ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月26日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が26日から中東海域での情報収集活動を始めるというニュースについて解説した。
海上自衛隊の護衛艦が中東での情報収集活動を開始
河野防衛大臣は25日、海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が26日から中東海域での情報収集活動を始めると発表した。オマーン湾やアラビア海北部で日本関係船舶が安全に航行できるよう、P3C哨戒機とともに情報収集を行う。
飯田)中東地域への自衛隊の派遣。ホルムズ海峡のなかには入らないけれども、入り口の辺りで情報収集を行うということです。
高橋)特別措置法をつくるべきだと、以前からずっと言っていたのですが、結局つくらないので情報収集と言わざるを得ないということです。
飯田)これは、防衛省設置法のなかの…。
高橋)調査・研究を根拠とするというものですよね。もう少しきちんと国会で議論してほしかったです。日本にはいろいろ制約があるため、日本船籍のタンカーを守れないということになってしまってはいけないので、法制度を整えてから行ってほしかった。行かされる人も気の毒です。期待されている任務と、自分ができることにはずいぶんギャップがありそうですよね。
「調査・研究」目的では日本籍船舶が攻撃を受けていても守ることができない
飯田)そういうことですよね。調査・研究目的で行くとなると、自分に襲いかかって来るものに対しては自分を守るために武器を使うことができますが、日本の国旗を掲げた船を守りに行けるのか。
高橋)「そこを調査するとは何の話ですか?」となるでしょう。正当防衛理論というものがあって、「自分と同じ国の人がやられたら、自分がやられたようにやる」。これは個人の正当防衛と同じ法理です。それでやるのでしょうけれど、そうするとまた何か言うだろうから、議論を避けるためにも特別措置法は必要でした。でも「攻撃されているところを見て調査をしました」と言ったら、どういうことになるのでしょうね? 帰って来て調査対象を公表したときに、「カメラを回しているのであれば撃て」と言われると思います。いまは中東の波が静かなので、表立った話はありません。行く直前にアメリカとイランが一触即発になって、両方が寸止めで止まっているという状況です。アメリカはアメリカ人が殺されたら反撃するということがわかり、それをイランも見ているので、両者の間では目立った話はありません。何か起きたときに、日本の自衛隊がどうするのかということはありますが。
ソマリアでの海賊行為対処の際には海上警備行動で派遣
飯田)同じような任務を付与されて、似たような海域に行ったということで言うと、ソマリアでの海賊行為対処がありました。これは最初から海上警備行動で出していますよね。
高橋)特別措置法もありました。中身があれで十分かという議論はありますけれどね。ただ今回は、特別措置法なしですからね。
飯田)根本のところは、海賊であれば対処がききますが、国やそれに準ずる組織の場合は交戦権が絡んで来ますから、手出しができない可能性があります。
高橋)日本は自衛についても制約があるので、制約があることをある程度認めた上でも、それをクリアして海上自衛隊を出さないと、実際に行っている人が悩みますよね。現場がいちばん気の毒でしょう。何もないことを祈るしかないですね。
飯田)現場では気の迷いが命を左右する。
高橋)自分もやられるかもしれないし、シミュレーションして対応をしなければいけません。行かされている護衛艦の隊員は気の毒です。
飯田)いまからでも特措法の議論であるとか…。
高橋)やればいいのですよ、いま国会をやっているのだから。
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