ニッポン放送「ザ・フォーカス」(3月3日放送)に中央大学法科大学院教授・弁護士の野村修也が出演。新型コロナウイルス感染症の予防対策について解説した。
新型コロナウイルス対策~専門家会議が若者に異例の注意喚起
新型コロナウイルスの感染が国内で広がっていることを受け、政府の専門家会議は「10代から30代の若者が感染を拡大させている可能性がある」として、ライブハウスやクラブなど、人が集まる風通しの悪い場所を避けるよう求めた。今回の注意喚起は、北海道での感染拡大や大阪市のライブハウスでのクラスター(小規模な患者集団の発生)を踏まえたもの。
森田耕次解説委員)札幌市で新たに新型コロナウイルスの感染者2人が確認されました。札幌市が3日に明らかにしたもので、北海道内での感染者は合わせて79人になりました。一方、北海道は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い入院患者の増加を想定して、ベッドおよそ200床を確保したことを明らかにしました。新潟県では2日に新型コロナウイルスの感染が確認された40代の男性と県内で初めて感染が確認された60代の男性が、同じ日に新潟市の卓球スクールを利用していたことがわかりました。2日に感染が確認された新潟市の他の男女3人も、この卓球スクールの会員だったということです。また、大分県では大分市に住む30代の女性が新たに新型コロナウイルスに感染したとの発表があり、大分県内では初めての感染確認です。神戸市でも市内の40代男性の感染が確認されました。兵庫県内の感染確認は2人目ということで、各地で広がっています。こうしたなか、政府の専門家会議が「軽症者が気付かないうちに感染拡大に重要な役割を果たしてしまっている」という見解を公表しました。特に「重症化リスクの低い若い人から広がっている可能性がある」と見ていまして、全国の10代から30代に対して人が集まる風通しの悪い場所に行かないよう呼び掛けています。避けるべき場所としてはライブハウス、カラオケボックス、立食パーティー、自宅での飲み会、スポーツジムなどを挙げているということなのですね。
換気の悪い場所で“クラスター”感染が発生しやすい
野村)今回、閉め切った換気の悪いところである程度時間を共に過ごしていると、感染者の集団、いわゆるクラスターが生まれやすいという性質が明確になってきましたよね。これはこれまでのインフルエンザとは違っている状況なので、ここを捕まえて潰しにかかるという戦略が大事だと思います。
森田)特に、北海道の場合には感染がかなり広い範囲に拡大しているので、若い人がリスクの高い場所で気付かないうちに感染して、道内の各地を移動して高齢者に感染させていると考えられるということで、北海道を警戒しているようです。
野村)ただ一方で、感染が若い人たちを通じてという面もあるのですが、この時期、北海道は閉め切っているのですよ。どこに行っても窓を閉めて暖房器具を使っているので、問題となっているライブハウスなどが随所にあるイメージです。だから広がりやすいということが言える気がします。そこで、ここまで人が感染しているのだったら、インフルエンザのときにはどこで何人感染したというような情報は報道していないから、もういらないのではないかという意見も出始めています。しかし、クラスターの感染経路が明確にわかってきている以上は、ある程度たどれるところは一生懸命にたどっていって、感染源があればそこにいた方をある程度隔離するといった作業をすれば収束することができるかもしれません。これは、WHOの報告書にも書いてあることです。いままさにクラスター対策で封じ込めができるかできないかの瀬戸際なので、みんなで努力しましょうということが言われているのです。
森田)冒頭でもお伝えした新潟県では、新潟市の卓球スクールで広く感染していることが確認されたわけですから、そこをうまく断てばいいという考えですね。
野村)高齢者の方のなかで定期的にスポーツジムなどに通われていた方はいるかもしれませんが、いま言われている密室のような場所にはなるべく近づかないようにして防いでいくことが重要だと思います。そして高齢者への注意喚起も大事ですが、周りの人たちが気遣って差し上げる必要があります。「マスクを買って来て」「子どもが休んでいるから遊びに連れていって」というのも可能な範囲内ではありですが、無理に強要することのないようにした方がいいと思います。
子どもの感染防止には工夫が必要
森田)特に小学校での臨時休校となると、学童保育の問題もあります。厚生労働省が学童保育や放課後児童クラブについては、子どもを預かるための感染防止策を2日付けで通知しているのですが、子ども同士の不要な接触を避けるため「1メートル以上間隔を空けて活動するように」と推奨したり、「昼食をとるときにも同じように間隔を空けたまま食べるようにして欲しい」と求めています。また、「1時間に1回程度窓を開けて換気する」「子どもがよく触るドアノブは1日1回以上、消毒液を使って消毒する」といったことも通知を出しています。
野村)結局、子どもを預けないと働きに出られないから、どこかで預かってもらわなければいけない。しかし、学校がお休みのときに学童にたくさんの人が集まると、密集してしまう可能性があります。ここがいちばんの問題で、自治体などでは学童の場所だけでなく学校そのものを開放しています。そこに場所を提供するので、なるべく間隔を空けて自習ができるように工夫しているところもあります。いろいろな工夫が求められると思いますね。
番組情報
錚々たるコメンテーター陣がその日に起きたニュースを解説。佐藤優、河合雅司、野村修也、山本秀也らが日替わりで登場して、当日のニュースをわかりやすく、時には激しく伝えます。
パーソナリティは、ニッポン放送報道部解説委員の森田耕次。帰宅時の情報収集にうってつけの番組です。