「ライ麦畑でつかまえて」誕生秘話が、いま明かされる!
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第552回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、1月18日に公開された『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』を掘り起こします。
J・D・サリンジャーは何故、人気絶頂のなか、姿を消したのか…
2019年1月1日は、実は、20世紀を代表する作家J・D・サリンジャーの生誕100周年を迎えた日でした。世界中で累計6,500万部を突破し、時代を超えて若者に影響を与えてきた“青春のバイブル”「ライ麦畑でつかまえて」の著者として知られているJ・D・サリンジャー。
彼の作品は単なる文学作品としての評価に留まらず、その内容の過激さから発禁処分となったり、ジョン・レノン暗殺犯やレーガン大統領暗殺未遂犯が「ライ麦畑〜」の愛読者だったりと、アメリカ社会に大きな影響を与えてきました。日本でも、その著書は野崎孝氏や村上春樹氏らによって翻訳され、長きにわたって親しまれている作家です。
しかし作家としての華々しい成功の一方で、そのプライベートは謎に包まれたものでした。「ライ麦畑でつかまえて」の大ヒット後は、まるで人目を避けるかのように田舎町に移住。発表する作品の数も次第に減っていき、隠遁生活を送るようになったサリンジャー。そんな彼の知られざる半生が語られた映画が、日本でも公開となりました。
『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』は、サリンジャーの作家としての出発から表舞台を去るまでにスポットを当てた伝記ドラマ。
華やかなマンハッタン社交界での恋愛模様、作家としての才能を見出してくれた編集者との出会い、九死に一生を得た戦争体験、そして“ホールデンの物語”を書き続けた作家魂など、これまで誰も知らなかった“サリンジャーの物語”が次々と明らかになります。そのエピソードの数々は、彼が生み出した物語以上にドラマチックで、観客を魅了することでしょう。
本人の意思によって、生前は一切語ることが許されなかった、J・D・サリンジャーの半生。彼は2010年に91歳でこの世を去りましたが、生誕100周年を迎えたいま、自身が映画になってしまったという皮肉を知ったなら、どう受け止めるのだろう。そんなコトが頭をかすめたのは、伝説のなかにいるサリンジャーに少しばかり親近感を覚えたからでしょうか。
サリンジャーの作品をよく知る人にとっても知らない人にとっても、その作品世界に改めて触れたくなる1作です。
ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー
2019年1月18日(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
監督・脚本:ダニー・ストロング
製作:ブルース・コーエン
原作:『サリンジャー 生涯91年の真実』 (ケネス・スラウェンスキー著 田中啓史 訳/晶文社刊)
出演:ニコラス・ホルト、ケヴィン・スペイシー、ゾーイ・ドゥイッチ、ホープ・デイヴィス、サラ・ポールソン ほか
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公式サイト https://www.rebelintherye-movie.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/