日中青少年交流推進年 修学旅行を工作の一貫として利用する中国
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月16日放送)にジャーナリストの有本香が出演。日中関係について解説した。
中国の習近平国家主席の訪日~6月で最終調整へ
河野外務大臣は昨日(4月15日)、訪問先の北京で中国の李克強首相と、王毅国務委員兼外相とそれぞれ会談を行い日中両国の関係が正常な軌道に戻ったとして協力強化で一致した。また、習近平国家主席の訪日について、6月に大阪で行われるG20に合わせた日程を前提に最終調整することを確認した。
飯田)外務大臣が訪問しているということで、王毅さんと会うのはカウンターパートということになりますが、一応、李克強さんとも会って、ということでありました。
有本)「正常な軌道」とは、どういう軌道なのですかね。私は理解に苦しむのですけれども。
飯田)その前は異常な軌道だったのか、と思ってしまいますね。
有本)「いまが正常ですかね?」というところがまずあるのと、もちろん日本側としては目前に迫っているG20をやり通さなくてはならないので、協力依頼ということは分かりますがね。
「日中青少年交流推進年」は日本のためになるのか
有本)河野外務大臣と王毅さんの会談のなかで、例えば今年(2019年)を「日中青少年交流推進年」と位置付けて、今後は修学旅行を増やして若い世代の交流を後押しして行こうということがあります。しかし、若い世代の日中交流というものはずっと推進されて来ましたよね。かつては修学旅行も相当中国に行っていたのですけれども、日本側から中国に行った場合は、ほとんど政治的に日本の若い世代を取り込むという、言ってみれば広い意味での工作の一環として利用される。ところが日本側においてはそういう目論見は無いわけです。
飯田)日本側が取り込んでやろう、みたいなことは。
有本)ないですよね。「日本に来て下さい。日本の良いところを見てください。それで日本の良い部分を理解してくれれば、向こうでも親日的な人たちが増えるだろう」ということですが、日本にとってはまったく成功していると言えないと思うのですよね。国会でも質疑がありましたが、これまで中国からかなり多くの留学生を国費を投じて受け入れています。他の国からの留学生に関して言えば、これはそれなりに功を奏していて、日本理解や親日的な人を増やすことに寄与していますが、中国に関してはそうではない。同じように韓国もそうではないわけです。
そういう点において、向こうはこれを完全に政治利用するプログラムとしている。日本側はそうではないということを考えると、今年これをまた推進年と位置づけることには賛成しにくい。
飯田)そもそも李克強さんだって、小沢一郎さんのところに来ていました。
有本)そうですね。小沢一郎さんのところに来て書生さんみたいなことをしていた人ですからね。
飯田)正に青少年交流の申し子みたいな人が、では親日かと言うと…。
有本)まったくそうではない。親日という言葉も非常にトリッキーな言葉で、例えば日本食が好きだとか、日本語が話せるとか。王毅さんは本当にキレイな日本語をお話しになるけれど、それはこの人にとって1つの道具に過ぎないわけです。当然ですよ。自分たちの国の国益を最大化するために、相手の国を理解するということですから。
そうではなくて、例えば国民レベルで日本に対してよき感情を持ち、そして日本に悪いことをしないような人を増やそうとするのは、非常に困難だと思います。
それよりも日本人が向こうに行って、向こうの政治的思惑に取り込まれるリスクの方が高い。特に修学旅行のプログラムは、旅行会社が学校に持って行って決めてしまうではないですか。旅行会社側も中国側で受け入れられないようなプランを組むことは基本的にできないですよ。
飯田)そうですね。移動もできなくなってしまいますものね。
知財権の問題などが各企業に任されてしまう日本のスタンス
有本)多くの場合は高校ですが、では高校の先生が歴史認識の上で、正しいものを共有しているかと言うと必ずしもそうではない。中国側の歴史認識に沿った修学旅行をさせられているのがこれまでの話です。これからも私はそうなりかねないと思いますので、これは懸念が多い。また、日中の閣僚によるハイレベルの経済対話というものも行われています。
飯田)いろいろな閣僚が行っているみたいですね。
有本)知財権をめぐる問題はここでも俎上(そじょう)にあげられたということですが、これも根本的な解決が見えているわけではないですよね。
気になるのは、今朝も出ていましたが、日本のトヨタが電気自動車の技術を中国の企業に売るというニュース。それからトヨタをはじめとしたいくつかの日本企業が、中国のベンチャー系の新しい会社と提携を強めて行くという話題。トヨタ辺りの大企業であれば、知財権の問題も考えながらの戦略があると思うけれど、日本の技術を向こう側に売り渡す、或いはいままで技術を移転することを強要されていたわけです。売るにしても、彼らが得た技術で今度は国際市場に出て行くのだから、いままではライバルを育てているような構図になります。この辺りも根本的に、日本側のスタンスが各企業に任されてしまっていることが果たして良いのかなと思いますよね。
飯田)自由主義経済の申し子のようなアメリカであっても、安全保障であるとか、国防関係の技術は止めたりしますよね。あるいは買収をストップさせたり。日本はそういうことができないですね。
有本)ファーウェイに関する措置についても、日本はあまりピリッとしないですよね。
飯田)そもそも安全保障上の何が脅威になるか、何が国益かなどの共通認識がいまいち無い感じですよね。
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