金融庁「老後2000万円」報告書の本当の狙い

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月14日放送)に自由民主党参議院議員の青山繁晴が出演。6月13日に世界経済フォーラムが公表した日本の老後資金についての報告書のニュースについて解説した。

日本の老後資金は20年分不足、世界経済フォーラムが報告書

世界の政財界のトップが集まるダボス会議を主催するスイスのシンクタンク、世界経済フォーラム(WEF)は6月13日、老後資金の不足によって日本では蓄えに頼らずに生活しなければならない期間が15年~20年にも及ぶとの報告書を公表した。報告書は具体的な金額こそ示していないが、金融庁の報告書とほぼ同じ趣旨の内容となっている。WEFは、日本の政府は退職後の資金不足を回避する環境整備のために対策を講じるべきだと指摘したということだ。

飯田)金融庁の報告書では、95歳まで夫婦で生きるためには2000万円が不足する、貯めておくべきだということが書かれていたとされるものですが、何だかこれが政局のようになっていますね。

金融庁「老後2000万円」報告書の本当の狙い

金融庁「2000万円」の報告書は「2000万円を運用してください」というのが狙い

青山)すでに政局のようになっていますが、1つ修正すると、金融庁のワーキンググループの報告書は2000万円貯めておけという話ではありません。公的年金以外に、リタイアする前の生活水準を最後まで続けるのであれば2000万円必要で、「それを貯金だけではなく投資してください、運用してください」というものが金融庁の金融庁らしい狙いで、それ以上でもそれ以下でもないのですよ。

飯田)投資のパンフレットのような。

青山)はっきり言って投資のパンフレットですよ。日本国民は民度が高くて真面目なので、例えばアメリカ人の場合、レクサスに乗っていた高額所得者の人が減税したら、すぐにいちばん新しい最高グレードのレクサスに変えてしまう。お金をすごく使うのですよ。だから減税するとすぐに景気が良くなって、いまトランプ景気に沸いているわけです。
日本は民度が高くて、みんな賢い。自分で自分の始末をつけようとする、いわば武士道に基づくような意識が非常に強いので、貯金するのですよ。そうすると日本のお金がずっと埋もれた状態になっているので、それを運用してマーケットに出してくださいという、いわば政府製のパンフレットのようなもので、そもそも2000万円がないと生活できないという報告書ではありません。それから、ダボス会議が主催しているシンクタンクの報告書ですが、この報告書の実物を僕はまだ手にしていないので、英文で読んでいないのでそこは分かりません。でもいまのニュースで言うと、「日本では蓄えに頼らずに生活しなくてはいけない期間」というところが意味不明ではないですか。

飯田)そうですね。

青山)年金に頼らずに生活しなくてはいけない期間が15年~20年ならまだ分かるけれど、何のことかわからないですよ。

飯田)そうですね。年金は支給されているのですからね。

青山)ええ。この報告書は、アメリカでは老後に備えた蓄えが10年分あって、日本では4年半分くらいしかないことになっているけれど、僕の知っているアメリカと日本の違いと真逆ですよね。アメリカ人は基本的に貯蓄しないですよ。だからそういうことに振り回されるのではなくて、まず目の前の現実として、厚生労働省のあまりあてにならない調査ですら、年金だけで暮らしている高齢者のご夫婦はおそらく半分以上いらっしゃる。それを考えると、シンクタンクの報告書とも金融庁の報告書とも重なる部分です。若い人がどんどん減っているのだから年金も減って当たり前、受給開始年齢がドンドン上になってしまって当たり前、と思ってはいけない。だったらもともと社会保障の自己否定ではないかということは、これを機会に考えなくてはいけません。しかし、野党から問題提起のあった決算委員会に僕も出席していましたけれど、自由民主党の議員だから公平を期して言わなくてはいけませんが、この部分を切り取るやり方はやはり良くないですよ。いまおっしゃったとおり、政局にするためになっているので。ところが安倍総理の答弁も興奮していたから、それはダメですよね。僕も含めて冷静にやらなくてはいけないです。

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