黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、株式会社「ものめぐり」の商品ジャーナリスト、北村森が出演。注目すべき街について語った。
黒木)今週のゲストは株式会社「ものめぐり」商品ジャーナリストの北村森さんです。今年(2019年)は令和元年ということですが、注目の街を北村さんに教えていただこうかなと思います。
北村)北海道の帯広です。北の屋台。ここはずいぶんと前から屋台村を押さえているのですね。平成の時代の屋台村人気の立役者、元祖と言われています。地元の人も旅の人も、出張の人も来ます。通常、観光施設には観光客しか来ません。ですが、この屋台村は地元の人にも愛されています。さらに生産者も、「うちのチーズを扱ってくれ」と売り込みに来ています。みんながそこに集っている。ややもすると観光客を呼べればいい、少し人気が出ればいいとなりがちです。令和になっても屋台村、横丁というものは各地で増えています。その各地の方で屋台村の存在に迷ったら、帯広はなぜ元祖と言われ、人気が続いているのか、確認に来るといいです。
黒木)北の屋台、帯広。
北村)ここは長らく人気を続けています。
黒木)他には?
北村)これは街づくりというよりは人が集った、もっと言えばものが集った話なのですが、沖縄に「いちゃゆん」という泡盛があります。
黒木)いちゃゆん。
北村)去年(2018年)の限定発売なのですが、沖縄物産展などで手に入ります。ネット通販でも、探せば残っているところもあるようです。沖縄には46の酒造所、つまり蔵があります。その46、全部の蔵の泡盛をほぼ均等にブレンド、混ぜて1本の泡盛にしたものが「いちゃゆん」です。
黒木)いちゃゆんとは、「出会い」という意味なのですね。
北村)お酒業界に限らず、地域で何かをしようとすると、なかなか一枚岩になることができないものです。「こんなものに何で自分が一肌脱がなければならないのだ」とか、「そんなことをして何の意味があるのだ」などと言う人が必ずいます。しかし今回、いちゃゆんという泡盛を作るために、沖縄県の酒造協同組合の人たちが頑張って1つ残らず、離島も含めて大小さまざまな46の蔵、全部に声をかけた。説得して原酒を集め、「いちゃゆん」という泡盛を作った。沖縄県、全蔵のブレンドですよ。他の地域ではあり得ないことではないですか。これが美味しいのです。
黒木)「いちゃゆん」の蔵元さんはいるのですか?
北村)「いちゃゆん」は、酒造協同組合自身がつくっています。酒造組合でも酒造所を持っています。そこで作って、すべての蔵の泡盛を1度集め、責任を持ってブレンドしています。
北村森(きたむら・もり)/株式会社「ものめぐり」商品ジャーナリスト
■1966年、富山県生まれ。慶應義塾大学卒業。
■1992年、日経ホーム出版社に入社。編集者兼記者として活動。
■2005年、「日経トレンディ」編集長に就任。2007年からは発行人を兼務。「消費者がお金で買えるもの全てをテーマに据える」を旗印に、低落傾向にあった販売部数を大きく立て直すことに成功。
■2008年に独立、フリージャーナリストの道へ。また編集者として活動する傍ら、メディアにも積極的に出演。2017年にはサイバー大学IT総合学部教授に就任。
■現在は、取材した日本のものづくりのいまを雑誌やWebで執筆する他、メディアにも数多く出演。海外も含め多忙な取材活動を行っている。
ENEOSプレゼンツ あさナビ(10月3日放送分より)
FM93AM1242 ニッポン放送 月-金 6:43-6:49
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毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳