メイ首相が辞任か~誰がやってもイギリスはまとまらない

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月24日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。EU離脱をめぐって混乱するイギリス議会について解説した。

メイ首相が辞任か~誰がやってもイギリスはまとまらない

英国の閣議後に記者会見するメイ首相=2019年4月2日、ロンドン(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

イギリスのメイ首相が辞任を表明か

イギリスのタイムズは5月23日、EUヨーロッパ連合離脱をめぐる議会の混乱を受けて、メイ首相が24日に辞任を表明し、退任する日付を発表すると報じた。メイ首相が21日にEU離脱をめぐって2度目の国民投票を行う可能性に言及して以降、保守党のなかで辞任を求める声が急速に高まっており、22日には政権幹部が抗議の辞任をするなど求心力の低下に拍車がかかっている。

飯田)議会の取りまわしをする、支える人が抗議の辞任というようなこともあって、さらにがたがたと。

宮家)昔、サッチャーさんという鉄の女と呼ばれる政治家がいましたが、それに比べたら、悪いけれどメイさんはプラスティックの女だよね。温度が少し高まると溶けてしまう。キャメロンさんがこけて、イギリスのEU離脱という国民投票なんぞやってしまって、僕はそれ自体が間違いだと思いますが、それで負けてしまったので彼女がかわりに首相になった。
彼女は巻き返すのにいちばん良い方法として総選挙をやるために議会を解散した。彼女は支持者を増やして力をつけようと思ったら、逆になって負けてしまった。そこからプラスティック化が始まりました。イギリス自体が変わってしまったということなのかもしれません。結局、彼女はいろいろなことをトライしたけれど、全部裏目に出た。そして、先日遂に、「私が辞めるからこの法案の修正案を通してね」と言ったわけです。

飯田)首をかけた。

宮家)古今東西、政治家が自分の進退を言い始めたらもう終わり。だけど、いまのイギリスの国内政治は混乱の極致。みんな言いたいことを言いやがって、まとめてみろよと。誰もまとめる力がないわけで、そのなかで彼女は孤軍奮闘したんだけど、やっぱり駄目だった、残念だなと思います。
では、メイさんがやってできなかったことが誰かにできるのかと言うと、できっこない。イギリス政界が三つ巴になって、誰も過半数を取れない状況になっているのだから。

メイ首相が辞任か~誰がやってもイギリスはまとまらない

オランダ西部カストリクムの駅に設置された投票所で、欧州議会選挙の票を投じる有権者(オランダ・カストリクム)=2019年5月23日 写真提供:時事通信

誰がやってもいまのイギリスをまとめることができない

飯田)保守党も労働党も。

宮家)強硬な離脱派が出て来たとしても、残りの3分の2は「それってどこかおかしいのではないか」と思っているのだから、このままだといつまでたっても堂々巡りです。ではもう一回国民投票をやって、違う結果だったらどうしますか? 今度は負けた方が大騒ぎになります。

飯田)1回目の民意はどこに行ったのかと。

宮家)しかも議会は三つ巴なのだから、相変わらず誰も過半数を取れない状況は何1つ変わらないのです。と言うことは、イギリスも黄昏だ。

飯田)メイさん自身は、離脱は反対の人だったのだけれど。

宮家)もともとは。それは正しかったと思いますよ。

飯田)首相に就いたということで離脱を進めようと。それで協定案は中身を見ると、穏健な離脱、あるいは離脱と呼べるのかということになって。

宮家)穏健な離脱と言えば強硬な離脱派が黙っていないし、離脱と言ったら離脱反対派が黙っていないし、誰もリーダーシップをとりきれないということですよね。

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