世界各地に散らばるISの残党~報復テロの警戒が必要

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月1日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。指導者を失ったISの今後について解説した。

世界各地に散らばるISの残党~報復テロの警戒が必要

バグダディ容疑者を死亡させたとされる作戦が行われた現場=2019年10月27日、シリア北西部イドリブ県(ゲッティ=共同) 写真提供:共同通信社

ISが最高指導者バグダディ容疑者の死亡を認める~後継者も指名

過激派組織IS(自称イスラム国)は最高指導者バグダディ容疑者の死亡を認めた。死亡を受け、アブイブラヒム・ハシェミ・クラシ氏を後継指導者に指名した。

飯田)これは音声での声明です。一部では報道官も死亡したと言われています。先週末からこのようなニュースが飛び交いましたが、どのようにご覧になりましたか?

宮家)アメリカに「喜ぶな」と警告したそうですね。その通りでして、喜んでも仕方ないのですよ。今のISは国の体を成していない、組織もない、領土もないわけでしょう。ということは、ただのテロリストと同じです。そうであれば、各地に散らばって、静かに隠れて計画を練り、次のターゲットを狙います。しかも、最悪の恐怖を与えるために、もっとも脆弱なところを狙うのです。バグダディ容疑者がやられても、もともと逃げていたのだから、彼らにとっては織り込み済みですよ。彼がいてもいなくても、とっくに組織はガタガタなのだから、アメリカは喜んでいられる暇はないのです。さらにISは面白いことを言っています。トランプ大統領については「朝と夜に意見を変える年寄りの愚か者」としていますが、意外と正しいことを言っているなと思いました。しかし、それ以外はみんな間違っています。ISはテロリストですから、彼らのやり方は元に戻っただけで、いままでが例外だったと考えればいいと思います。これから重要なことは、各地で報復が起きますから、それを各国がどれだけ未然に防ぐことができるかです。

世界各地に散らばるISの残党~報復テロの警戒が必要

公開された「イスラム国」(IS)の最高指導者バグダディ容疑者とされる男の映像=2019年4月 写真提供:時事通信

本来あるべき姿に戻った

飯田)もともとISが出て来たときに、領域支配をするのが新しいところだと言われていましたが、それはすでに終わった。

宮家)普通テロリストはそういうことはしないのですが、今回はカリフという夢を見たのでしょう。イラクが戦争、シリアが内戦で壊れてしまって、そこに一種の力の空白、パワーバキュームができた。そこに上手く入ったのがISですから、必ずしも実力ではありません。もともとISは消費団体であって、生産団体ではありませんからね。生産者に寄生しながら生きて、石油をある程度確保して、上りをばらまいて来たわけだけれど、本質的には何の生産もできない人たちだから、いまは成れの果てですよ。本来あるべき姿に戻ったので、いままでが夢だと考えなければいけないと思います。

飯田)崩壊しかかった国家のところに、こういった過激派が巣食ってしまうと、イエメンなどのいろいろな場所に散らばって行く可能性がありますね。

今後の報復に注意しなければならない

宮家)もう散らばっていますよ。あそこには強力なIS系の団体がいます。でも、イエメンだけではありません。やはり、ヨーロッパやアメリカでこれから何をするかが問題だと思います。幸い日本は遠し、欧米よりも状況がいいとは思います。それでも、決して気を抜いてはいけません。

飯田)アジアと考えると、インドネシアやフィリピンのミンダナオ島にも、一部IS系がいるとされていましたよね。

宮家)ずいぶん掃討作戦をやったのですが、完全には掃討できないと思います。仮にその人たちがやられても、必ず新しい人材をリクルートします。リクルートするだけの土壌がどこの国にもあるということです。

飯田)それだけの不満もあるし。

宮家)例えば、貧富の差があったりね。

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