トランプ大統領が北朝鮮に越境~世界に放った2つのメッセージ
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ニッポン放送「飯田浩司の OK! Cozy up!」(7月1日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。6月30日に板門店で行われたトランプ大統領と金正恩委員長との会談について解説した。
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南北軍事境界線がある板門店で握手するトランプ米大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長=2019年6月30日(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社
トランプ大統領、北朝鮮に初めて越境
アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は6月30日、南北軍事境界線にある板門店でおよそ50分間会談した。トランプ氏は現職アメリカ大統領として史上初めて境界線を越え、北朝鮮に足を踏み入れた。
飯田)29日に急遽ツイッターで金委員長へ会談を呼び掛けたということですが、豊島区の“しんじ”さん、55歳会社員の方から。「両国の国旗も掲げられていたし、警備体制も含めて、急にできるものですか?」という疑問も届いています。須田さんはご覧になっていて、いかがでしたか?
須田)ツイッターで呼び掛けて急に決まったということではないのですが、だからと言って何ヵ月も前から準備をしていたわけではないということです。私が異変に気付いたのは6月23日に朝鮮中央通信が、金委員長が白いシャツを着て親書を読んでいる写真を掲載して、トランプ大統領から親書が届いたと。それに対して、金委員長が「素晴らしく興味深い内容について真剣に検討する」と出ていました。一体どういう内容がその親書にあったのだろうかという問題意識を持ちました。その後の動きを見てみると、G20の日程で韓国に行くことが浮上して来た。板門店に行くようなことも見えて来たときに、何かサプライズがあるのではないか、という想像を頭に浮かべていたのですが、「こういうことだったのか」と納得しました。
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G20大阪サミット・IMC(国際メディアセンター)。利用が始まったIMC(国際メディアセンター)=2019年6月27日午前11時38分、大阪市住之江区 写真提供:産経新聞社
これまでに伏線はあった
飯田)丹念に見ていれば、伏線みたいなものはあったと言えばあった。
須田)アメリカの大統領ですから、1人だけ伊丹空港に来てしまう人ですよ。それだけセキュリティを完璧にして、大統領専用車で突っ走って行くのですから。その辺りを考えると、思いついたから軍事境界線を越えて、などという状況にはならないと思います。
飯田)今回、これだけのことが起こった。一応2~3週以内にチームを組んで協議するという話も出ていましたけれど、中身がどうなるかはこれから次第ということになりますか?
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「ロイター」「プラス」 米朝首脳会談 ドナルド・トランプ米大統領、金正恩朝鮮労働党委員長、米朝首脳会談、拡大会合、第2回米朝首脳会談、アメリカ、北朝鮮=2019(平成31)年2月28日、ベトナム・ハノイ(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社
トランプ大統領の掲げた2つのメッセージ
須田)そうですね。政治ショーであったことは間違いないのですが、多くの有識者が「今年(2019年)11月から本格化する大統領選を強く意識してのこと」という言い方をしていますが、私は必ずしもそうは見ていません。その効果も狙っていることは間違いないと思いますが、それだけではなく「金委員長とは会おうと思えばすぐ会える関係にあるのだ」という人間関係を、北朝鮮の内部、或いは中国に対して強烈なメッセージとして送るということ。そしてもう1つは、北朝鮮の内部をまとめ上げるために、トランプ大統領としては「全面バックアップもするし、アメリカは北朝鮮に対して軍事攻撃をするという敵意は持っていない」というメッセージです。今回のことは、いろいろな意味で大きなインパクトがあったと思います。
飯田)トランプさん、或いは解説記事のなかにも、いままでアメリカが軍事境界線に行くことは対北朝鮮への圧力のアピールだったけれど、今回はまったく逆だと。平和のために行くのだとアピールしていますね。
須田)言葉がなくてもあのシーンを見れば、意味するところはよく伝わると思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00