1970年「大阪万博」を振り返る特別展・『ビフォー・アフター』展
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ニッポン放送「週刊 なるほど!ニッポン」(12月1日放送)では、「1970年、あの『大阪万博』の個性的な『パビリオン』たち! あいついま何してる?」というトピックスを紹介した。
1970年、大阪府吹田市で開催された「日本万国博覧会」……通称「大阪万博」。
テーマは「人類の進歩と調和」。国内外合わせて116のパビリオンが参加し、183日間にわたって開催された。総入場者数は6421万8770人。ちなみに当時の日本の人口は、約1億400万人だった。これだけでも開催規模の大きさがうかがえる。
その「大阪万博」の跡地を整備した公園である「万博記念公園」では、特別展「1970年大阪万博『ビフォー・アフター』展~あのパビリオンはいまどこに?~」が12月17日まで開催。
その特別展の内容はどんなものなのか? 万博記念公園マネジメント・パートナーズの小谷洋介さんに、立川晴の輔が話を伺った。
晴の輔:パビリオンなど、いまも残っているものがあるのですね。
小谷:2019年現在、当時のパビリオンは6館が残っています。そのうちの1つが『万博記念公園』の『鉄鋼館』。中身をリニューアルして、新たに万博の展示施設としてオープンしたのが『EXPO’70 パビリオン』です。その1階部分で、今回の特別展『ビフォー・アフター展』を行っております。
晴の輔:「太陽の塔」以外は、全部解体されているものだと思っていました。
小谷:万博公園だともう1つ、『大阪日本民藝館』があります。残り4つは日本各地や、海外にも1つあります。
小谷:当初はもっと残っていたのですが、現在は解体されてしまっています。例えば南米のパビリオン『ウルグアイ館』は、兵庫県の氷上町に行って、ラーメン屋になっていました。
晴の輔:ウルグアイ館が兵庫県で、ラーメン屋さんに! いまもそのラーメン店はあるのですか?
小谷:2001年ごろになくなりました。他にも移築されて、第2の人生を送っているものもあります。例えば長野県諏訪市の『ラオス館』は現在、『昭和寺』というお寺になっています。インドやタイなどの寺院風で、そのままの形で残っています。また、神戸市北区の『カンボジア館』は、広陵町自治会館になっています。
クメール建築と言うのですが、カンボジアは雨が多い国ですので、急勾配の屋根になっています。屋根瓦は遠くからでも見つけやすい、特徴的なイエローオレンジです。
小谷:当時の三洋電機が出していた『サンヨー館』は、カナダのバンクーバーに行きました。ブリティッシュコロンビア大学のアジア図書館となり、現在も使われています。
晴の輔:『サンヨー館』とは、どのような建物だったのですか?
小谷:日本家屋のような大きい屋根が特徴的で、それがそのまま図書館の屋根になっています。
晴の輔:万博は終わっても「夢」がありますね。
小谷:1999年に取り壊されているのですが、静岡県伊豆に『伊豆富士見ランド』という遊園地があり、アトラクションとして『サウジアラビア館』が活用されていました。ミツバチの巣をかたどった、イスラム教寺院のようなパビリオンでした。
晴の輔:サンヨー館と言えば、『人間洗濯機』を思い出します。
小谷:実は『人間洗濯機』も残っているのです。三洋電機さんがパナソニックさんの傘下になった関係で、大阪の『パナソニックミュージアム』に、当時の『人間洗濯機』がそのまま展示されています。また、岡山の陸上自衛隊駐屯地・日本原駐屯地には『ミュンヘン市館』もあります。
晴の輔:何のパビリオンだったのですか?
小谷:かなり大きいビアホールだったようで、ミュンヘンオリンピックの歴史や、ビール文化を紹介していました。万博後は日本原駐屯地で、最初は売店として使われていましたが、現在は広報室として現存しています。
晴の輔:当時の大阪万博に行った方には懐かしく、逆にまったく知らない世代からすると、新鮮かもしれませんね。
小谷:そう思います。移築されたパビリオンが自分の街の近くにあることを知ると、みなさん「嬉しい」「知らなかった」という感想を持たれます。実際に展示していた現物も何点かあり、大きなものでは『スイス館』の一部であった『光の木』。当時は3万個ぐらいの電球を使用して光らせていましたが、現在は30個ほど残った状態で展示しています。
小谷:万博終了後のパビリオンは取り壊すのが決まりになっているのですけれど、そういった規則がありつつも、「町おこしなどで移築したい」という自治体の方々からの要望が多いのです。そのため、窓口を設けてやりとりをした結果、話がまとまったものが残って行きました。
晴の輔:きっと、パビリオン自体に魅力があるのでしょうね。
小谷:来年(2020年)で50年間も残っていると思うと、ロマンがあります。ただ、維持するのは大変だというご意見もあります。今回の展示もみなさんに見ていただくと同時に、維持するために頑張っていらっしゃる方がいるということが、伝わればいいなと思っております。
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