中国が気にする菅外交の今後~中国王毅外相が来日
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月23日放送)に外交評論家・内閣官房参与の宮家邦彦が出演。中国の王毅外相の来日に向け、日中両政府が調整に入ったというニュースについて解説した。
中国の王毅外相、11月にも来日へ
日中両政府は中国の王毅国務委員兼外相の早期来日に向けた調整に入った。共同通信によると、これは複数の日本政府関係者が明らかにしたもので、11月を軸に検討を本格化させるということだ。王氏は菅総理や茂木外務大臣らと相次いで会談する方向で、新型コロナウイルス感染症で停滞している人的往来の拡大を睨んで、意思疎通を図るものと見られている。
飯田)もともとは、10月に来日するのではないかと言われていました。
宮家)それはそうですね。クアッド、すなわち日米豪印の外相レベルの会合があったので、その前に来て、日本をマッサージして少しでも厳しさを和らげたかったのかも知れません。ですが、日本としては、「新しい政権もできたばかりですから、少し待ってください」と。そこで、この時期に来るということです。今は拒否する理由はありませんから。王毅さんや中国側からすれば、自分たちを包囲しようとする、いろいろな嫌な外交的な動きがあるから、それに対してある程度くさびを打ち込んでおきたいということでしょう。
アメリカとの関係悪化のなか、日本との関係をよくしたい中国~日本通の王毅外相
飯田)中国はアメリカとの間で角をつきあわせている状況のなかで、どこかに風穴を開けたい。王毅さんはヨーロッパにも、ASEANにも行っています。ヨーロッパに行ったときには「失敗だった」とフランスのメディアに書かれました。
宮家)中国はアメリカとあれだけ喧嘩しているのですから、もう少し低姿勢というか、妥協すべきは妥協する努力をしなくてはいけないと思います。しかし、アメリカだけではなく、オーストラリアとも喧嘩して、尖閣には船がやって来て、東南アジアではやりたい放題やって、インドとも喧嘩しているわけです。
飯田)カシミールで。
宮家)ああいうことをやれば、誰が外相でも、中国の立場を弁護することは難しいですよね。お気の毒とは思いますが。
飯田)王毅さんはもともと日本通だということです。
宮家)テニスもうまく、日本語も上手なジェントルマンです。日本のことも詳しいです。しかし、一時期、中国と日本の関係が悪くなったとき、日本のことに詳しい専門家だということが、党内では逆にハンディキャップになったかも知れないですね。「あいつは日本に近いのではないか」と。そうすると、100%どころか、200%日本に厳しくならなくてはいけなくなるということは中国ではよくあることです。ですから、立場上は非常に難しいと思います。
新中国大使の垂秀夫氏
飯田)他方、その日中関係で言うと、新しい中国大使に垂秀夫さんが任命されました。
宮家)非常に優秀で、いろいろな情報を取って来る立派な人ですよ。
飯田)一方で事実上の追放のような感じにも。2度ほどですか。
宮家)しかし、それは勲章だと思います。外国に行っても、外交官だから、もちろん非合法活動はしません。スパイではないですからね。でも、いろいろなところに食い込んで、合法活動ギリギリで相手国が嫌だと思う情報をバンバン取って来ることは、外交官として当たり前ですよ。
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