「一斉休校」~安倍総理が犯した最大のミス
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月5日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。安倍総理の要請した小中高校の一斉休校について解説した。
一斉休校~栃木県茂木町では学童保育も実施せず
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として政府が要請した小中高校などの臨時休校について、栃木県茂木町は学童保育の子どもの密度が学校の教室よりも高いなどとして、実施しないことを決めた。
飯田)要請を受けて10日から臨時休校ということを決めてはいましたが、教師やPTAなどで検討した結果、通常通りの授業を続けることになったようです。
危機管理における4つの基本
鈴木)今回の休校については、是非が出ています。危機管理において大事なことを4つ挙げると、1番目に「最悪の状態を考える」、2番目に「少しでも早く手を打つ」、3番目に「情報公開」、4番目に法律で決められた範囲内でこれしかできませんということがたくさん出て来ます。そのときに総理が「政治決断する」ということです。官僚がいろいろ言ったり、法律の問題もあるかもしれません。でも「いま必要だから、自分が責任をとるからやれ」という決断。この4つだと思います。
1月の時点で考え始めなければいけなかった「一斉休校」~あまりに唐突
鈴木)一斉休校という政治決断は、あっていいと思います。ただ、あまりにも唐突すぎます。本当に休校ということを考えていたのかと言いたいですね。新型コロナウイルスの問題が、中国の武漢で出て来た。よくわからないけれど何かが起きている…というのは1月の話です。民間企業の人は、そのときから大変なことになると動き出していました。しかし、なかなか政府は動きませんでした。本当はそのときから集団感染したらどうなるか、いろいろな想定を始めなければいけなかったのです。時期的にはこれから学校の卒業式があって、試験もある、入学式もあるような大事な時期に、教育現場は入って行く。しかし一斉休校のようなことがあるかもしれない。ではどうするのだと…これはもっと早い段階、1月くらいから考えていなければいけないのです。場合によっては、感染が拡がり始めた2月くらいの段階で、みんなに「シミュレーションしておいてくれ」という意味で、休校のようなことがあるかもしれないという情報を出す。最後に休校ですと言ったときには、共働きの家庭の収入がどうなるのか、学童保育がどうなるのか、全部セットで総理は出さなければいけません。
危機管理の基本が守れていない
鈴木)この手順を踏んでいないということですよ。だからこのような大問題になるのです。つまり先ほど言ったような、危機管理の基本を守れていないのです。付け焼き刃的でしょう。「休校」と言って、では共働きの家庭はどうなるのか、補償はどうなるのかと、日替わりでどんどん問題が出て来ます。補償は最大7割、非正規も含むと言っていますが、まだ具体的にはわかりませんよ。フリーランスについてもどうなるのか。
飯田)フリーランスについては4日、菅官房長官が質問に答えて、これも対応して行きたいとおっしゃったようですが、政府が出した8330円には入っていないのですよね。
鈴木)そういうことを全部シミュレーションして、休校という政治決断をしたのだという順序ができていないことが、最大の問題だと思いますね。イベント自粛もそうではないですか。
飯田)全部要請という形をとっていて、そうすると法律の根拠は何なのだという話も出て来ますけれども。
飯田)有事なのです。そのときに「法律があるからできません」ではなくて、決断することです。ただ、そのときには説得力を持つものを備えて政治決断しなければいけませんよね。説得力を持つデータもそうだし、被害を被る人たちにどのような補償をするかということもセットでなければいけないでしょう。そこが最大のミスだと思いますね。
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