再びロックダウンが相次ぐ欧州~「EU解体」へ向かう可能性も
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月2日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。イングランドで2度目のロックダウンが11月5日から4週間行われるというニュースについて解説した。
イングランド、5日からロックダウン
イギリスのボリス・ジョンソン首相は、新型コロナウイルス感染再拡大を受けて、イングランドで11月5日~12月2日の4週間、2度目のロックダウンを開始すると発表した。バーやレストラン、ジムなど、社会生活の維持に必要不可欠でない店舗が5日から閉鎖される。
飯田)対象はイングランドのみということで、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドは適用されないということです。ヨーロッパではまたコロナが猛威を振るっていますね。
ロックダウンという最終手段を取らざるを得ない状況の欧州
須田)医療体制、医療支援体制が危機的な状況に陥っています。フランスでは、集中治療室の半分が新型コロナウイルス患者で埋まってしまっています。これを放置すると、救える命が救えなくなってしまうということで、やむにやまれず、ということなのだろうと思います。これからワクチンや特効薬などが出るまでは、医療体制を睨みながら、このようなロックダウン、都市封鎖という手段を取ることも何度かあるのではないでしょうか。なかなかこの新型コロナウイルスは弱毒化しないのですよ。死者の数も増えていますので、ロックダウンという最終手段を取らざるを得なかったのだと思います。
飯田)この医療体制との見合いというところで、ヨーロッパでの、厚くない「平時の備え」が露呈してしまったわけですか?
新型コロナウイルス対策で見えない「EUの存在」~各国でバラバラの対応
須田)もう少し大きな見方をすると、今回の新型コロナウイルス対策で「EUの存在」が見えていないのです。
飯田)確かにそうですね。
須田)財政的には個別の国で成り立って、金融や税制についてはEU全体で考えて行くというところなのですが、そこを個別の国でやらざるを得ないという「負の側面」が出てしまっています。EU各国でバラバラの対応になっている。それは、医療体制や医療保険制度を国ごとで個別にやって来たので、このようなことになっているのではないでしょうか。
飯田)なるほど。一方で、国境に関してはほとんどフリーで、EUを1つとして対応するという形になっていたのが、国境の壁を上げなければいけない状況になっています。しかし、それがうまく行かずに感染が拡大しているようです。
須田)人の移動の自由というのは、「シェンゲン協定」と言って、EUの精神の骨格なのです。新型コロナウイルス対策だからということで、それを制限するということが、EUの精神として許容していいのかどうか、その辺の明確な説明がされていません。逆に言えば、場合によっては、EU解体の方向へ向かうのかも知れません。
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