ニッポン放送「ザ・フォーカス」(2月27日放送)に作家・ジャーナリストの河合雅司が出演。新型コロナウイルスの日本各地での感染状況について解説した。
感染経路わからぬ「市中感染」が各地で発生
北海道の知内町で新型コロナウイルスへの感染が確認されていた80代の男性が死亡した。札幌市は27日に新たに2人の感染を確認したことを明らかにした。一方、神奈川県は県内に住む50代男性の新型コロナウイルス感染が新たに確認されたことを発表している。集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では、乗員およそ240人の下船が27日から始まった。経過観察のため埼玉県和光市の税務大学校に一時滞在し、検査で陰性なら退去できるということで、27日午後から数日間に分けて下船させる。税務大学校では医療スタッフが健康状態を確認する。石川県では新たに県外から訪れた50代の男性会社員1人の感染が確認された。24日に石川県に出張に来て、27日の遺伝子検査で陽性と判明した。石川県内では、これまでに男子中学生ら4人の感染が確認されている。
森田)風邪などのように感染経路のわからない「市中感染」と呼ばれる状況が各地に広まりつつある状況ですね。
河合)政府としてもここまで感染力が強いとは思わなかっただろうと思うのですが、中国で蔓延しているという情報を得ていたにもかかわらず、武漢を含めて外国人観光客の受け入れをまったくセーブしなかったので、いずれこのような事態になるのは専門家たちの間ではわかっていたことです。政府の対策が後手にまわっているという印象がより強くなっています。
ウイルス検査が公的医療保険の適用対象に~医療機関の受け入れ問題が浮上
森田)加藤厚生労働大臣は27日の衆議院予算委員会で、感染の有無を調べるウイルス検査について来週にも公的医療保険の適用対象にすることを明言しています。関係者から28日に意見聴取した後に最終判断をするということです。ウイルス検査ができないという指摘も出ており、保健所で必要な検査ができるように再度徹底すると言っているようですが、この検査もなかなかうまくいっていないようですね。
河合)迅速にウイルス検査をできる機械の開発に成功したということで、政府は順次導入していく方針だと聞いています。これも後手にまわった結果であるわけですが、多くの人が検査をすることになると今度は患者数が増えて、医療機関の受け入れができるのかという問題が出てきてしまっています。すでに医療機関のなかではいろいろなものが足りないという状況となっているのです。マスクや防護服が足りない、ひどいところになると消毒薬も足りない。こうなりますと、検査の結果、感染していることがわかっても、治療を受けられないという話になってしまいます。いまやるべきは、医療機関の体制と、感染者の中でどのような症状の人が受診するのかを(線引きして)徹底していくことだと思います。
森田)この新型肺炎で入院が必要な患者については、本来は特別な設備を備えた感染症指定医療機関にある感染症病床で受け入れるのが原則なのですが、これだけでは足りないということで、政府はそれ以外のベッドや一般の病院でも入院が可能だと都道府県に通知しています。しかし、共同通信によるとベッドを追加で確保したり、見通しが立っているのは47都道府県のうち16都府県にとどまるということです。患者の受け入れを促しているのですが、まずは専門知識を持つ医者の確保が難しかったり、防護服、ゴーグル、マスクなどが市場で品薄になったりしていて、ストックだけでは足りないという資機材の面でも「何とかしてくれ」という声が出ているようです。
河合)こういうことに対して、日本政府が何の準備もしていなかったことが露呈しましたね。武漢の医療崩壊の映像を彷彿とさせることが日本でも起こらなければいいなと思います。
森田)ここで食い止めないと、医療崩壊が現実味を帯びてしまうということですね。
河合)1~2週間国民に協力を求めるのだったら、拡大防止策を徹底してくれということなのですよ。
森田)もっと早くやっておけばと。
河合)今更過去のことを言ってもしょうがないので、せめて今やっていることを徹底すべきです。10日くらいに限定してということで頑張るということであれば日本国民は動きますので。本当に中途半端ですよね。誰かに何かを言われると、その都度、首相が新たな対応方針を発表していくのはいかがなものかと思います。
番組情報
錚々たるコメンテーター陣がその日に起きたニュースを解説。佐藤優、河合雅司、野村修也、山本秀也らが日替わりで登場して、当日のニュースをわかりやすく、時には激しく伝えます。
パーソナリティは、ニッポン放送報道部解説委員の森田耕次。帰宅時の情報収集にうってつけの番組です。