新型コロナウイルス~法改正よりも“いまやるべきこと”がある
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月5日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。4日、新型肺炎防止に向けて行われた与野党党首会談について解説した。
安倍総理が新型肺炎防止に向け野党党首と会談~法改正に協力呼びかけ
安倍総理大臣は4日、立憲民主党の枝野代表ら野党5党の各党首と国会内で個別に会談し、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた法律改正の早期成立に向け、協力を求めた。
安倍総理)特措法の改正について、野党の皆様のご協力をいただききながら、1日も早い成立を目指して行きたい。特措法においては、緊急事態宣言が発動できるということになっているわけですが、それはまさに最悪の事態を想定して、それを行うということでございます。この1~2週間というのは、そうならないための1~2週間であると考えております。
飯田)党首会談が終わった後の、安倍総理大臣の会見の様子をお聞きいただきました。新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正しようと、協力を呼びかけたということです。立憲民主党は是々非々で協力するということです。
「何をやるべきか」という手順のなさ、遅さが問題なのであって、法律を改正するということではない
鈴木)これは「法律を改正しなければいけないのか」というところになります。この法律は今回の感染症のような、かなり緊急のときに「これをやってはいけない、あれをやってはいけない」という権限を持つわけです。
飯田)移動を制限したり。
鈴木)そういう意味では、戒厳令とまでは言いませんが、「激しいところまでやれてしまう」という権力があります。だから気を付けた方がいいと思います。いまある新型インフルエンザの特措法の範囲で、対応できるのではないでしょうか。例えば「等」と付いている、それだけの話のような気がするのです。この法改正は、いま全力を傾けてやるべきことでしょうか? 実は法律に照らさなくても、政治決断やいろいろな対応でできることはたくさんあるのです。いま問題になっている休校やイベント自粛は必要なことだと思います。しかし、それをやるための手順をあまりにも踏んでいない。遅いのです。そういうところが実は問題です。だから、危機管理のなかで何をやるべきかという手順の問題、早さの問題であって、法律がなければできないという議論は違うような気がします。
飯田)「新型インフルエンザ等対策特別措置法」は、このなかに感染症対策法の準拠の部分があって、そこに「新感染症」という書き方がしてある。それは生命に危機があるという書き方なので、果たして今回の新型コロナに適応できるのかというと、どうなのですかね。微妙なところだと思うのですが、法解釈の問題ですか?
鈴木)逆に言うと、現行法で行けると思いますし、早期決断で行けるのですよ。
飯田)新感染症の援用という形でやれば。
鈴木)そうです。新型コロナウイルスについて、特措法の改正で法律にするのであれば、この病気がまだどういうものかよくわからないわけです。だから時間をある程度かけて、どういうものなのか解明する。それで法制化するのならば、まだ後でいいと思います。いまやるべきことは法改正よりも、という気がします。
野党から官邸に乗り込むくらいの意欲が欲しい
鈴木)それと、野党に言いたいことが1つだけ。東日本大震災が起きたときに、自民党が野党でした。自民党は「協力するから何とかやりましょう」と、官邸に乗り込んで行ったのです。総理に呼ばれる前に党首が集まって「これをやろう」「総理は何をやっているのだ」と尻を叩きに行くくらいのことを、いまの野党にもして欲しかったですね。そうすれば、野党の存在感や発言力がもっと増すような気がします。総理もそうだし、何となく形式的で後手後手になってしまっているような気がします。
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