新型コロナウイルス~政府が緊急事態宣言を出すその根拠
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月4日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。東日本大地震追悼式が中止の方向で調整されている報道に絡め、政府の緊急事態宣言について解説した。
政府が東日本大震災追悼式の中止を最終調整
4日、国立劇場で予定されている政府主催の東日本大震災追悼式が中止の方向で調整されていることが、産経新聞東京版の1面で報じられている。
佐々木)残念だけれども、新型コロナウイルスのこの状況では仕方がないです。
飯田)これは仕方ないですね。
政府が緊急事態宣言を出せるようにするには憲法改正が絡む
佐々木)もう1つ出ているのが、緊急事態宣言を政府が出せるように、緊急事態条項を入れるかどうかで憲法改正が絡んで来るということです。さっそく自民党は、衆議院議長の伊吹文明さんが動き始めています。改憲の1つの実験台になるかもしれないと言っていますが、これは難しい問題です。
緊急事態宣言ができるような法整備は必要
佐々木)いまの状況を見ていると、ある程度は緊急事態宣言をとれるようにしておいた方がいいのではないかと思います。ただ、緊急事態宣言を出す根拠が難しい。例えば先日、安倍総理が「学校の一斉休業を要請する」と言ったのに対して、メディアからは「根拠がなく、専門家が言っていない」と批判が多かったですよね。しかし、専門家が言っていることをそのまま緊急事態宣言にするのであれば、政治判断の意味がないと思います。政治判断とは専門家が言っていることをふまえて、政治家が判断することです。官僚が決めてそのレールに乗ったり、専門家会議の意見にのっとって行うのであれば、それは行政の範囲内であって、政治家である必要がありません。日本の場合は、政治家が判断すると「強権だ」という批判がすぐに出て来ますが、そこをやるのが政治家だと思います。暴走し過ぎても困りますが、暴走しないように枠をはめつつ、政治判断として官僚や専門家の枠組みを超えたところで、総合的な判断をするという余地は残した方がいいと思います。それが政治だと思うのです。そういう意味で言うと、緊急事態条項で憲法改正にまで踏み込むかは別にしても、緊急事態宣言ができるような法整備はある程度必要だと思います。それをやった方が暴走を防ぐという、枠組みを決めておく意味はあると思います。
飯田)いまは、なし崩し的になるのがいちばんよくないと。
佐々木)そうですね。要請しただけで、なし崩しになっているわけですから。
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