強硬派のボルトン氏解任で米朝関係に進展はあるのか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月11日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。トランプ大統領がツイッターで発表したボルトン大統領補佐官の更迭について解説した。

トランプ大統領がボルトン補佐官を更迭

アメリカのトランプ大統領は10日、ツイッターでボルトン大統領補佐官を更迭したことを発表した。トランプ大統領は「ボルトン氏から受けた多くの助言で、意見が一致しなかった」と更迭の理由を説明している。

飯田)寝て起きたらボルトンさん更迭、という速報が入って来ました。また、ツイッター辞令だったようです。

高橋)前々から言われていたのですが、ポンペオさんとどちらを選ぶか、というところなのでしょう。

飯田)国務長官と。

高橋)外交の話し合い。安全保障の人は3人目だったのですが、補佐官なので権限はあまりないと思うのだけれど、やや強硬過ぎて北朝鮮の話で問題になってしまったかもしれないですね。誰かを代えなければ北朝鮮は話をしないということで、放っておく手もあるのでしょうが、ポンペオさんは代えられないのでボルトンさんなのでしょう。3回目の会談のときに、行かなかったですよね。

飯田)板門店での会談のときは同行しなかったと。

高橋)そう意味では、少しずつ違っていたのかもしれません。

飯田)あのときはG20を大阪でやって、その流れで行ったのでしたね。大阪のG20のときにはいたけれど、という話ですね。

高橋)少し会いに行くだけだから、ということかもしれませんが、行かないということは1つのメッセージだったかもしれません。

強硬派のボルトン氏解任で米朝関係に進展はあるのか

南北軍事境界線がある板門店で握手するトランプ米大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長=2019年6月30日(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

ボルトン氏との意見の食い違いが大きくなったか

飯田)ツイッターでもご意見をいただいています。“まや”さんから、「ボルトンさんを使いこなすトランプさんの度量よ、と感心していたのですが。あえて強硬な発言をさせておいて、直接のトップ交渉ではトランプさんが手心を加えたように見せる、上手い戦略だと思ったのですがね」と。最初はそういう役割分担だったのかもしれませんが、途中から抑えが効かなくなったということなのでしょうか。

高橋)要するに、バランスなのでしょう。ずっと意見をされていたら、トランプさんとしては嫌だったのではないですか。補佐官の立場は微妙で、イエスマンだと意味がないのですよ。

飯田)補佐にならない。

高橋)そこそこ違う意見を言って、ということなのでしょうが、距離感が難しいですよね。

強硬派のボルトン氏解任で米朝関係に進展はあるのか

ボルトン米大統領補佐官(左)と握手を交わす河野外相=2019年7月22日午後、外務省 写真提供:産経新聞社

北朝鮮への態度に変化はあるのか

飯田)なるほど。“まとも”さんからは、「北への強硬派のボルトンさんが更迭で、対応はどうなるのでしょうか。強硬で行くのか、軟化するのか。軟化するとなると、北朝鮮はまたいろいろと要求を出して来るのではないですか?」。

高橋)交渉ですから、当然そうでしょうね。短距離ミサイルについて、何も言わないでしょう。そこがボルトンさんと違っていたのでしょうね。

飯田)昨日(10日)も。

高橋)2発撃ってね。アメリカに届かないから、関係ないということでしょう。

飯田)ところが、我が国にとっては大変なことです。

高橋)大変ですよね。我が国のなかにアメリカ軍の基地もあるのだから、大変ですよ。当然そこを狙うのでしょうから。でも、一応アメリカ国民は関係ないからということで、放っておくのでしょう。いま、中距離核のところが完全に穴の開いている状態なのです。昔の米ソでやっていた条約がなくなって、中国を巻き込んでやりたいという意図はあるのでしょうが、北朝鮮もそこへ入って来てしまうわけですからね。大きな枠組みを作らないといけない段階なのです。

強硬派のボルトン氏解任で米朝関係に進展はあるのか

4日、朝鮮東海の海上で行われた前線・東部戦線防護部隊の火力攻撃訓練を指導する金正恩朝鮮労働党委員長=2019年5月4日 写真提供:時事通信

中国、北朝鮮、ロシアを巻き込んだ核軍縮条約を作る意向か

飯田)そういうことを考えると、強硬なことばかりも言っていられないと。

高橋)枠を作らないと、勝手し放題でしょう。中国などは特に。いまは我慢して、北朝鮮をきっかけに、中国とロシアを巻き込みながら枠を作ればいいと思っているのかもしれません。

飯田)先日、アメリカの保守派の人たちと、東アジアの安全保障をめぐってのシンポジウムで議論したことがあるのですが、1980年代にヨーロッパで起こった中距離核ミサイルの制限の条約ができるきっかけになったのと同じような状況が、いまの東アジアで起こっていると。

高橋)似ていますよね。あのときもレーガン氏が強烈な圧力をかけて。

飯田)中距離核ミサイルをNATO軍に配備すると。

高橋)喧々諤々な話になって、ソ連が崩壊してしまった、その直前くらいに上手くできたのですよね。中国と北朝鮮の動きを見ていると、そのときのソ連と似ているとも思います。

日本がニュークリア・シェアリングに参加するメリット

飯田)あのときアメリカは、ドイツにも核のシェアリングということで、「在独米軍やNATO軍に中距離核ミサイルを配備するぞ」と言いました。同じことを日本でやることはあるでしょうか?

高橋)核シェアリングということはあるのではないでしょうか。非核三原則を1つだけ解除すればいいのですよ、「持ち込ませず」というところだけを。いまでも持ち込んでいるのですけれどね。持ち込んでいて、完全に米軍のなかでの管理下にあるのです。核シェアリングとは、日本もそれを共同管理するということです。そういう意味では、そちらの方が合理的なのですよ。だって、いまだったら横須賀の基地から勝手に撃たれてしまうのですから。

飯田)船に乗せる形もあるし、潜水艦というのもあります。

高橋)シェアリングという形になると、一応は共同管理になりますからね。そうすると、日本が「だめ」と言えばだめです。

飯田)我々の意志が、ある程度は政策に反映されると。

高橋)もちろん完全にということではないので、両者共同でという話になるのですけれどね。核のアレルギーでいろいろなことを否定するくらいなら、日本の非核三原則の「持ち込ませず」だけを直して、核シェアリングするというのが世界の標準です。それだと日本は核武装にはならないのですよ。

飯田)アメリカの核の傘の下にあるのは、戦後74年間変わらずと。

高橋)いまは核の傘の下ですけれども、日本は何も言えない状態でしょう。

飯田)突然傘を取り上げられても文句を言えないし。

高橋)そこから撃たれても何も言えないのが現状なのですが、ニュークリア・シェアリングだったら、一応は協議できるわけです。

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