向にどのように影響して行くかにも注目です。


Netflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』独占配信中
監督・脚本・製作・撮影・編集:アルフォンソ・キュアロン
出演:ヤリッツァ・アパリシオ、マリーナ・デ・タビラ ほか
公式サイト https://www.netflix.com/jp/title/80240715


八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。
機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。
初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。
トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com

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