岸防衛大臣が横田基地へ行った「本当の目的」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月9日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。岸防衛大臣が10月8日、在日アメリカ軍のシュナイダー司令官と会談したニュースについて解説した。
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会談後、腕でタッチを交わす岸防衛相(左)と在日米軍のシュナイダー司令官=2020年10月8日午前、米軍横田基地 写真提供:共同通信社
在日米軍のシュナイダー司令官と会談
岸防衛大臣は10月8日、在日アメリカ軍のシュナイダー司令官と横田基地で会談し、東シナ海や南シナ海で海洋進出を強め、軍事的影響力を拡大する中国の活動について懸念を共有した。また、北朝鮮による弾道ミサイル開発に関しても連携を確認した。
新行市佳アナウンサー)この防衛の観点で、警戒しなくてはいけないポイントについて伺いたいのですが。
宮家)岸大臣がなぜわざわざ横田基地まで行って、格下の在日米軍の司令官に会いに行ったのか、と思う方もいるかも知れませんが、そうではないのです。横田には航空自衛隊の司令部もあります。そこに行ったときに、たまたま在日米軍司令官に会ったということでしょう。岸さんは外務副大臣もやられたし、2008年には防衛大臣政務官をやられています。外交、防衛の両方に非常に詳しい人ですよ。
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米軍横田基地(東京都福生市など)は3日、沖縄県以外に初めて配備された輸送機オスプレイを報道陣に公開した=2018年10月3日、東京・米軍横田基地 写真提供:時事通信
自衛隊の各駐屯地を回るという防衛大臣の仕事
宮家)警戒すべきポイントは、安倍政権の時代と変わらないのですが、まずは東アジアで中国の台頭があって、それが平和的であればいいけれど、そうではないかも知れない。そうなると、場合によっては自衛隊の出番になります。それを考えると、特に東シナ海の尖閣の周り、それから南シナ海、中東までのインド洋も含めてのシーレーンの防衛を考えなくてはならない。このことを本気でやろうとすると、政策的にも忙しくて大変だろうと思います。
新行)中国の脅威ですね。
宮家)それに加えて防衛大臣には非常に重要な役割があります。自衛隊の陸・海・空の20数万いる部隊の司令官なわけですから、訪問すべき部隊がいくらでもあるのです。大変ですが、こうやって各駐屯地にいる隊員を激励して、鼓舞して、使命感を与えて、組織として正常に自衛隊が動くようにする。これは防衛大臣の大変重要な仕事だと思います。新大臣はそれをすでに始めておられるということです。そして、その一環としてたまたま横田にも行かれたということだと思います。
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2020年9月16日、記念撮影~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/16suganaikaku.html)
今後増えて行く防衛大臣の新たな仕事
新行)今後、岸さんはどのようなことをして行くのでしょうか?
宮家)安倍外交というのは、個人的なものというよりも、21世紀に日本が国家としてやらなくてはいけない外交なので、菅内閣でもそれをやって行くことになるでしょう。もちろん戦闘・戦争などないことを祈っていますが、いま東アジアで起きていることは、「グレーゾーン」と言って、戦争ではないけれど、どうも得体の知れないことをやっているのです。そういうことが、これからもっと増えて行くと思います。正規の戦いとは別の、グレーゾーンでの戦いの可能性も十分考えなくてはいけない。そのときにはサイバーや宇宙という新しい分野のことを含めて、やることはいくらでもあります。
新行)防衛1つとっても分野が多様化して来ましたよね。
宮家)しかも、仕事は増えるのに、人は増えず、予算も増えない。日本のいまの財政状況では難しいのですが、ヨーロッパでは、NATOであれば防衛費はGDPの2%が目標です。日本では、まだ1%がどうのこうのと言っているわけですから、本当に増やさなくてはいけない。しかし、他の予算を削るのかとなると、それもなかなか難しい。それもやはり防衛大臣の仕事ではあると思いますね。