ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月23日放送)に笹川平和財団上席研究員の小原凡司が出演。新型コロナウイルスの影響で自衛隊と他国軍との共同訓練や会議の中止が相次いでいる状況について解説した。
他国軍との共同訓練や会議の中止が相次ぐ
新型コロナウイルスの世界的流行で、自衛隊と他国軍との共同訓練に中止が出始めている。また安全保障関連の多国間会議が軒並み取り止めとなっており、防衛省では「数ヵ月なら問題ないが、年単位となれば話は別」と、抑止力の維持や信頼醸成の面から懸念が出されている。
飯田)3月に入って、4月初旬に初めての開催を予定していた太平洋島諸国との国防相会合、また東南アジア諸国やアメリカ・中国の両国が参加する局長級協議の延期を発表しております。他にも定例会議や幹部の海外出張がとりやめになるなど、影響が出ています。
定期的な会議でお互いの認識を共有することの大切さ
小原)会議で顔を合わせて議論することは、とても大事なのです。各国とも思惑が違いますし、それぞれの国のできることが違います。顔を見合わせて議論しないと、相手がどう思っているのかさえもわからないような状態です。特に安全保障の問題、軍事力に関する問題では、これを使うとなるとやはり各国とも慎重ですし、余程のことがない限り使いたくはありません。それぞれの国にとって「余程のこと」が何なのかは違うわけです。ですから会議や協議で認識を共有し、「一緒にやって行きましょうね」という合意があるから協力できているわけですけれど、その中身が少しずつずれて行く可能性がある。それは危険なことだと思います。
飯田)意思疎通がないと、疑心暗鬼になってしまうということですか?
小原)疑心暗鬼にまではならなくても、「相手がこう考えているはずだ」と思っていたことが違った場合、「どうしてやってくれないのだ」ということにもなりかねないわけです。「我々はこう考えて、こういうことをやろうとしている」と、お互い意思の疎通を図ろうとはしていますけれど、定期的に顔を見合わせて「そうですよね」という確認や情報共有は必要ですし、それは実際の部隊の訓練でも同じことだと思います。部隊は、年間を通じて同じレベルに保とうという努力はするのですが、一定にはならない。人も入れ替わりますし、休みの期間もありますから、年間を通じてこの辺りにピークを持って行こうという訓練計画を立て、国内の部隊の練度を上げて行きます。それに合わせて共同訓練もやるのです。日米の共同訓練は、秋に大きな演習を国内で行うとすると、年末から1月くらいに指揮所演習などをやってアメリカとの調整をします。実は今年度(2020年)も指揮所演習などはやっているのです。
飯田)幹部だけで集まってやるような感じですか?
小原)指揮所をつくり、そこに人が集まってモニターなどもつくります。実際に部隊は動きませんが、シンボルは動くということをやるのです。
飯田)ある種のシミュレーションのようなものですか?
共同演習をやらないと見えて来ない課題
小原)そうですね。そういうことを重ねて、ようやく合同演習ができるのですが、実際にやってみないと課題が見えないのです。計画を立てるときは「これで完璧だ」と思ってつくるけれど、実際に動いてみると「ここが上手く行かない、ここは調整しないといけない」ということが見えて来るのです。それが長い間できないとなると、問題は深刻になる可能性があります。
飯田)大人数を動かすオペレーションは、やってみて初めてわかることが多くあるのですね。
小原)そうですね。「計画に反映させて、それをまた検証して」ということの繰り返しになると思います。
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