サイボウズ社長・青野慶久~高い離職率を下げるために行った意外なこと

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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、サイボウズ株式会社・代表取締役社長の青野慶久が出演。サイボウズを作った経緯と社員の離職率を下げるために行ったことを語った。

サイボウズ社長・青野慶久~高い離職率を下げるために行った意外なこと

サイボウズの青野慶久社長=2009年8月26日午前、東京都文京区のサイボウズ社 写真提供:産経新聞社

黒木)今週のゲストはサイボウズ株式会社・代表取締役社長の青野慶久さんです。
サイボウズという会社は、どういうことをやっていらっしゃる会社なのでしょうか?

青野)ソフトウェアなどを作っている会社です。スケジュール帳やアドレス帳に書き入れる情報をパソコンやスマートフォンから入力することで、みんなと情報を共有する。そうすると私のスケジュールも全社員が見ることができます。グループウェアという言い方をしますが、そのジャンルのソフトウェアを作っている会社になります。

黒木)もともとは松下電工にいらして、起業してサイボウズを設立されました。起業しようと思われた理由は何だったのですか?

青野)松下電工に入ったばかりの新入社員のときは、仕事もあまりできないので先輩の仕事を手伝おうと思うのですが、先輩の仕事が何なのかが分からない。先輩のスケジュールがまったくわからず、忙しそうだけれど何で忙しいのだろうと。情報共有がされていないので、手伝えなかったという原体験があるのです。

黒木)ただのコミュニケーション不足ではなく。

青野)忙しいので座席に居ないのです、私は暇なのに。もう少し情報共有できればいいなと思っていたときに、インターネットが出て来て、この技術を使えばもっと会社のなかでたくさん情報共有ができるようになると思い、良いソフトを探ました。探しているうちに、もともと私はコンピューターが専攻だったので、これは作れるぞと思い起業したのがスタートですね

黒木)1997年にはすでに起業されていたそうですけれども、20代ということですね。

青野)当時、私は26歳でした。もう22年が経とうとしています。

黒木)企業から9年で東証一部上場ということで、とんとん拍子という感じがしますが。

青野)いえいえ。まったくそんなことはなくて、3年で東証マザーズに上場して9年で東証一部に上場したのですが、そのあと10年くらいずっと伸び悩んだ時期がありました。ようやくこの5~6年でまた伸びて来たのですが。

黒木)青野さんがおっしゃっている言葉が心に刺さるのですよ。例えば、「我慢は美徳だということは捨てて、わがままになりなさい」とか。これは社員に言っているのですか?

青野)はい。

黒木)会社を起こされたときから、そのように考えていらしたのですか?

青野)もともとは違いまして。

黒木)もともとは違う。

青野)みんな頑張って、我慢して歯を食いしばって働くのがITベンチャーだと。会社に寝袋を持って来て、朝まで働く…これがかっこいいと思っていたのですけれども、それが離職率を高くするのですね。

黒木)起業なさったころの離職率はどのくらいだったのですか?

青野)毎年15%~20%くらいありました。正直、IT業界的には珍しくないので何とも思っていなかったのですが、2005年に28%くらいまで上がってしまって、これは少し考え方を変えなくてはいけないと思いました。そこで、社員のみんなに聞いて回りました。みんな言いたいことを言うわけですよ。残業が嫌だとか、家で働きたい、副業したいだとか、いろいろなことを言うのです。これを1つ1つ聞いて行けば、みんな辞めなくなるのではと思って聞きました。そしてその意見を取り入れたら、みんな生き生きと働くようになったのです。それで、わがままであることは良いことなのだと思ったのです。いま世の中は働き方改革と言っていますが、よく聞いていると、経営者の働き方改革になっているところがある。「俺が怒られるから早く帰れ」と言って、働く人の意見ではなく経営者の意見で働き方を変えているのです。これは本末転倒ではないかと思って見ています。

サイボウズ社長・青野慶久~高い離職率を下げるために行った意外なこと
青野慶久/サイボウズ株式会社 代表取締役社長

■1971年生まれ。愛媛県今治市出身。
■大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現 パナソニック)を経て、1997年8月に愛媛県松山市でサイボウズを設立。
■2005年4月、代表取締役社長に就任。
■サイボウズ株式会社はソフトウェア開発会社。通信事業・ネットワークシステム構築・コンサルティングなども展開。
■M&Aの失敗・離職率の増加を機に覚悟を決め、「多様性」「公明正大」を大切にしながら、チームワークあふれる社会を創るために真剣に取り組む。
■離職率を6分の1に低減した実績や、ビジネスのクラウドシフトの他、3児の父として3度の育児休暇を取得した育ボス、妻氏婚(つまうじこん)、夫婦別姓などの講演も多数。
■政府の働き方変革プロジェクトの外部アドバイザーやCSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)の副会長を務める。
■著書に『ちょいデキ!』『チームのことだけ、考えた。』『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』がある。

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