東日本大震災から9年~今後の災害対策に必要なこと
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月22日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。政府主催による東日本大震災の追悼式が2021年で最後になるというニュースについて解説した。
政府主催の東日本大震災の追悼式、来年での終了を検討
菅官房長官)政府として行う追悼式については、発災から10年となる来年まで実施したいと思っています。再来年以降については、そのときどきの情勢を見ながら判断することになるだろうと思います。
菅官房長官は21日、政府が主催する東日本大震災の追悼式について、発生から10年の節目となる2021年の開催を最後とする方向で検討に入ったと明らかにした。11年目以降は被災地での開催も含め、式典のあり方を再検討して行く考えを示している。
飯田)21日の閣議では、9年目となる2020年3月11日の追悼式を例年通り、千代田区の国立劇場で開催することを決定していて、その発表と合わせての表明でした。
高橋)もう10年経つのですね。
飯田)17日に阪神淡路大震災から25年で、追悼式典は神戸市の東遊園地で行われていますが、あれは国の主催ではないという辺りも勘案しつつでしょうか。
高橋)復興庁も10年の限定だったのですが、復興庁自体はもう少し延長してやるということになるようです。どこかで国の話も少なくなって行くでしょう。いまはどれくらい復興したのでしょうか? 数字を見ているとインフラはほとんど終わっているのですが、意外なところがまだ終わっていない場合もあります。どこかで検証して、進捗状況をきちんと見てから追悼式をどうするのか決めてもらいたい気もします。
飯田)福島や宮城、岩手で原子力災害があったのも、違う点だと言われています。福島に関しては常磐道に加えて、3月14日にはJR常磐線も全通することになっています。
危機管理能力の高い米軍の力を借りるべきだった
高橋)ようやくという感じなのかも知れません。ただ、あのときの原発の話は残念でした。野党政権だったのですが、党首が集まっていろいろな会談がありました。私も呼ばれたのですが、アドバイスとして、とにかく米軍に頼むのがいいと話しました。いろいろな危機管理能力があり、空母でも事故を前提にして、いろいろ考えているのが現場です。悔しかったのは、その後に電源喪失になったのですが、電源車が行っているのですよね。プラグが合わなかったということでしたが、あれが米軍だったら機械を壊して、電源を引き出してでもやったと思います。戦場ではプラグがないなんて言っていられませんからね。
飯田)壊してつないでしまえばいいのだと。
高橋)できることは何でもやりますよ。あれは非常に残念でした。
飯田)22日の読売新聞に、安保60年というところでの検証記事がありますが、そこで東日本大震災当時のアメリカ軍との話も出ていました。共同の指揮所を防衛省内につくろうとしたのだけれど、当時の菅政権は官邸とアメリカ大使館とのラインでやることにこだわって、軍同士の連携がうまく行かなかったという指摘もされています。
高橋)軍は最悪のことも想定している組織なので、ああいうときには頼った方がいいのです。原子力を制御するのは、原爆をつくっている人しか制御できないのですから。日本の場合は原爆をつくっていないので、制御できないのですよ。
飯田)原理上のことはわかっても、実際にということですか?
高橋)実際にどこが限界になるかわからない。いざというときにどうしたらいいのか。原子力空母を管理している人は、暴走したときのことまで全部考えているはずなのです。あれは結果的に冷却できなかったというだけです。一時は自家発電で何とかなっていたわけだから、電源車さえつなげば大丈夫だったはずなのです。
災害から10年、検証からの更なる議論が必要
飯田)その辺りの反省も含めて、この10年を迎えると。
高橋)いい機会なのですよね。きちんと検証してもらって、今後に残すべきです。でないと、なぜあれをやっていたのかという話になります。
自衛隊の災害派遣のあり方
飯田)災害派遣のあり方についても先週、防衛大臣が閣僚の会見で答えていましたが、これだけ災害が多いと、災害派遣によって自衛隊全体で300回くらいの訓練がキャンセルになったとのことです。1回派遣されると長引くので、その辺りを整理したいという問題提起をされていました。
高橋)自衛隊は役に立っているのですが、疲弊してしまうので酷使してはダメですね。
飯田)東日本大震災のときは、のべ10万人以上の方々が従事したそうです。
高橋)日本では自衛隊の憲法がどうのと言っていますが、のんきな議論ですね。
飯田)その前にやらなければならないことがたくさんあります。
公共投資を毎年見直すべき~インフラなどお金でできることをやる
高橋)災害はマイナス金利だから、インフラの整備でマイナスゼロ金利のときにはどんなインフラもOKなので、どんどんやった方がいいですね。この際、人が大変ならインフラだけでもやった方がいいと思います。公共投資の割引率は15年も見直していないので、4%と高いのです。海外は毎年見直して、ほぼゼロです。ドイツは0.5%でした。これだったら、いくらでも公共投資をしますよ。割引率が高いということは、よほど利益がなければやってはいけないということになります。日本だけがおかしいのです。日本は金利が低いのだから、もっと低くていい。
飯田)単純な比較はできませんが、利回りで考えたら4%も利回りがつく事業はないですよね。
高橋)公共事業はそのくらいハードルを高くしているのです。
飯田)4%も必要なことを公共事業でやると、かえって民業圧迫になります。
高橋)現実を見て、インフラ整備はお金でできるのだから、お金やものでできたりする部分はできるだけやるべきです。できないところは人で補って、うまくものと人のバランスを考えなければいけません。
飯田)ここ20年くらい、公共事業忌避論のようなものが幅を利かせているではないですか。
高橋)4%は私が国交省にいたときの話なのです。そのときは見直して4%にしたのですが、その後で15年間やっていなかったのは驚きました。毎年やっていると思っていたので。
飯田)現状に合わせると。諸外国もやっていますよね。
高橋)ドイツもアメリカもそうです。こんなものは当たり前です。
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