ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月5日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。アメリカが国連加盟国に配布した北朝鮮の海外出稼ぎ労働者の送還を求める書簡を北朝鮮が非難したニュースについて解説した。
北朝鮮が国連加盟国に配布したアメリカの書簡を非難
北朝鮮の国連代表部は3日、アメリカが6月29日に国連の全加盟国に対し、各国で働く北朝鮮の海外出稼ぎ労働者の送還を求める書簡をイギリス、フランス、ドイツと共同で配布したと声明で明らかにした。その上で「トランプ大統領が米朝首脳会談を提案した同じ日に、アメリカの国連代表部が共同書簡ゲームを実行したことは看過できない」と非難している。
飯田)書簡を配ったというあたりが共同書簡ゲームということで、言っていることとやっていることが違うではないか、ということのようですが。
宮家)何か気の利いたことを言おうと思ったのですかね。国連の北朝鮮の代表部でしょう。このレベルの人たちでも、国連の場であれだけ変な書簡が出たら文句の1つも言いたいのではないですか。「ありがとう」なんて言えるわけがないのですから。だから「共同書簡ゲーム」という言葉を使い、看過できないと非難している。では看過できなかったらどうするのかというと、それは言わない。内容はこの国連代表部レベルのものです。ピョンヤンの新しい政策を反映したものでも何でもないと思います。
共同書簡は序の口
宮家)そもそも、マルチの世界、多国間の世界である国連みたいなところで論争になったらそれは全部「書簡ゲーム」になるわけですよ。ペーパーゲームですから。ペーパーゲームの最も重要なものは何かと言ったら、勿論それは決議の採択です。国連安保理決議を作る。そうなれば、それはただの書簡ゲームを越えて、水面下で議論や交渉をする。決議を採択するためには拒否権を持っている5ヵ国を黙らせなくてはいけないでしょう。拒否権を使わせないようにうまくマッサージする、書簡はもちろん出すし、厳しい発言もする。そうしてやっと国連安保理決議が1個できるのが実態ですから。「共同書簡ゲーム」なんて、国連では序の口だと私は思います。
トランプ大統領が板門店で金正恩氏と会ったのも選挙のキャンペーンの1つ
飯田)G20の直後に、米朝首脳が板門店で会うというものがありました。
宮家)あれもトランプさんからすれば思い付きなのかもしれませんが、僕はある程度準備をしていたと思います。準備なしにあそこまではできません。G20はサプライズもなく、つつがなく終わったけれど、逆にトランプさんとしては、それでは大きなアピールがないのです。韓国に行っても、兵士を視察して「さようなら」では、中身は何もない。だから、何とか世界から注目を集めたかった。彼はもっと早い段階からこんなことを考えていたと思います。彼は「統治」をやっていると言うより、「選挙」をやっているのですよ。2年半ずっと選挙をやっている。板門店に行って金正恩に会ったことも選挙のキャンペーンの一環としてやったと考えると、つじつまが合うと思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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