女性は強く、美しく、恐ろしいほど、したたか。

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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第583回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、3月8日公開の『シンプル・フェイバー』を掘り起こします。


ポップでオシャレなミステリー・サスペンス

女性は強く、美しく、恐ろしいほど、したたか。
ニューヨーク郊外に住むシングルマザーのステファニーは、事故で夫を失い、保険金を切り崩しながらひとり息子を育てていた。ある日、同じクラスに息子を通わせているエミリーと親しくなる。彼女はスランプに陥っている作家の夫ショーンとも仲睦まじく、華やかなファッション業界で働くミステリアスな女性。まるで対照的なふたりだったが、お互いの秘密を打ち明け合うほど親密になって行く。

そんななか、ステファニーはエミリーから「自分の代わりに息子を学校に迎えに行ってほしい」と依頼される。気軽に請け負ったステファニーだったが、その後、エミリーは息子を引き取りに現れず、失踪。ステファニーは彼女の行方を追うが…。

女性は強く、美しく、恐ろしいほど、したたか。
原作はダーシー・ベルの2017年のデビュー作「ささやかな頼み」。全米では「ゴーン・ガール」と比較する評論家も多かったミステリー小説ですが、かつてないほど斬新なストーリー展開が話題を呼び、原作小説の販売前から映画化が決まっていたという傑作サスペンスが、ついに日本でも公開されました。

女性は強く、美しく、恐ろしいほど、したたか。
注目したいのは、本作を盛り上げるキャラクターたち。アナ・ケンドリック演じるシングルマザーのステファニーは、一見気さくな“いい人”だけど、実は他人には言えない“過去の秘密”が…。一方、ブレイク・ライブリーが演じるエミリーも、セクシーで華やかな印象とは裏腹に、夫も親友も誰も知らない“顔”がある…。映画を観る前と観た後では、ふたりに対するイメージがガラリと変わってしまうこと間違いなし。

ほかにも、どこか正体が掴めないエミリーの夫や部下の失踪に無関心な上司など、すべての登場人物が“怪しく”見えてしまい、ストーリーは二転三転。予想を超える展開の連続に、スクリーンから目が離せません。

女性は強く、美しく、恐ろしいほど、したたか。
人間が持つ闇の部分を見てみたい…という好奇心は、誰でも心の奥底に持っているもの。そんな詮索心を存分にくすぐってくれるのが、本作の面白さ。うごめく嫉妬や羨望、孤独と承認欲求、友情と利害、そして秘密と過去。ブラックでスパイシーなユーモアをまぶし、女のしたたかさをポップに浮かび上がらせた極上のサスペンス映画です。

女性は強く、美しく、恐ろしいほど、したたか。
シンプル・フェイバー
2019年3月8日(金)からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
監督:ポール・フェイグ
原作:ダーシー・ベル「ささやかな頼み」(東野さやか訳/ハヤカワ文庫)
脚本:ジェシカ・シャーザー
出演:アナ・ケンドリック、ブレイク・ライブリー、ヘンリー・ゴールディング、リンダ・カーデリーニ、ジーン・スマート、ルパート・フレンド
©2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
公式サイト http://simplefavor.jp/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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