世界から期待される日本の外交手腕と役割とは~安倍総理中東歴訪
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ニッポン放送「ザ・フォーカス」(1月14日放送)に中央大学法科大学院教授・弁護士の野村修也が出演。安倍総理の中東歴訪について解説した。
安倍総理、UAEのムハンマド皇太子と会談
中東を歴訪中の安倍総理は、2番目の訪問国であるUAE(アラブ首長国連邦)でムハンマド皇太子と会談した。会談で安倍総理は、中東地域の緊張緩和に向けて外交努力を継続していくことを表明。それに対しムハンマド氏は“地域の安定化に向け、日本など関係国と歩調を合わせて外交努力を尽くす”と応じた。
森田耕次解説委員)中東歴訪中の安倍総理、最初の訪問国サウジアラビアから次の訪問国であるUAE(アラブ首長国連邦)の首都アブダビへ移動しまして、アブダビ首長国のムハンマド・ビン・ザイド皇太子と会談した。UAEは日本にとってもサウジアラビアに次ぐ原油の輸入元。物流の要衝であるホルムズ海峡にも近いということで、安倍総理とムハンマド皇太子は日本への原油の安定供給を維持するということで確認しております。また、総理は海上自衛隊の中東派遣と日本関係の船舶の安全航行への支援を要請しまして、ムハンマド皇太子は「沿岸国として具体的な協力を惜しまない」と語ったということです。安倍総理は最後の訪問国、オマーンのマスカット国際空港に日本時間14日の夕方に到着しています。
野村)今回の訪問の第1の目的は、日本の海上自衛隊を中東地域に派遣しますので、派遣についての理由と目的、活動の理解を求めるという目的だったのです。それについては一定程度の成果を得られていると思いますが、アメリカは有志連合を組んでホルムズ海峡の安全保障を確保していきたい、みんなでイラン包囲網のようなものをつくろうという動きだったのです。これにサウジアラビアやUAEは参加していますが、日本は参加しないという立場です。参加しない理由としては、イランとの間にも友好関係がありますから、敵対的な立ち位置には立たないと。それで今回調査・研究という派遣理由になっています。そうであるならば、ここでUAEやサウジアラビアを回って歩くと有志連合側であるとみられてしまうのではないか、という懸念があるとすればイランにもきちんと説明に行かなければいけないでしょうし、立ち位置を明確にすることは必要だと言えます。
イランとの関係を維持しながらも、中東諸国とのつながりを深めることも重要
森田)UAEのアブダビ首長国と日本国内で原油の共同備蓄事業を行っていまして、これまで100万キロリットルの備蓄だったのを130万キロリットルに拡充するということでも安倍総理はUAE側と合意したということです。UAEとは経済的なつながりが大きいですし、ビザも完全免除すると伝えたようですね。人的交流も深くなってきそうです。
野村)なんと言ってもドバイという最大の都市がありますし、そこは経済発展も非常に強いですから、日本としても友好関係は大事にしたいと思っていると思います。
森田)そういった意味ではドバイを抱えているUAEと日本との関係も大事だし、イランのことも気にはしつつということですね。
野村)日本の場合は外交努力によって、アメリカとイランとが軍事衝突をしないようにする役割が世界から期待されているのですよね。戦争は人道的に許されないことですし、経済にとっても決していいことではありませんから、回避するために日本がどれだけの役割を果たせるか。安倍総理の外交手腕が問われると思います。
番組情報
錚々たるコメンテーター陣がその日に起きたニュースを解説。佐藤優、河合雅司、野村修也、山本秀也らが日替わりで登場して、当日のニュースをわかりやすく、時には激しく伝えます。
パーソナリティは、ニッポン放送報道部解説委員の森田耕次。帰宅時の情報収集にうってつけの番組です。