ニッポン放送「ザ・フォーカス」(1月21日放送)に中央大学法科大学院教授・弁護士の野村修也が出演。東京福祉大学など私立大学への助成金打ち切りについて解説した。
授業料集めのために“出稼ぎ”留学生を招き入れる学校
文部科学省の事業団は、多くの外国人留学生が行方不明となるなどの問題が明らかになった東京福祉大学や、元理事長らが業務上横領容疑で逮捕、起訴された大阪観光大学について、私学助成金を全額カットする処分を決定した。大学にとって貴重な運営費となる助成金のカットは異例の措置。
森田耕次解説委員)私学助成金というのは、国が日本私立学校振興共済事業団を通じて、学生の数や教員の数などに応じて出す補助金です。全額不交付となった場合、次の年度も同じ措置を受けるということです。今回、過去3年でおよそ1600人の留学生が所在不明になっているとして、文部科学省は2019年6月に新規受け入れを当面見合わせるよう指導した東京福祉大学について、短大部と合わせて全額不交付としました。判断にあたっては、元理事長が過去に実刑判決を受け、学校法人の運営に関わらないとしながら実際には関与していた事実が新たに判明したことも踏まえたとしています。短期大学への助成金も含めて2年間で11億2000万円を交付しないことにしています。大阪観光大学も運営する学校法人らの元理事長らが土地の売却に絡んで資金21億円を着服したとして、大阪地検特捜部に起訴されました。2年分の助成金2億8000万円が全額カットになったということです。
野村)私立学校のガバナンスに関してはこういった不祥事がありますので、改革していかなければいけません。先週から、私立学校のガバナンスに関する有識者会議が始まりまして、私もそのメンバーとして議論に参加していますが、ほとんどはいい学校なのですよ。ただ、こういった不祥事があった場合にきちんといまのルールで大丈夫なのかという問題を考えなければいけないということは言えます。他方、東京福祉大学は外国人をどんどん受け入れて、学生が減っている分を留学生で埋めようとした部分があるのです。外国人の側には留学制度を悪用して、出稼ぎ的な形で日本にやって来る人たちもいるのですよ。ルールがあって、留学生は学校があるときには週28時間しかアルバイトできないことになっています。夏休みのような長期休暇の際には1日8時間、労基法には上限がありますから、週40時間という限度があるわけです。これを超えて違法にアルバイトする人たちも出ていて、学校制度を悪用されていますから、その点もよく考えなければいけません。ただ、学校にも授業料集めのために留学生を招き入れている部分もあるので、改善していかなければいけない問題は多いです。
内部捜査のため食い違いも発生してしまう
森田)捜査機関のように調査は事業団がやるわけではないでしょうから、大学側が申告する形にしていかなければいけませんね。
野村)第三者委員会を立ち上げて捜査する流れがありますので、内部でしっかりと人に頼んで調査して貰う動きも必要だとは思います。ただ、第三者委員会の報告書と学校の意見が食い違っているような場面も出ていますから、今後は調査の仕方も検討していかなければいけないと思います。
森田)受験生はそういった情報も詳らかに出して貰わないと、受験にも影響することになりますね。
番組情報
錚々たるコメンテーター陣がその日に起きたニュースを解説。佐藤優、河合雅司、野村修也、山本秀也らが日替わりで登場して、当日のニュースをわかりやすく、時には激しく伝えます。
パーソナリティは、ニッポン放送報道部解説委員の森田耕次。帰宅時の情報収集にうってつけの番組です。