日米首脳会談~焦点は貿易交渉とイラン問題
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月27日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。本日27日に行われる日米首脳会談について解説した。
本日27日、日米首脳会談開催
来日中のトランプ大統領は5月27日、安倍総理大臣と日米首脳会談に臨む。安倍総理は北朝鮮による日本人拉致問題の進展や6月に大阪で開くG20の成功につなげたい考えで、閣僚レベルの協議が続いている日米貿易協定交渉は議論の加速を確認するに留まるとみられている。
飯田)焦点がどこになるのか、イランとの関係なども読売新聞は一面トップで伝えていますが、須田さんはどうご覧になりますか?
須田)今回の日米首脳会談の最大のポイントは、貿易交渉と対イラン問題だと思います。ただ貿易交渉に関して言いますと、日本政府としてはもともとのスケジュールでは、参議院選挙後の妥結の合意を目指していたわけです。交渉の内容によっては選挙に大きな影響を与えかねない、あるいは選挙を動いてくれる業界団体にも影響を与えかねないということで、そういった影響を排除するためにも参議院選挙後を目指していた。そしてもう1つはスケジュール上、物理的に時間がその程度かかってしまう。
トランプさんとしては2020年の暮れに大統領選挙を控えていますから、早々に有権者にアピールしておきたいと思ったのでしょうけれども、まだ大統領選挙までは間があるので、この辺りは1つ日本に貸しを作っておこうということだろうと思います。
貿易交渉のなかでの焦点は為替条項の問題
須田)この貿易交渉のなかで最大の焦点は、メディアは農業分野、特に牛肉を取り上げていますけれども、むしろ為替条項です。日本としては、日銀による異次元の金融緩和は為替の問題とワンセットになっているのですから、そこにタガをはめられることは何としても避けたい。その辺りにトランプさんと安倍さんとの個人的な人間関係を背景に、日本側にとって見ると穏当な形で決着をしたい。
ただアメリカ側としては牛肉、或いは農業分野、自動車もそうですけれども、思ったほどの成果が得られなければ為替条項を持ちだして来るでしょう。そこでは微妙なせめぎ合いが続いているのだろうと思います。
飯田)その辺り、どれを立ててどれを捨てるかという取引になりますか?
須田)そうは言っても現状では、日本にとって歓迎できるような交渉の流れになっていると思いますよ。
飯田)自動車の関税についても、180日猶予を伸ばすということをトランプさんが来日の前に発表していて、この辺も含めて7月妥結、そしてその先も交渉が続くようなことになるのですかね。
もう1つの焦点はイラン問題
須田)そうですね。投資の分野、別に自動車の関税や輸出量の問題では無くて、アメリカ国内の自動車産業に関わる人たちの雇用や所得の問題なのです。その辺りでどういう成果が得られるかだと思います。今回の首脳会談の焦点は2つと言いましたが、1つはこの貿易交渉、もう1つはイランの問題です。アメリカとしては中東でと言うか、対イランで何らかの軍事行動はとりたくないのです。お金がかかりますから。
飯田)そうですよね。
須田)もう1つは、大統領選挙を控えていますと、有権者の目がどうしても内向きになる。そうなるとアメリカの若者を戦場に送り込むことは、選挙にプラスに働かない。そう考えるとイランとの間で、いま以上に軍事的な緊張関係を高めたくは無い。そうは言ってもアメリカが直接出向いて行くわけにはいかないから、そこで日本の、安倍首相の役割をトランプさんサイドとしても重視しているのだろうと思います。具体的にトランプさんと安倍さんが話した内容が表に出て来る可能性は低いと思いますが。
飯田)これに関しては読売新聞がいろいろと報道していて、6月の頭くらいにもイランとサウジに行くのではないかという話も出ています。
須田)G20で再びトランプさんと顔を合わせるのですが、その間にそういった動きが起こって来るのではないかなと思いますけれど。
飯田)どういう感触だったかなどですね。
須田)これはアメリカ国務省サイドから得た情報ですが、イラン側の思惑を日本を通じて知ることにアメリカは期待しています。
飯田)僕も外務省の人などに聞くと、イランのザリフ外相がいきなり来たではないですか。あれも昔だったら、アメリカに何を言われるか分からないから断るようなところを、いまは信頼関係があるから、とりあえず受けるということもできるのだということです。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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