勝手にさせないことが大事~年末年始は北朝鮮の動きに要注意

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ニッポン放送「ザ・フォーカス」(12月16日放送)に産経新聞客員論説委員・国際医療福祉大学の山本秀也が出演。アメリカのビーガン北朝鮮担当特別代表の動向について解説した。

米朝首脳会談  28日、首脳会談を行った北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左、ロイター=共同)と会談後に記者会見するトランプ米大統領(共同)=2019年2月28日 写真提供:共同通信社

アメリカ、北朝鮮に対して交渉への復帰を呼び掛ける

ソウルを訪れているアメリカのビーガン北朝鮮担当特別代表は16日に記者会見を開き、北朝鮮に挑発行動をやめて米朝交渉に復帰するよう呼び掛けた。北朝鮮が年末を非核化交渉の期限としていることについては「米国には期限は存在しない」と述べ、北朝鮮高官らがアメリカや日本を批判する発言を繰り返していることに関して不快感を表明。「いまこそ非核化を進めるときだ。まだ遅くない」と訴えた。

森田耕次解説委員)アメリカのビーガン北朝鮮担当特別代表は、韓国の外務省で趙世暎(チョ・セヨン)外務省第一次官、李度勲(イ・ドフン)朝鮮半島平和交渉本部長と協議しました。その後、文在寅大統領とも会談したということです。ビーガン特別代表と文在寅大統領との会談は、2018年9月以来。北朝鮮は、アメリカが態度を転換する期限を年末だと宣言して挑発を強めており、米韓両国は共同歩調をアピールして、北朝鮮に自制を促す構えです。ビーガン特別代表は外務省で異例の記者会見を、李度勲平和交渉本部長と開き、北朝鮮に挑発行動をやめて非核化交渉に復帰するよう呼び掛けました。北朝鮮が年末を期限としていることについては、「アメリカには期限は存在しない」と述べ、アメリカを縛るものではないという考え方も表明しています。ビーガン特別代表は17日までソウル滞在予定なのですが、南北の軍事境界線がある板門店で、北朝鮮高官と接触することを模索しています。共同記者会見でも北朝鮮に対し、「私たちはここにいる。連絡手段は知っているはずだ」と述べて、接触に応じるよう促したということです。

山本)これは17日にかけての動きを見たいですよね。北朝鮮はこのところ、かなりアメリカを揺さぶる行動を取っています。今月(12月)に入って、7日と13日に重大実験をやったと。これはどう考えても、大陸間弾道ミサイル(ICBM)のエンジン燃焼実験と捉えるのが普通です。

森田)13日もそんな動きでしたか?

山本)恐らくそうですね。東倉里(トンチャンリ)で行われました。そうなって来ると、北朝鮮側は「早く交渉のテーブルに着け」ということで揺さぶっているわけですが、アメリカは「交渉期限は存在しない」という言い方をしています。相撲の立ち合いと一緒で、交渉に向き合うための条件が整わないとできませんからね。

スティーブン・ビーガン-Wikipediaより

韓国の国防関係者と政治関係者に温度差

森田)韓国側は、ミサイル実験をどのように見ているのでしょうか?

山本)国防関係者と政治関係者の見方に、温度差があると思います。韓国の軍事・安全保障の専門家は、非常にクリアに見ていますし、アメリカとも意見交換をしています。これが何を意味し、アメリカにどう映るのか、地域の安全保障をどう揺さぶって来るのかがわかっていますが、問題は文在寅政権です。政治の舵取りがどちらを向いているのか。

森田)大統領自体がどう思っているのかということですね。

山本)あの政権自体が、南北融和の価値をたいへん重く見ているので、安全保障をやっている韓国の軍人や専門家、あるいは周辺国である我々やアメリカとは温度差があると思います。

森田)年末に期限を区切ったり、金正恩委員長本人は言っていませんが、北朝鮮高官がトランプ大統領のことを「もうろくした老人」と言い出したりしています。

山本)声明で出ていた「あまりにも敵意があり、否定的」という言葉通りですよね。交渉に行く過程で強い言葉が飛び交うことはありますが、まだ交渉のテーブルにつくには時間がかかると見ています。

森田)トランプ大統領は、金正恩委員長との首脳会談は当分ないと思っているのでしょうか?

山本)彼はそこで動かせると思ったら、やると思います。彼はいま得点を稼がなければいけない立場です。年が明けたら選挙イヤーですからね。弾劾問題もありますし、得点を稼げると思ったところには行きますよね。それに乗せられない形を、何とかつくって行かなければなりません。これは政治で動いていい問題ではないですからね。

23日、ハノイでの第2回米朝首脳会談のため平壌駅を出発する際、朝鮮人民軍名誉儀仗(ぎじょう)隊を閲兵する金正恩朝鮮労働党委員長(中央)=2019年2月24日 写真提供:時事通信

日米韓ががたついていることに付け入ろうとする北朝鮮

森田)ビーガン特別代表は17日まで韓国を訪問して、その後は東京に移動する予定です。東京では、外務省の滝崎アジア大洋州局長らと会談する見通しということです。日本は相当警戒しないと、また日本列島の上空を通過するミサイル発射もあり得るのではないでしょうか。

山本)ICBMはもともとの距離が相当に長いですから、いつかのように日本列島を超えるパターンもあるのかもしれません。

森田)日本政府は年末にかけて、気の抜けない状況になっているのでしょうね。

山本)情勢をきちんと見て行かなければいけません。先ほどの話にもあった、日米韓の安全保障のトライアングルが、妙な形でがたついていることに付け入ろうとしますからね。

森田)ビーガンさんが日本へ来たときも当然その話をして、日朝首脳会談について菅官房長官は16日、「条件をつけないで向き合う姿勢に変わりはない」とおっしゃっていました。その辺もけっこう難しいのですよね。

山本)しかし向き合わないというのは、また違ったメッセージを出してしまうことにもなります。外交は2国間問題だけではなく、第三国がどう見るかということも考えなければいけません。

森田)年末にかけての北朝鮮の動きは要注意ですよね。

山本)年末というか、年を超えても重大な懸念事項ですね。

森田)期限を勝手に設けられてしまっていますから、それまでに何かされそうな気がして仕方がないです。

山本)勝手にさせないことが大事ですよね。彼らの思惑で物事を決められたらたまりません。

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