有効求人倍率が2ヵ月連続で低下~不透明な新型コロナへの経済対策の行方

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月1日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。2月の有効求人倍率のニュースから、日本の現在ある危機対応の経済政策について解説した。

参院決算委員会で言葉を交わす安倍晋三首相(左)と麻生太郎副総理兼財務相=2020年4月1日午前、国会・参院第1委員会室 写真提供:産経新聞社

2月の有効求人倍率1.45倍~2ヵ月連続で低下

厚生労働省は31日、2月の有効求人倍率が1.45倍になったと発表し、2ヵ月連続で下回ったことがわかった。新型コロナウイルスの影響については一部に出始めているが、まだ全体の水準に影響を及ぼすまでには達していないとしている。

飯田)仕事を求めている1人に対して、どのくらい企業から求人があるのかを示す指標です。

佐々木)2月は新型コロナウイルスについて、ほとんど話していません。

飯田)2月の頭にクルーズ船の話がありました。

佐々木)「中国が大変そうだね」と言うくらいで、これほど日本に来るとは思っていなかったし、欧州があんなことになるなんて予想していませんでした。いまのような騒ぎになったのは、3月中旬になってからです。まだわずか2~3週間しか経っていません。

飯田)ここ1~2ヵ月で価値観が変わりましたよね。

佐々木)有効求人倍率は2ヵ月連続で低下ですが、4月にはどうなるのかを考えると恐ろしいですね。

飯田)今回の調査で、新型コロナウイルスの影響で解雇、雇い止めされる見込みの労働者が1000人以上いると発表されています。

佐々木)まず大きな影響があるのは、飲食やエンタメ、レジャー辺りですよね。映画、音楽関係には知り合いが多いのですが、何の展望もなく、もう店を閉じるしかないと言っている人も多いです。今後はすごい勢いで経済が落ち込んで行くのではないでしょうか。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

低下しているキャバクラの売り上げをどう補償するのか

佐々木)一方で、どのように対処するのかが急浮上していますが、とりあえず補償です。30日の小池都知事の会見で、夜の街の仕事、キャバクラなどを自粛させるなら補償が必要だという話が当然出ています。しかし、低下しているキャバクラの売上をどう補償するかということは難しいですよね。前月と比較して、どのくらい落ち込んでいるかを見るのか。営業努力とコロナウイルスの影響との差もあるわけで、すべての店に一律で金額を補償するのかどうか、よくわかりません。これがキャバクラ以外の夜の街の、あらゆる産業に適用すると、その金額をどう積算するのか誰もわかりませんよね。

飯田)そうですよね。

新型コロナウイルス感染症対策本部で発言する安倍晋三首相(中央)=2020年1月30日午後、国会内 写真提供:産経新聞社

一律にばらまくとなると出る批判

佐々木)そうなると、一律でばらまき給付をした方がいいという議論になります。しかし国が全員にばらまくとなると、国民の合意が得られないという意見が出て、困っている人にだけまきましょうとなる。でも、困っている人とは何なのかですよね。例えば「前月から収入が減った人」という話も出ていますが、収入が減っているというのは、どう計算するのでしょう。給与生活者ならまだわかりますが、自営業となると来年(2021年)にならないとわかりませんよね。

飯田)2019年度の税務申告で考えると、富裕層に該当する人でも、その後の飲食関係などでほとんど売上がなく、いま困っているような人を救えるのかという話になります。

佐々木)もう1つは、収入と金融資産が紐づけされていないので、金融資産を捕捉できません。高齢者が典型です。収入は年金だけですが、退職金や貯蓄で金融資産が何千万もあるという人が、低所得層に入ってしまいます。その人にばらまくのはいいのかという議論になり、収入と金融資産を連動した方がいいという話になります。そのためのマイナンバーですが、マイナンバーについては「それをすると監視社会だ」と否定を続けて来たので、有効活用できていません。ただ、それをやっていないのは民主主義社会のいいところでもあります。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

マイナンバーでの管理を否定して来たこととの矛盾

佐々木)台湾では国がマスクを管理して、国民に配布するということがなぜできているかというと、台湾政府が全国民をマイナンバーで管理できているからです。管理できているからこそ、感染症の際に緊急的な経済対応ができるのですが、日本はそれを選択せず、民主主義社会として「捕捉しない」というやり方をして来ました。そこのバランスです。マイナンバー、国民番号制を批判して来た一方で、こういう事態になると「なぜ国がちゃんと表に出てやらないのだ」と怒るのは、矛盾しています。どちらかなのです。個人的にはある程度捕捉して、困っている人にリアルタイムで回るようにした方がいいと思います。それをやらないのであれば、一律にばらまくしかありません。

飯田)いまのシステムのままだと、まずはばらまき、その後に税額で調整するとか。

佐々木)その方がいいと思います。法人に関しても大企業だけでなく、内容的には個人事業主でも法人化しているところはたくさんあります。そこに対してばらまきましょうと。ただ来年の確定申告の際には、ある程度回収するという方法がいいと思います。まずここは、ばらまいて欲しいです。

閣議に臨む(左から)茂木外相、安倍首相、麻生財務相=2020年2月4日午前、首相官邸

政府が一律給付金にも消費税減税にも消極的なのはなぜか

佐々木)いま気になるのは、そう言いながら、国はばらまきに消極的ではないですか。消費税減税もしないし。いったいそれは誰が判断しているのか。右の人は財務省がいけないと言っているし、左では安倍政権がいけないと言っています。上念司さんが31日のツイッターで、「財務省の人に聞いたら、財務省は消費税減税にNOとは言っていない」とツイートされていました。財務省が裏で牛耳っているというのも、ひょっとしたら違うのかも知れません。

飯田)いままでの内閣は財務省が取り回すことが多かったのですが、安倍政権に関しては経済産業省だという話があります。今回の対策も経済産業省が回しているとなると、経産省の方が緊縮なのかと思ってしまいます。

佐々木)もう1つは、麻生さんがなぜ消極的なのか。それは財務省の意図なのか、本人あるいは安倍政権の意図なのか。新型コロナウイルスの政治判断の話につながって来ますが、どういうプロセスで消極的な財政出動の政治判断になったのかが見えなさすぎるので、疑心暗鬼を招いているため、そこを可視化してほしいです。新聞やテレビの報道も、きちんとそこを検証してほしいです。結果だけを見て批判するのではなく、なぜここに至ったのか経緯を知りたいですね。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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