九州南部の豪雨災害~手の打ちようのない想定外の氾濫
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月6日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。九州南部を襲った豪雨災害について、現地取材を交えて現状を解説した。
九州南部の豪雨災害、死者22名
熊本県・鹿児島県を襲った豪雨災害で熊本県南部の球磨川が氾濫し、広範囲で冠水被害や土砂災害が発生した。死者はこれまでに22人。18人が心肺停止状態、11人が行方不明となっている。九州では7日にかけて再び大雨になる恐れがあり、気象庁が警戒を呼び掛けている。
飯田)まずは現状の天気ですが、日本気象協会の佐々木さんに伺います。現場九州のいまのお天気ですが、この先はどうなって行くのでしょうか?
鹿児島県の鹿屋市では観測史上1位の値を更新
佐々木)九州では、昼ごろにかけて非常に激しい雨が降る状態が続きます。この時間も九州南部を中心に発達した雨雲がかかり続けていて、午前6時20分までの1時間に、鹿児島県鹿屋市では108ミリの猛烈な雨を観測しています。これは観測史上1位の値を更新するものです。その他、四国から東海地方でも雨脚が強まっていて、静岡県では1時間に30ミリ以上の激しい雨が降っているところがあります。関東でも神奈川県などで雨脚が強まっている状況です。
須田)全国的にかなり激しい雨、前線が来ているというようなイメージでいいですか?
佐々木)そうですね。梅雨前線が本州付近に停滞しているのですけれども、この後、ゆっくりと北上する見込みで、雨の範囲が太平洋側から日本海側にも広がって来る見通しです。
飯田)いままで降っていたところは、少しの雨でもいろいろな災害が起こる可能性があるということですか?
佐々木)特に九州ですけれども、降り続く大雨の影響で、極めて危険な状態となっています。土砂災害、川の氾濫や増水には、この後も引き続き厳重な警戒が必要です。
飯田)土のなかに含んでいる水の量が、相当多くなっているようですね。
佐々木)九州では特に、広い範囲で土砂災害の危険が高まっていますので、少しの雨でも警戒が必要となります。
飯田)この先の見通しですが、いつごろまでこの雨は続きそうですか?
佐々木)まず九州にかけてですが、6日いっぱいは危険な状態が続きまして、梅雨前線は8日にかけて活発な状態が続きますので、この後も発達した雨雲が次々にかかり、局地的に猛烈な雨が降る恐れがあります。今後も気象状況には警戒が必要です。
飯田)なるほど、ありがとうございました。日本気象協会の佐々木さんに伺いました。この後、8日ごろまでは梅雨前線の活発な活動が続くということです。
須田)もともと、この地域を流れる球磨川は、暴れ川として知られている川ですけれどね。
人吉市現地避難所の様子~新型コロナ感染の対策も
飯田)続いては現状を、現地の熊本県人吉市で取材している、ニッポン放送報道部の藤原記者に聞きます。
藤原)災害発生から3日目の朝を迎えた人吉市ですが、一面鼠色の空のなか、いまも地面を叩きつける強い雨が降り続いております。いま私は人吉市で最大の避難所で、人吉市役所の隣にある人吉スポーツパレスというところにいるのですが、こちらの避難所にはおよそ800人の方々が身を寄せていて、いまは雨の様子を伺ったり、一定の距離を保って新聞やテレビで災害の最新情報を確認したりしています。こちらに避難された方々は、今回の豪雨災害は当然なのですが、新型コロナへの感染なども非常に心配されていました。5日にお話を伺いましたので、それをお聞きください。
被災者1)そうですね、地獄でしょうね。どこから手を付けていいかわかりませんから。ヘドロが深いところで30センチくらいありますものね。
藤原)(避難所では)3メートルくらいの感覚は空いていますけれど、これについてはどうですか?
被災者1)それでいいのではないですか。3密を避けるということで。
被災者2)もう家が全部水没ですね。まったくゼロになったので、果たしてどうしてやって行こうかなという。
藤原)猫ちゃんが一緒に避難できてよかったですね。
被災者3)はい。私の家は平屋なので、大水が出たら逃げるところがないから連れて来ないと。
飯田)「地獄でした」というコメントには驚きました。避難所では間を開けて、工夫しながらやっているという感じですか?
藤原)そうですね。生活スペースとなっている会場では、卓球のフェンスを使って、隣との間隔を3メートルほど開けたパーティションを設置し、体の不自由な方や体調が優れない方などへの配慮として、別の部屋や会場を用意しています。また、避難所に来る方の定員を通常の半分にして、施設に入る際は必ず体温を測り、マスクや除菌シートを配るという徹底した感染予防が取られています。
想像を絶する範疇の氾濫だった
須田)今回の球磨川は、過去に度々氾濫を起こして来たわけですけれども、ダムに寄らない水位対策を進めて来た。これについて、何か地元からの声は上がっているのでしょうか?
藤原)前回の災害が起きたときから、堤防などの対策は取っていたらしいのですが、今回は想像を絶する氾濫だったので手の打ちようがなかったという声も聞かれました。
飯田)一瞬の出来事だったという報道もありましたものね。藤原さん、ありがとうございました。球磨地方はいまも大雨洪水警報が出ています。熊本県はそれ以外にも天草・芦北地方、八代の辺りも大雨洪水警報が発令されています。
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