ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月13日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。トヨタ自動車が2021年度3月期の決算で、営業利益79.5%減となる見通しを発表したニュースについて解説した。
トヨタ自動車、2021年3月期の営業費を前年比8割減と予想
豊田社長)今回のコロナショックというのは、リーマンショックよりもインパクトがはるかに大きいと思っております。
トヨタ自動車は12日、2021年3月期の決算で本業の儲けを示す営業利益が、79.5%減の5000億円になるという見通しを発表した。新型コロナウイルスの影響で、世界的に車の販売が落ち込むことが要因としている。
飯田)昨日(12日)は消費動向指数の発表もありましたが、新型コロナウイルスの影響は、ときを追うごとに甚大さが増している感じがあります。
高橋)そうですね。歴史的に見ると大恐慌に匹敵するレベルです。戦後でいちばん悪いでしょう。リーマンショックを完全に超えています。
飯田)そうすると、社会の構造にまで影響が及んで行くということですか?
大恐慌と似ている新型コロナと経済の落ち込み
高橋)そうでしょうね。大恐慌の後は戦争になりました。当面は戦争にならないようにするということになりますが、大恐慌以降、いろいろな行動様式、企業活動が変わりました。
飯田)大恐慌の前は、「世界が貿易でつながっていれば平和になる」という雰囲気があったように聞きますが、それがだいぶ変わった。今回もグローバリズムの全盛というところから変わって行くのでしょうか?
高橋)変わるでしょうね。大恐慌の前にスペイン風邪がありました。それが影響してブロック経済化に進んだのだと思います。当面は、新型コロナと経済の落ち込みは大恐慌にそっくりな状態です。そのあとは人の行き来について敏感になりますので、ある程度のブロック化が進むと思います。
飯田)歴史の必然のようなものが起こって来るのですか?
高橋)歴史は繰り返すというか、100年ほど前のスペイン風邪や大恐慌に似ているような気がします。
日本は大恐慌をうまく乗り越えた歴史がある
飯田)大恐慌を各国がどう乗り越えたかというところで、日本は高橋是清蔵相の下、金融と財政が一体となって経済を回すという政策がうまく行きました。
高橋)世界の先進国のなかで、日本はうまく行ったほうです。それが今回も同じようにできるかがポイントです。大恐慌のときにはよくわからなかったのですが、その後、大恐慌が研究されてわかったことです。私のプリンストン大学での先生である、ベン・バーナンキ教授はその大権威です。
飯田)その後、米FRB議長になられた方ですね。
高橋)大恐慌のときにいろいろな政策が変わり、それでうまく行ったという話を何度も聞きました。大恐慌以降、国のあり方を変えたのですが、今回もそれに近いような感じがします。
飯田)あのときは経済と財政が一体となって、お金を出して公共投資をしました。当時は軍に対しての投資もかなりあったので、その後、インフレが高まったときに抑えようとしたら、軍部が怒ったという悲しい流れもありました。今回はもっとうまくやれる可能性がある。
高橋)いや、大恐慌のとき、インフレにはあまりなりませんでした。そこで軍備を止めたら、高橋是清氏は暗殺されてしまいました。当時はそのような状況だったのです。いまは暗殺まではないでしょうが、財政金融をきちんとやるということは正しい政策です。そのときにどうなるかということです。
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