ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」（11月12日放送）にジャーナリストの有本香が出演。香港で警察がデモ参加者に発砲したニュースについて解説した。

香港でデモ隊の1人（中央）に発砲する警官（手前左）（2019年11月11日公開の映像より）AFP PHOTO / CUPID NEWS　AFP＝時事　写真提供：時事通信

香港警察がデモ参加者に発砲、男性1人が重体

抗議活動が続く香港で11日朝、警察がデモ隊に向け、至近距離から複数の実弾を発射した。地元メディアによると、実弾が少なくとも3発発射され、男性2人に命中。2人は病院に運ばれ、1人が重体となっている。香港では11月8日に抗議活動の参加者と見られる男子大学生が死亡して以降、市民の間で警察への反発が広がっており、緊張が高まっている。

飯田）もともと警察への不信は高かったし、不審な亡くなり方をしている人はたくさんいたけれど、この男子大学生は…。

有本）こんなにあからさまに。

飯田）今回はその様子が、ネット上で生中継されていました。

有本）先月（10月）来、発砲許可が出たとは言われていて、11月8日に大学生が死亡した。今回のように衝撃的な映像が、割合近いうちに出るのではないかという嫌な予測がされていましたが、あれほど至近距離で撃つというようなことは。他にも、デモ隊の間をずっとバイクが蛇行していますね。

飯田）轢き殺そうとしているような。

有本）本格的に中国式の弾圧をやっているという状況です。あまりにも不適切で残念なことが起きています。さらに、セントラル（中環）という香港きってのビジネス街でも、催涙ガスを撃つということがありました。

飯田）セントラルというところは、東京で言うと大手町、あるいは西新宿の新都心のようにビルが立ち並んで、ビジネスマンが働いているところです。

有本）本来であれば、買い物客も多いところです。そのセントラルでそういうことが、普通の人に向けて起きてしまうというのは、香港のビジネス都市としての機能が完全に麻痺して行くということだと思います。

至近距離で発砲に猛反発　男子生徒が警官に撃たれたことを受け、九竜地区のショッピングモールで開かれた抗議集会＝2019年10月2日、香港（共同）　写真提供：共同通信社

日本の国会で話題にして声明を出すべき

飯田）4日、上海で中国の習近平国家主席と、香港政府トップの林鄭月娥行政長官が会いました。その際に暴力の制止、秩序回復が香港の最重要任務だと確認された。その指令が出たと見るべきなのですよね？

有本）もちろん、暴力行為は絶対にいけません。しかし、なぜここまで暴徒化しているのかという根本を考えれば、すでに辞めることを表明したわけですけれど、行政長官とまったくコミュニケーションが取れていないのです。住民の意向を聞こうという姿勢を見せなかったのが問題です。どんどん中国化して行って、デモなどにはいちいち取り合わないという状況になっている。私は、こういうことが日本の国会で、ひとかけらも話題にされないのはあまりにも残念だと思いますね。

飯田）国会で何か決議が出たり、議論されたということはほとんどなくて、議員が個人でツイッターを書くくらいです。

有本）個人のSNSでやるのではなく、議場のなかでこれを問題にして、できれば声明くらいは出して欲しいですね。彼らは自由と民主主義のために戦っているのです。それが欲しくて戦っている人たちに対し、日本の民主主義の府が何も発信しないというのは、あまりにも残念です。それが日本の国会に対して言いたいことです。もう1つの問題は、この状況はすぐには収束しません。これで本当に日本政府は予定通り、習近平国家主席を国賓として来年（2020年）春に迎えるのでしょうか。

習近平国家主席を国賓として迎えることは世界中に誤ったメッセージを送ることになる

飯田）そうですよね。もうそれに向かっての気遣いも見えます。

有本）配慮していますし、確かに総理はこのことについて、これまでも懸念を習近平国家主席ご本人に向けて発してはいますが、だからいいという話ではない。事態はどんどん悪化しており、映像的にも世界中に流れています。更に、日本は新天皇のご即位の一連の行事があって、それも世界中に報道されているわけです。習近平国家主席を国賓で迎えるということは、天皇陛下も歓迎行事をするということです。

飯田）お会いにもなるし。

有本）晩餐会もやって、杯をあげるわけです。これは大変間違ったメッセージを、世界中に送ってしまうことになりかねない。私たち国民としては、陛下をお守りするといったら不遜な言い方に聞こえるかも知れませんが、そういう点からしても是非止めてほしいですね。

飯田浩司のOK! Cozy up！
FM93AM1242ニッポン放送　月-金　6:00-8:00