迷走する「Go Toキャンペーン」~修復するためには何が必要か
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月21日放送)にジャーナリストの有本香が出演。混乱が続く政府のGo Toキャンペーンについて解説した。
Go Toキャンペーンの東京発着のキャンセル料補償へ
政府は、22日からスタートする観光支援事業「Go To トラベル」の対象から除外した東京都発着の旅行について、キャンセル料を補償する方針を固めた。
飯田)補償を認める範囲や支給方法を、国土交通省が調整して、21日に赤羽大臣が会見をする予定ということです。
最初にアドバルーンを上げて、その後から「やはりダメ」はダメなやり方
有本)比較の対象がおかしいかも知れませんが、新型コロナウイルスが最初に入って来たときには、危機管理、防疫ということがありました。そのような危機管理のときは、最初に大きく打ち上げて、だんだん縮めて行く。網を大きくかけて、どんどん小さくして行くということは有効なのですが、このようなキャンペーンやプロモーションというのは、最初に大きくアドバルーンを上げておいて、その後から「やはりこれもダメ、あれもダメ」となることがいちばんダメなやり方です。
飯田)みんな期待してしまいます。
有本)これは旅行業界だけではないのだけれども、この秋以降、企業はさらに厳しくなるわけです。そうすると、巷の景気もどんどん悪くなって行く可能性があります。そのときに、何が大事かというと、気持ちを必要以上に萎ませないということです。もちろん、仕事やビジネスを失う人もいますが、そこそこ普通に生きていますよ、という人がいるではないですか。このようなキャンペーンをしてしまうと、その人たちのマインドも縮小してしまうことになります。
感染の抑え込みに成功した台湾との違い~すべての感染者を追うことができている台湾
有本)私はどうしてこうなってしまうのかをいろいろ考えているのですが、最初の危機管理の段階から、方針や哲学が見えないことが問題だと思います。どういうことかと言いますと、台湾はいま、皆さん国内旅行をしています。
飯田)もうすでに。
有本)完全に抑え込んでいるからです。
飯田)コロナを。
有本)抑え込むことができた要因として、中国人を入れていなかったということがあります。
飯田)いち早く止めました。
有本)それと、幸か不幸か、去年(2019年)から中国が台湾への旅行者を、意地悪で止めていたということがあります。これが功を奏したのですが、そういうこととは別に、すべての感染者を追えているということが、いちばんのポイントです。感染経路がほぼすべてわかっているということです。今後も、また出たら、同じように徹底して追いかけて潰して行くということができるけれども、日本の場合、「フワッと収まって来たな」という感じでしかありませんでした。感染経路を徹底して追うかというと、そういうわけでもない。これが問題なのです。ですから、先ほど(21日)発表になっていましたが、8月1日から大規模イベントで5000人という上限制限を緩和するのを、やはり、また見直すと言っています。こういうことも悪手です。
飯田)広がると思っていたものが、広がらない。
COCOAを改善し、感染者を追えるシステムを早くつくるべき
有本)1つの対策としては、東京ドームが「東京ドームアラート」というものをやります。東京ドームのような大規模施設であると、自分たちで開発したアプリなどでやるのでしょうけれども、これに近い選択肢をもっと増やすべきだと思います。国が発表したCOCOAがあまり使われていません。使い勝手の点で問題があります。これを改善し、アプリで感染者を追えるという状況をつくる。個人情報をできるだけプロテクトしながら、スマートフォンや携帯などですべて追いかけられるようにする。これらを徹底するということが大事だと思います。そうすれば、国内の人の移動を徐々に広げて行くことができますし、旅行も大勢で大騒ぎすることがなければ勧めることもできます。密を避けること、唾液が飛ぶような状況を避ければいいというポイントを抑えて、なおかつ、どのように動いたかということを追うことができるインフラを、1日でも早くつくるべきだと思います。
飯田)すべてがいま、中途半端な状態で留まってしまった。
有本)中途半端な状況で、さまざまな業界からいろいろなことを言われると、気持ちだけ焦って発表してしまい、後から「あれもやめた、これもやめた」というのはダメだと思います。
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