新型コロナで低迷する世界経済のなかで存在感を増す中国とインド
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月15日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。IMFが公表した世界経済見通しについて解説した。
IMFが世界経済見通しを発表、今年の経済成長率はマイナス3%
国際通貨基金(IMF)は14日、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた世界経済見通しを公表した。2020年の世界全体の経済成長率の予測は、前年の2019年と比べてマイナス3%となっている。
飯田)今年(2020年)1月に示した予測はプラス3.3%だったのですが、その後はコロナウイルスの影響により3ヵ月で一変、マイナス3%となりました。きょう(15日)の東京版の朝日新聞の一面トップでは、「世界恐慌以来」という恐ろしい見出しが出ています。
佐々木)日本でもマイナス5.2%となっています。リーマンショックのときはマイナス5.4%だったので、それ並みで収まればいいですが、下手をすると2桁マイナスが出て来るのではないでしょうか。
飯田)各国こういう予想が出て来ると、何かしらの対処をしないとまずいことになります。
政府の経済対応が遅すぎる
佐々木)感染症対策と経済対策を個別に考えないといけないのですが、日本は感染症対策については、これまでいろいろなやり方で批判はあれど、何とか抑え込んでいると思います。一方で経済対策は、あまりにも遅すぎるし話も進まないし、混乱しています。リーマンショックのとき、当初日本はわりとうまく行っていました。リーマン・ブラザーズが破綻したら野村證券が買収して、意外に日本は頼りになるではないかと思えたのですが、そのあとの落ち込みが大きかった。なぜかと言うと、政府や日銀の対応が遅かったからだと言われていて、今回もまた同じ状況になりつつある気がします。
飯田)あの当時も、各国が金融緩和をして経済を支えようとするときに、日本だけ何もやらなかったら、円高が進んで製造業が苦しみました。
佐々木)今回も国民に対して一律現金給付と言われているのに、麻生さんはじめ一切やらないと。消費税減税もしませんと言い続けて、ここに来て自民党の二階幹事長が政府に「一律現金10万円を給付した方がいいのでは」と要望し始めました。しかしよくよく聞いてみると、「所得制限付きの一律10万円給付」で、それだと一律ではないですよね。
飯田)そうすると制限付きになってしまう。
佐々木)まずは所得制限なしで一律30万円の給付をやって、後から富裕層に関しては控除しないということで、課税にして取り戻せばいいのです。もともと財政規律が頭にあると思いますが、一気に財政対策に行けないところがもどかしいです。
今後は欧米がグローバル経済から後退して、中国、インドが存在感を増す方向に
飯田)諸外国の経済の取り組みですが、アメリカは1人当たり13万円の給付をすでに開始したということです。早いですね。
佐々木)こういうときの取り組みの早さは、アメリカはピカイチだと思います。ただ、アメリカはニューヨークで1万人以上の死者を出していて、感染対策は崩壊しています。欧米は素晴らしいと言っていられない状況です。先ほどのIMFの予測を見ると、全世界でマイナス3%となっているなかで、中国は回復軌道に戻りつつあり、今後はプラス成長に転じるだろうと言われています。
飯田)IMFの予測でもプラス1.2%だそうですね。
佐々木)これまではプラス6%くらいで来ているので、低いのですが、この状況でプラスになるのはすごいです。インドもプラス1.9%になるということです。そうすると、アメリカやEUがグローバル経済からさらに後退して、中国、インドが存在感を高めるという方向が、今年以降の来年(2021年)、再来年(2022年)にかけて続くのではないでしょうか。グローバル経済に対する影響が出ると思います。
飯田)人口の多いところが勝つのかな、ということになってしまいますね。
佐々木)感染症の封じ込め対策でも、結局は強権政治で国民1人1人の行動を監視して、濃厚接触しないようにする方がうまく行くということを、今回の中国の対応で見せつけられてしまいました。そうなると欧米型のリベラルな経済よりも、中国の統制的な経済対策の方がうまく行くということが、ある意味で世界に共有されつつあります。リベラルな世界秩序からは恐ろしい話ですが、そのことを引き受けなければいけない時代に入りつつあるのかも知れません。
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