『スパイの妻』黒沢清監督 ヴェネチア銀獅子賞に輝いた最高傑作!

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【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第919回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

今回は、10月16日に公開された『スパイの妻』をご紹介します。

『スパイの妻』

戦争という時代のうねりが、夫婦の運命を変えて行く……

第77回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞した、黒沢清監督最新作『スパイの妻』。

本作は、NHKの8Kドラマとして制作されたものを、スクリーンサイズや色調を新たに再編集した<劇場版>。

太平洋戦争開戦間近の日本で時代に翻弄されて行く夫婦の姿を描いた、手に汗握るミステリーエンタテインメントが誕生しました。

『スパイの妻』

『スパイの妻』のあらすじ

1940年。貿易会社を営む福原優作の妻・聡子は、神戸に佇む瀟洒な洋館で、何不自由ない満ち足りた生活を送っていた。

ある日、優作は物資を求めて渡航した満州で、偶然、衝撃的な国家機密を知ることに。

正義のため、事の顛末を世に知らしめようとする優作。そして、反逆者と疑われる夫を信じ、“スパイの妻”と罵られようとも愛する夫とともに生きることを心に誓う聡子。

太平洋戦争開戦間近の日本で、夫婦の運命が時代の荒波に飲まれて行く……。

『スパイの妻』

『スパイの妻』のみどころ

主演は、日本アカデミー賞をはじめ数々の受賞歴を誇る実力派女優・蒼井優。戦時下における困難な状況のもとで変化して行く聡子の心情を細やかに演じており、圧倒的な華と存在感に強く惹きつけられます。

そして夫・優作役には、蒼井優とは『ロマンスドール』に続く夫婦役での共演となる高橋一生。クラシカルなスリーピース・スーツがよく似合い、正義を遂行するためには手段を選ばない聡明なキャラクターを、魅力的に体現しています。

共演には東出昌大、坂東龍汰、恒松祐里、みのすけ、玄理、そして笹野高史と実力派俳優が揃いました。

『スパイの妻』

カンヌ、ベルリンと並ぶ世界三大映画祭のひとつであるヴェネチア国際映画祭において銀獅子賞に輝いたのは、日本映画としては、2003年の北野武監督『座頭市』以来17年ぶりの快挙となります。

黒沢監督いわく「何かに向かっていこうと強い意志で進んでいく2人と、立ちはだかる社会の摩擦や軋轢」をテーマとしている本作は、正義と国家への忠誠、愛情、疑惑、嫉妬が巧みに絡み合い、その妙々たる出来に感嘆するばかり。

近年の黒沢清監督作品のなかでも、最高傑作。これは見逃せません!

『スパイの妻』

<作品情報>

『スパイの妻 劇場版』

2020年10月16日(金)から新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督:黒沢清
脚本:濱口竜介、野原位、黒沢清
音楽:長岡亮介
出演:蒼井優、高橋一生、坂東龍汰、恒松祐里、みのすけ、玄理、東出昌大、笹野高史
(C)2020 NHK, NEP, Incline, C&I
英題:Wife of a Spy
公式サイト https://wos.bitters.co.jp/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/


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