青山繁晴~ポストコロナこそ消費減税が必要である理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月15日放送)に自由民主党参議院議員の青山繁晴が出演。自民党の議員連盟「日本の未来を考える勉強会」と共に、自らが代表を務める「日本の尊厳と国益を護る会」が新型コロナウイルスへの経済対策として訴える消費税減税への動きについて解説した。
消費減税は実現するのか
新型コロナウイルス問題での緊急経済対策として、消費税の減税を求める動きは自民党から始まった。産経新聞によると3月11日、自民党の議員連盟「日本の未来を考える勉強会」が税率0を政府に提言。そして青山繁晴が代表を務める、自民党の「日本の尊厳と国益を護る会」も税率を軽減する訴えを、議員立法にも向けて動いている。
飯田)その議論も含めて、13日に「日本の尊厳と国益を護る会」総会が開かれ、その後、会見も行われました。議員立法を与党でやるというのは珍しいことです。
閉会までに処理するべき法案がたくさんあるのに、与党内から別法案が出ることへの批判
青山)茨の道ではあります。立法府という名の通り、本来は議員が全部の法律をつくってもおかしくないのです。政府が国会に提出した法案、内閣が提出した法案という意味で、これを閣法と言いますけれど、実態としては、もちろん細かいところは行政官、官僚がつくっているのですが、安倍総理も含め政治家が関与していることも事実です。政府から出した法案はまだ山のようにあるのです。いまの国会は6月17日に閉会となる予定で、残すところ1ヵ月ですけれども、武漢熱の影響もあり、処理できていません。「これが処理できていないのに、与党のなかから別の法案が出て来るというのはとんでもない」というのが、本来の国会対策委員会の考え方です。
茨の道覚悟での議員立法~国会のあり方を変えなくてはいけない
青山)長年の慣行として、「議員立法で成立させるのは、与野党一致の法案に事実上限る」というのが日本の国会の慣行となっているわけです。つまり、野党の方から議員立法のいろいろな法案が出て来るのですが、与党が乗っかっていないため、実質審議に入るだけでも大変で、野党側から出た場合、成立したことは1度もありません。与党の閣法についても、誤解があるのは、役人が勝手につくっているわけではなく、自由民主党の部会をまず通らなくてはなりません。そして部会で通っても、その後、政調審議会、総務会を通らないと国会に出せません。骨子や原案を役所がつくっても、その後の部会のなかで、実際に修正もして来ました。したがって、国会の流れを与党内部から断ち切って、違う法案を出すということは、政府与党の分断を招くという批判も既に出ています。しかし、私が議員になった1つの理由は、いままでの国会慣行でいいはずがないということです。だいたい、世襲が多く、役人出身の議員が多いから、学歴も東京大学がいちばん多い。東大が多いから悪いと言うわけではありませんが、本来、学歴は関係ないはずです。異業種からやって来た私としては、問題提起をしなければならないのです。国会のあり方が変わるためにも、議員立法を茨の道になることを承知でやっているのです。
消費税についての2つの問題~景気が懸念されるなかで行われた消費増税
青山)安倍総理や私を含め、自由民主党が深刻に考えなくてはいけない問題は、消費税について2つあります。1つは、世界的に深刻な景気後退です。しかし、日本だけ事情が違っていて、日本は景気が懸念されるなか、去年(2019年)10月1日に消費増税をしたという大きな誤ちを犯したのです。資本主義は健全であればあるほど、個人消費が6割以上なのです。当時から、みんなが先行きを心配していたところで増税して、いったいどうするのだと。それで既に景気が落ち込んだところに、武漢熱がさらに襲来したのです。
リーマンショックを上回る事態が起こったのだから、消費税を下げるのは当然のこと
青山)それから安倍総理ご自身に、何度も直接申し上げていますが、リーマンショック級の事態が起こらなければ消費税を上げるとおっしゃっていました。リーマンショックを上回るものがいま来ているのだから、下げるのは当たり前です。消費税は上げたら最後、下げられないということはなく、実際に海外では下げています。イギリスのように財務省令だけで、上げたり下げたりできる国もあります。いままでの既得権益にしがみつく自由民主党をなかから変えるためにも、打ち破らないといけないのです。我々の議員グループはいま54人に達しているのですが、略称を「護る会」と言います。執行部会という7人の集まりと、それを受けての総会との立て付けになっています。執行部会で3回、水面化の議論を含め揉んで出して来た議員立法案なのです。地価税という税金はご存知ですか?
地価税を成功例として、消費税に適応すればいい
飯田)バブル期に地価を冷やすためにつくった。でもバブルが終わってしまった。
青山)地価税や特別土地保有税があるけれど、地価税を例に挙げると、おっしゃる通り、バブルを冷やすために地価に税金をかけましょうと、土地の価値に税金をかけようとしたら、バブルが崩壊してしまった。そこで、地価税という法律は当分、執行を停止するということになっているのです。法的にされているのですが、これは成功例なのです。
飯田)それがいま30年続いている。
青山)30年続くというのがよかれ悪しかれ、日本的な成功例と言えるのです。つまりバブルがまた来たら、また地価税を取れるのです。それを消費税に適応すればいいだけの話です。そうすると、消費税法があっても、別途の法律をつくって、「その法律があるにも関わらず、当分の間、消費税を取るのをやめます」と言えばそれはできるのです。消費減税こそが武漢熱後の経済復活の鍵となるのです。
消費税を目的税にしてしまった
青山)安倍総理にとっても、「リーマンショック級のことがあれば、消費税について考え直す」と言った国民との約束を果たすことになるのです。総理ご自身にはやる気はあります。これは私の責任で申し上げますが、総理もその責任を自覚しておられます。総理が気にされているのは、消費税を目的税にしてしまったということです。私は前から間違いだと言っているのですが、現実に社会保障の財源、教育無償化の財源になっていて、消費税の税収を活用して社会保障をやります、教育の無償化をやりますという主旨のことが、いろいろな法律に書いてあるので、これも全部変えなければいけない。
ポストコロナの経済におけるキーワードは「消費減」
青山)これは私の受け止めとして申しますが、総理としては、来年(2021年)の通常国会でできないかというお考えをお持ちのようなので、「遅いです」と申し上げています。消費減税の考え方だけでも、早く出さなければならない。緊急事態宣言はおそらく月内に全面解除になります。そのときに、本当にお客さんが戻って来るのかということを、商売をしているみなさんが心配されています。個人消費を回復するかどうか、そのキーワードが消費税であることは間違いないのです。
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