安倍総理が「一斉休校」を要請した本当の理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月2日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。安倍総理が記者会見で表明した小中高校の一斉休校について解説した。
小中高校を一斉休校
新型コロナウイルス感染を防ぐとする安倍総理の要請を受けて、全国の多くの小学校、中学校、高校は2日から臨時休校となる。安倍総理は2月29日(土)に記者会見を行い、小中高校の臨時休校によって休職する保護者を支援するため、助成金制度を新設すると表明した。緊急対応策第2弾を今後10日程度で取りまとめるとし、関係法整備への与野党の協力を呼びかけた。
安倍総理)いまからの2週間程度、国内の感染拡大を防止するため、あらゆる手を尽くすべきである。そのように判断いたしました。
飯田)2日から休校という学校が大半ですけれども、3日から休校、あるいは5日からというところもあるようです。
須田)2月27日にこの要請をして、批判や混乱が広がったことを受けての緊急記者会見だったと思います。記者会見を聞いておりましたが、もう少し踏み込んだ説明をしてほしかったですね。なぜそれが必要なのかという背景について、きちんと伝えられていなかったのではないかと思います。
25日に変更された基本方針~封じ込め策から感染拡大防止に
須田)時系列で見ますと、2月25日に感染拡大防止を目指す基本方針を決定し、これを公表しました。この25日を以て、政府の対策対応が大きく変わりました。それまでは中国が発生源・感染源になっているものですから、それを水際でどう食い止めるのか、封じ込め策が中心で走っていた。ところが国内での感染が止まらないため方針が変更されて、国内の感染拡大を防止する方向に移りました。
「感染能力の高い人」が「感染能力の高い人」に感染させ、パンデミック状態になる~北海道では学校から感染拡大につながった
須田)どういうことが起こっているかというと、厚生労働省に取材をしたら、いくつかのポイントがわかって来たのですよ。新型コロナウイルスの特徴、事例として、「多くの感染者は周囲の人にほとんど感染させない」。これが周知されていません。ただし、その一方で「感染能力の高い人が感染を拡げる」ということがわかりました。ですから、感染能力の高い人が感染能力の高い人に感染させてしまうと、パンデミック状態に陥り、感染拡大につながる。そこを遮断しなければいけません。その感染グループを「クラスター」と呼んでいまして、2月25日以降はクラスター対策に大きく切り替えられました。北海道で感染拡大が大きくなり、2月26日に39人だったのが、2日後の28日には66人まで拡大したという状況があります。その拡大の温床になっていたのが、学校だったのです。学校で、感染能力の高い人から感染能力の高い人に感染させていたことがわかったため、北海道は前倒しで一斉休校に踏み切りました。
飯田)すでに踏み切っていました。
須田)それが北海道に止まらず、他の都道府県に拡がりそうだということで、臨時休校の要請に踏み切ったという背景なのです。だから、クラスター対策なのです。
飯田)これは数字でも出ていて、専門家が言うには、1人から感染するのは推定で1.7人くらいだと言われています。これを1以下に抑えれば、だんだん収束するということになります。しかし、1人で10人くらいに感染させてしまう人がなかにはいるので、その人たちにどう対応して行くか、まさにそれがクラスター対策ということです。
須田)ただ「その人が誰なのか」という、ある種の犯人捜しになるといけないという配慮があるのだと思います。
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