政治報道の陰に隠れたニュース(2) 次期型Z公開

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「報道部畑中デスクの独り言」(第209回)

ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、9月16日に公開された「フェアレディZ」プロトタイプについて---

「ニッサン パビリオン」で一般公開されたフェアレディZプロトタイプ

前回(第208回)のコラムで、「いくつか“夢”のあるニュースがある」とお伝えしました。政治報道の陰に隠れたニュース、もう1つは自動車です。

経営不振が伝えられている日産自動車ですが、伝統のスポーツカー「フェアレディZ」のプロトタイプが9月16日、オンラインで公開されました。

オンライン公開イベントでは、Zに乗る若いころの内田社長の写真も映し出された(日産公式YouTubeから)

「きょうは日産にとって特別な日」

公開イベントで内田誠社長はノーネクタイで現れ、このクルマに対する思いを語りました。6分近くの“熱弁”でした。

「私自身にとって初めてのクルマ、それがフェアレディZ。最高の相棒になってくれた」

内田社長が購入したZは1993年式のいわゆる「Z32型」、ガンメタリックのTバールーフでマニュアル車、内田社長が乗る当時の写真がバックに映し出されました。

イベントでは開発スタッフによる座談会も開かれた(写真右は田村宏志CPS、中央はデザイン部門トップの田井悟氏)(日産公式YouTubeから)

「事業構造改革のとても重要なモデル」「他がやらぬことをやる、私たちの創業の精神そのもの」「みんなの手に届くスポーツカー」……ニュースの見出しになりそうなフレーズが選りすぐられた感じです。

そして、「Zを次のレベルに引き上げる。新しいZを出す」と、新型Zの投入を明言しました。

イベントではその後、開発スタッフ、オーナーズクラブのユーザーも参加する座談会となり、商品企画の責任者である田村宏志CPS(チーフ・プロダクト・スペシャリスト)からは、身振り手振りで情熱ある言葉が次々と飛び出しました。

フロントから見た部分 ライトはLED センターのグリルがやや大きく感じる

「(マニュアル車の意味について)私の血がそう語った。絶対にマニュアルでなければいけないと思った」

「(Zらしさとは?)一目で見てZとわかること。大事なのはデザイン」

「GT-RとZの影響が大きい世代だった。大人になったらこの会社に入りたいと思った」

「日産にとってZは、お客様のエネルギーによってつくられたアイコン」

「Zは特別なクルマ。いまの時代につくるZに相応しい形をつくらなければならない。きょうはホッとしている」

後ろから見た部分 テールランプは歴代Zのイメージだという

デザイン部門トップの田井悟エグゼクティブ・デザイン・ダイレクターも、次のように語りました。

「Zって次始めるぞというと、『俺もやりたい』というクルマ」

「いい感じの責任感、プレッシャーを感じながらやっていた」

「ランプは要。パッと見ていちばん変わったのがわかりやすいのはランプかも知れない」

特に、LEDを使ったヘッドランプの造形に自信を持っていました。座談会ではクルマを愛する男たちの熱い世界がありました。

横から見た部分 イエローが映える

車両は横浜にある期間限定の「ニッサン パビリオン」で一般公開されました。

滑らかに構成されたスタイルはスポーツカーでありながら、フェアレディ(貴婦人)らしい中性的な魅力を感じます。

歴代のZはグリスレスというイメージがあるのですが、初代S30型はフロントグリルがあり、今回はそれをモチーフとしたようです。しかし、ややグリルが大きいかなと感じました。

室内はメーターがフルデジタルパネルになり、中央の3連メーターも健在です。

マニュアルミッションが確認できる メーターはフルデジタル化 伝統の中央3連メーターも健在だ

今回は主に内外装をアピールするものとなりました。プロトタイプということで、いまのところわかっているスペックは多くありません。

V6ツインターボエンジンと6速マニュアルトランスミッションが組み合わされていること、全長4383mm(現行Z34型標準車より133mm増)、全幅1850mm(同5mm増)、全高1310mm(同5mm減)。

タイヤは前後とも19インチ。寸法はやや膨らんだ感じですが、車両重量、ホイールベースなどは不明です。

順当な新型だと「7代目Z35型」となりますが、クルマの骨格であるプラットフォームの全面改変となるのか、現行型の「ビッグマイナーチェンジ」、もしくはプラットフォームは継続する「スキンチェンジ」となるのかは気になるところです。

日産パビリオンでは”Gノーズ”で知られた初代(S30型) 240Zも展示

いずれにせよ、こうしたスポーツカーを続けることは尊いことだと思います。特にGT-Rとともに歴史ある“二枚看板”のブランドを持っているメーカーは、世界広しと言えど多くはない、こればかりはあのトヨタ自動車でさえも持ちえないものです。

自動車産業はCASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)に象徴される「100年に1度の変革期」にありますが、そうしたところを超えたカッコよさは大事だと思います。

私は小さいころ「スーパーカーブーム」を経験しましたが、そこに出て来たクルマはイタリアを中心とした欧州車ばかり。日本勢はフェアレディZとトヨタ2000GT(ブームのころはすでに生産終了)が気を吐き、誇りに感じたことを思い出しました。

日産本社ギャラリーには歴代Zが展示されていた(写真は初代S30型)

日産は厳しい状況ではありますが、座談会のようにクルマに情熱を持った人々がまだまだいるということを、うれしく感じます。

そして開発スタッフがいみじくも語った、「やりたいと思えるクルマがあること」「大人になったら入りたいと思える会社であること」……それが日産の持つ財産であり、継承して行くべきものだと思います。

Zはこのプロトタイプを基に、市販モデルを来年(2021年)中にも発売するということです。内田社長は「みんなの手に届くスポーツカー」と話していました。

日産本社ギャラリーでは歴代Zのミニカーも一堂に展示

ゴーン体制のなかで復活した5代目Z33型は、基準車が300万円から始まり、喝采を浴びました。どのような価格設定になるか注目です。

ただ、先に発表された「アリア」「Z」とも、決して台数を稼ぐクルマではありません。日産が復活を期すには、やはり量販車種の刷新が待たれるところです。

そして「アリア」発表のときにもお伝えしましたが、新型コロナウイルス感染拡大のなか、1年後の自動車市場がどうなっているのか、そして日産自身がどうなっているのか。ファンならずとも見守って行くことになります。(了)

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