臨時国会召集~議論すべきいちばんの問題は
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月19日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。10月4日に召集される臨時国会の議題について解説した。
臨時国会、10月4日に召集~内閣改造後初の与野党論戦へ
政府与党は18日、臨時国会を10月4日に召集する方針で固めていることを明らかにした。政府が提出を予定している20本程度の法案をはじめ、消費税率引き上げ後の対応、公的年金の財政検証、日米貿易交渉などをめぐり、与野党の論戦が予想される。会期は12月10日前後までとなる見通し。
飯田)そうすると2ヵ月ということで、臨時国会としてはこんなものという感じでしょうか。
鈴木)だけど、中身は濃いと思いますよ。しばらくやっていなかったというのもありますが、いろいろな問題が起きていて、飯田さんが読んでいらっしゃったように消費税にまつわる問題も出て来ますから、この辺をどうするのかというところ。それから年金、財政検証も発表されました。この制度に詳しい身内の自民党議員も「そんな経済成長は将来ない」ということで、「もっと正直に年金制度をゼロから語るくらいのことが必要ではないか」と言っています。
外交は日米の貿易問題、調印云々がありますが、この中身が本当に日本にとってプラスなのかどうか。それから、日韓外交も非常に大きなテーマです。また、みんな忘れてしまっているかもしれませんが、勤労統計もありますよね。
飯田)毎月勤労統計調査。
鈴木)この数字の計算がでたらめだったと。元を正せば去年(2018年)の厚労省の、障害者の雇用水増しです。これを含めて、霞が関の数字は一体どうなのか。実は国会でまともな議論は行われていなくて、合間だったから、霞が関の役所が自分たちで第三者委員会をつくって検証して、自分たちで再発防止策をやっているのです。これはまずいですよ。国会ではこの辺りのデータ問題も、まだ議論していません。
国会以前に閣僚の資質が問われる状況
鈴木)ところが、その前に新しい閣僚の資質が問われています。いくつかスキャンダルが週刊誌に出ていますけれども、雑誌関係の友人に聞くと、6人の名前が挙がっていました。それが事実かどうか、中身もわかりませんが、順次取材をするというようなことを言っていました。この前の時事通信の記事では、3人くらい問題があると掲載されていましたね。
飯田)会見で聞かれて、「それは個人のことで問題ない」と幹事長が答えたり、具体的に武田国家公安委員長の名前と、竹本情報通信技術(IT)政策担当大臣の名前が、その会見では出ていたと思います。
鈴木)頭文字を取って「T」なんて言われています。それ以外にも、いろいろなものが出る可能性があります。そうすると、臨時国会の冒頭からいきなり資質の問題になる。あれだけ重要な課題があるのに、その手前のところで揉めるかもしれないという、かなり波乱の国会になると思います。資質は大事なのでやらなければいけないけれど、それと合わせて、先ほど言った重要課題を議論する国会にして欲しいと思います。
飯田)6月に終わってから、3ヵ月~4ヵ月くらい国会が閉じていたと。その間に起きたことはいろいろあったし、足元の台風15号の対応についても聞かれるでしょうね。
災害対策、公共事業についても議論すべき
鈴木)災害対応もそうでしょう。危機管理のあり方とか、前から言われている防災省を置くとか。必要ないと一蹴しているけれど、考えなければいけないと思います。今回もそうですが、この異常気象のなかで台風の質も変わって来ています。防災というものは災害から身を守る感じではなくて、日本の安全保障だと思うのですよ。国民の命、財産を守るという意味では戦争と同じで、災害・地震や台風などは敵です。そういう意識で、安全保障問題として本気で取り組まないといけないでしょうね。それも課題です。
飯田)今回、台風だけでなく九州で豪雨があったり、いろいろと起こりました。その事後対応として、これから予算付けもやって行くのでしょうが、事前に備えるところも議論しなければいけませんよね。
鈴木)電車を事前に止めたりということで、世の中の不満も出ていますよね。だけど防災でいちばん大事なのは、空振りを恐れないということです。そういう意識を行政、国民含めたみんなのなかに植え付けなければいけません。そういったことも議題に上げて、国会で議論して欲しいところですよね。やることはたくさんあります。
飯田)いままで、公共事業をどんどん減らして来ました。その結果として70年代につくったインフラがそのままになっていて、通れない橋が出て来たりしています。それが今回の台風を耐えられたのか、次に来たときにどうなのか。そろそろお金をかけなければいけないところが出ていますよね。
鈴木)国土強靭化というのはそこなのですよ。かけるべきところはかける。防災上やるべきところはやらなければいけません。だけど、お金は無尽蔵にあるわけではない。予算のメリハリも重要です。予算を組むのは12月で、来年(2020年)に審議するわけだから、その前哨戦ということで、野党は予算の話にも突っ込んで行かなければいけませんよね。
野党は統一会派という大きな局面に
飯田)野党で言うと、安住さんら3人が立民入りで最終調整と。党首会談をやるという話が1度流れましたけれども。
鈴木)統一会派に向けて確実に進んでいるのは間違いないです。野党も統一会派という、政局的に大きな節目なのですよ。ここで1つになってやって行かないと。18日に立憲の長妻昭さんと会いましたが、野党統一の政策的な柱は社会保障で行きたい、と言っていました。国民の関心が非常にあるでしょう。これで野党は何とか統一会派をつくって、その流れを次の総選挙に持って行きたい。ここが野党の試されているラストチャンスだと思います。政局的にも見どころがあります。
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