緊急事態宣言直後に職を失ったトラックドライバーの苦悩
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月13日放送)にアセットマネジメントOneエコノミストの村上尚己が出演。現在各地で起きている新型コロナウイルスの経済的な影響について解説した。
リスナーの方に訊く「いま起きていること」
新型コロナウイルス対策として、5月6日まで一都三県に緊急事態宣言が出ている。経済活動の休止によるさまざまな影響が懸念されるなか、ここではリスナーの方の身の回りに起きている現状を取り上げる。
個人事業主であるトラックドライバーの実情
飯田)こんなメッセージをいただいています。埼玉県志木市の50歳“50ドライバー”さんからいただきました。「私は飲食店へ食材を運んでいる個人事業主のドライバーです。私の取引先には私同様に、個人事業主のドライバーが12人働いていました。緊急事態宣言の後、取引先から7名が契約打ち切り、いわゆる「クビ」になりました。残った5人も契約金額5割カットが2人、残りの3人は契約金額2割カットです。クビの7人は13日から収入のめどがないようです。残った5人もいつクビの対象になるのか不安です。これが現場の生の声です。コロナのバカヤロー!」といただきました。個人事業主で、契約で入っているという形ですよね。こういう方々には、失業保険などの提供は難しいのでしょうか?
村上)そうですね。非正規やフリーランスでやられている方は、失業保険の対象ではない方もいらっしゃると思います。しかし、こういう非常事態なので、漏れなく幅広いところに当面の生活資金を渡すというスキームを、早急につくらなければいけない局面だと思います。
飯田)個人事業主の方だと持続化給付金ということで、前年の5割以上の収入が減ったことを証明できれば、上限100万円が支給されることがあります。
村上)そういう対象になる方はご利用されればいいと思うのですが、証明しなければいけません。書類を書いて役所へ持って行くだけでも手間になりますし、オンライン化されていないことも問題です。そして、新たに事業を始めようとしている方は対象になっていない場合があるではないですか。前年から比較もできないという方も含めて、給付の対象を広げる必要があると思います。
迅速な給付を行うためにはどうすればいいのか
飯田)工夫の仕方次第で日本でもできると言われていましたが、村上さんご自身はどうすれば行き渡ると思いますか?
村上)単純に、全世帯に対して市町村や区が窓口になって、銀行口座を指定して振り込みを申請できるようにするのがいちばん簡単だと思います。
飯田)行政全体で見れば、私は子どもがまだ小さいので子育て給付金が入る口座があって、それが既に把握されています。
村上)子ども手当はそうですよね。一応確認は来ますが、親の銀行口座に入るし、これは個人よりも世帯です。年金で暮らしている方は働いていらっしゃらないので、確認の必要はないですよね。そのように行政のなかでルールを決めて、判断できる部分はあると思います。
まずは国債を発行して経済を安定させるべき
飯田)いまある仕組みをうまく使えば、いくらでもやりようがあるということですね。あとは予算の部分でいつも出て来るのが、「財政が赤字になる」という議論ですよね。
村上)その議論は20年繰り返されて、私は間違っていたと投資家目線で見ています。財政破綻ははっきり言って、日本では起きないのです。インフレにならないデフレの状況になれば、政府が国債を発行して、それで何の問題もないわけです。特に緊急事態においてGDPの10%規模、50兆円の経済が縮小しているなかで、それに対応できるくらいの大規模な国債の発行によって、税金で徴収した分のお金をとりあえず戻すということは全然問題ありません。むしろ、そうすることで経済が早期に戻り、税収も安定して財政収支も安定すると思います。リーマンショックのときには対応されませんでしたが、経済が落ち込むと財政赤字は簡単に膨らみます。要は、経済を悪くし過ぎれば、財政赤字が増えてしまうのが大前提です。まずはそれを何とかしなければいけないということです。
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