ニッポン放送「週刊 なるほど!ニッポン」(5月31日放送)では、「和歌山県白浜町から全国へ!『紀州いぐさプロジェクト』が立ち上げたブランド『inoca』とは?」というトピックスを紹介した。
和歌山県白浜町で、紀州産のい草をPRする「紀州いぐさプロジェクト」。このプロジェクトでは「inoca(イノカ)」というライフスタイル・ブランドを立ち上げ、「inoca SETTA(イノカセッタ)」というアイテムも販売している。
「紀州いぐさプロジェクト」を立ち上げた「井戸畳店」の代表・井戸宏和さんに、立川晴の輔が話を伺った。
晴の輔:「inoca SETTA」とは、どのようなアイテムなのですか?
井戸:和歌山県南紀白浜で、私ども「井戸畳店」が一から育てた「い草」を使い、奈良県三郷町の雪駄職人さん達に仕上げていただいている商品になります。夏も本当にさらっとしますし、白癬菌・水虫を抑制する効果もありますので、夏の履き物にぴったりです。
晴の輔:バリエーションがあるのでしょうか?
井戸:カラーバリエーションは、48種類を取り揃えております。鼻緒に12色、裏に4色。これの掛け合わせで、48色の限定生産でございます。
晴の輔:自分の好みに近いものが選べる。ブランド名の「inoca」には、どのような意味があるのですか?
井戸:「inoca」は、『い草の香りを暮らしに』がコンセプトです。
晴の輔:なるほど、い草の香りで「inoca」なのですね。い草の香りには、人をリラックスさせる効果があるのですよね。
井戸:畳には、空気を浄化したり、湿度を調整する効果などがあると言われています。
晴の輔:井戸さんが「紀州いぐさプロジェクト」を立ち上げたのですか?
井戸:私たちは畳屋なので、原料の「い草」を自分たちで育ててみようということから始めました。
晴の輔:きっかけは何だったのでしょうか?
井戸:い草の主産地は熊本県です。最盛期には2万軒ほどあったと言われている農家さんが、いまは400軒を切っており、い草栽培を辞めている現状があります。日本古来の敷物である畳の原料供給が、日本国内でできないということを危惧しました。
晴の輔:和歌山県は「い草」の産地ではないですよね。そこであえて栽培からやるということは、それを守りたいという気持ちからですか?
井戸:多くの畳屋さんがそれぞれに頑張って、「畳を守る」気持ちで商売に励んでいただけたらと思っております。
晴の輔:日本では畳があるのが当たり前ではないですか。それに、畳が新しいと気持ちがいいですよね。雪駄以外に販売するアイテムはあるのですか?
井戸:カードケースとして、「inoca CASE(イノカケース)」を予定しております。
晴の輔:いいですね! どちらで購入できるのですか?
井戸:6月15日から、inocaのオンラインストアで購入できます。
晴の輔:い草の栽培ですが、最初から上手く行ったのですか?
井戸:まるで上手く行きませんでした。い草は1年に1度収穫する農産物で、ダメだとまた最初からスタートしなければならないため、非常に苦労しました。
晴の輔:素人的なイメージですと、「どこかで生えて来るのかな?」と勝手に思っておりました。商品になる「い草」を育てるのは、相当に難しいのでしょうね。
井戸:自分たちだけでスタートしたのではなく、以前から取引させていただいている熊本の農家さんに指導をいただきました。「やれるものならやってみなさい。そして、覚悟しておやりなさい!」と言われました。
晴の輔:い草と言えば、すぐに「畳」が思い浮かびます。い草の魅力とは?
井戸:「畳」は、日本人の気質やものの考え方などに関係しています。例えば、柔道、茶道、華道のように「道」が付くものには「畳」が使われています。「畳」をしっかりと後世に残して行くことが、日本人の文化、価値感を伝えることにもつながると考えております。