強硬姿勢の中国~もう香港を泳がせておくメリットはなくなったのか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月13日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。香港デモで日本人が負傷したニュースについて解説した。

抗議デモが続く香港~日本人男性が負傷

茂木外務大臣は12日、政府への抗議デモが続く香港で50代の日本人男性がデモに遭遇し、負傷していたことを明らかにした。命に別状はないという。香港では11日に抗議活動と関連して287人を逮捕。警察官がデモの参加者に発砲するなど、デモ隊への強硬な姿勢が鮮明になっている。

飯田)負傷した男性について命に別状はなく、病院で治療を受けて既に退院していたということです。香港に出張中の民間人で、デモ隊をスマホで撮影しようとしたところで中国人と間違えられたのではないか、ということです。

高橋)物騒ですね。香港はもともと自由なところで、金融取引が盛んなのですけれどね。金融取引が盛んなところでもこういうデモ活動があるということで、香港の経済が心配です。安全な場所でしか経済活動はできません。香港から逃げ出している人もいるという話を聞きますが、どうなってしまうのでしょうか。

飯田)現地の映像がネット上に上がっていたりもしますが、観光客が多く集まるセントラル(中環)にも、ほとんど人がいないという状況のようです。

強硬姿勢の中国~もう香港を泳がせておくメリットはなくなったのか

死亡した男子大学生が転落した現場近くで花を手向ける人たち=2019年11月8日、香港・新界地区(共同) 写真提供:共同通信社

もともとあり得ない制度だった「一国二制度」

高橋)大変ですね。一国二制度自体、始めたときから10年くらいで嘘だとわかっていたのですが、これが明々白々になってしまいました。もともと一国二制度はあり得ない制度なのですよね。

飯田)同じ国のなかにまったく違う政治形態があるのは、そもそも存在し得ないということですね。

高橋)一国二制度をして10年くらい経った後に、司法をどうやるかということが、いちばんはっきりと出るのですよ。でも別々に、この地域はOKでここはだめなんて言いにくいでしょう。香港の司法の解釈権は中国政府にあると、中国政府ははっきりと言っているのです。香港のデモに対する鎮圧も、民主主義国のやり方とは違いますよね。銃を向けるか向けないかでは大分違うのですよ。でも平気で向けています。

強硬姿勢の中国~もう香港を泳がせておくメリットはなくなったのか

香港でデモ隊の1人(中央)に発砲する警官(手前左)(2019年11月11日公開の映像より)AFP PHOTO / CUPID NEWS AFP=時事 写真提供:時事通信

警告なしにデモ参加者へ向け発砲

飯田)警告もなしに発砲していますよね。

高橋)普通は上に警告で発砲してからやるのが普通でしょう。そうではなく、いきなり撃っています。あれはちょっとあり得ないですよね。民主主義国のやり方ではありません。拳銃を奪われそうになったからと言うのですが、その前にちょっと引いて、上に撃つのが普通でしょう。

飯田)そうですよね。そういった警告もないし。

高橋)撃てばみんないなくなるのですから。

飯田)動きを止めるのであれば足を狙うという選択肢もあったのに、あれは完全にお腹を狙っていました。今回、発砲したのは交通警察で、デモ隊に対応する部隊が別にあるのですが、それとは違う一般警察にも発砲許可が下りていることを考えると、相当のことですよね。

高橋)天安門事件のときと同じように、来たら撃つということなのだろうとしか思えません。

強硬姿勢の中国~もう香港を泳がせておくメリットはなくなったのか

集会に参加し、音楽に合わせてスマートフォンを揺らす生徒ら=2019年9月2日、香港(共同) 写真提供:共同通信社

中国は強硬姿勢~もはや香港を泳がせるメリットはなくなった

飯田)先日、習近平国家主席と香港のトップである林鄭月娥長官が会って、そこで「とにかく抑え込め」ということを言われたそうです。

高橋)強硬方針ということですよね。今回の件でもまったく聞く耳を持たずに、ああいった発砲があり得ると言っているわけでしょう。香港には怖くて行けませんね。中国人と間違えられてしまって、下手にマスクなんてしていたら大変ですよ。

飯田)マスクをしていたら、今度は警察から疑われてしまいます。

高橋)香港も完全に中国なのでしょうね。

飯田)もともと香港は一国二制度のグレーな部分を通じて、外貨の獲得を目的として開いていた部分もあると思うのです。ここを閉められてしまって、中国経済は回って行くのでしょうか?

高橋)おそらく回るのでしょう。もはや香港も泳がせておくメリットがなくなったと、習近平氏は判断しているのでしょうね。

飯田)いままでは共産党幹部の人民元を、どこか別の国の資産に変える窓口として機能していたという話もあります。

中国国民の金流情報を掌握するためのデジタル貨幣導入

高橋)いまはいろいろなルートがあるのでしょう。中国人民銀行がデジタル貨幣をやりますが、あれは追跡できるのですよ。普通、西側の国は技術があっても追跡しないのです。でもデジタル貨幣をやるということは、貨幣の流れを追跡したいのでしょうね。すべての情報を中央政府が握るという、ビッグブラザーの典型的な感じで導入するようですね。

飯田)デジタル情報の管理に関して、国家が全部吸い上げる形なのか、そうしない西側の形なのか。

高橋)デジタル貨幣は匿名性があって分散するから、政府の関与がないというのが西側の理解なのですが、その技術を逆手にとって、すべての人民のお金の情報をトレースするのが中国のやり方ですよね。インターネットでもすべて中国政府が管理しています。日本だとそんなことはしません。

飯田)国民の一挙手一投足まで見ると。

高橋)それが当たり前なのでしょう。あの国の技術が日本の役に立つと言うのだけれど、日本や西側では使えないですよね。

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