【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第943回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、11月27日公開の『真・鮫島事件』をご紹介します。
観たら最期!? 鮫島事件の本当の恐怖とは……
“鮫島事件”とは、平成ネット史最大の闇と言われる都市伝説。
「2ちゃんねる」を中心に広がったとされるその事件は、いまなおSNSなどで語り続けられており、「事件の内容を知ると死んでしまう」ということから、誰も真実を知らず、噂だけが伝播しています。
そんな“鮫島事件”を原案にしたパニック・オリジナルホラー映画『真・鮫島事件』が誕生しました。
『真・鮫島事件』のあらすじ
高校時代の同級生と、毎年恒例の部活飲み会を開催する佐々木菜奈。しかし今年(2020年)は新型コロナウイルスの影響で、みんなで集合することは叶わず、リモートでの飲み会となった。
ところが開始時刻になっても、仲間の1人であるあゆみが、参加して来ない。何の連絡もなく、メンバーは不審に思うばかり。すると、追水裕貴と山田鈴が重い口を開く。
20年以上前に流行った“鮫島事件”という都市伝説があり、その事件の真相に触れたものは、必ず呪われて死ぬとされていること。そして何と、あゆみ、裕貴、鈴の3人は“鮫島事件”に関わる廃墟を訪れていたということ。
果たして、“鮫島事件の呪い”は実在するのか。パニックに陥る菜奈たちに、想像を絶する恐怖が襲いかかる……。
『真・鮫島事件』の見どころ
主演を務めるのは、若手女優として注目を集めている武田玲奈。また共演には小西桜子や濱正悟、林カラス、鶴見萌(虹のコンキスタドール)、しゅはまはるみ、佐野岳というフレッシュな顔ぶれが揃いました。
リモート飲み会や外出自粛、マスク着用など、本作が映し出しているのは、コロナ禍の“いま”。
得体の知れない呪いに巻き込まれて行くという劇中で描かれている恐怖は、目に見えないウイルスと対峙する私たちの日常と重なり、不気味な臨場感が全編に漂っています。
永江二朗監督によると、緊急事態宣言の最中から本作の準備を開始。緊急事態宣言が明けると同時に、一気に制作に取りかかったとのこと。
「新型コロナに影響されることなく、1本の映画として楽しめるものをお客さんに届けたい」
その言葉どおり、コロナ禍を逆手に取った発想と、残虐描写に頼らない恐怖描写の連続で、観る者を震撼させる本作。制作手法においても、スタッフやキャストができるだけ顔を合わせずに遠隔で撮影して行く、いわゆる“リモート映画”の要素を持ちながら、一時期ネット上で多数見かけたそれとは一線を画すエンターテインメント性の高い作品に仕上がっています。
その完成度の高さには、清水崇監督に中村義洋監督、鶴田法男監督という“ホラー映画の巨匠”たちも大絶賛。コロナ禍の日本映画界において、風穴を開ける映画となったと言っても過言ではないでしょう。
そんな画期的な本作ですが、映画のお披露目となる完成披露イベントも一風変わったものとなりました。会場となったのは、何とドライブインシアター。
イオンモールむさし村山の駐車場には巨大なスクリーンが設置され、そのスクリーン前の特設ステージに主演・武田玲奈さん、佐野岳さん、永江二朗監督がレッドカーペットを経て登壇し、舞台挨拶を行いました。
“密”にならずに映画を楽しめる場として、改めて注目を集めているドライブインシアター。イオンシネマではこれまでにもドライブインシアターを開催して来ましたが、新作映画の完成披露舞台挨拶をドライブインシアターで行うのは初めてとのこと。
当日の会場となったイオンモールむさし村山の駐車場には、約50台の観客の乗用車が集結。拍手や歓声のかわりに、ヘッドライトで登壇者を歓迎し、その光のシャワーに、キャストのお二方と監督は大興奮でした。
今回のこの完成披露イベントで私は司会を務めましたが、このようなスタイルでの舞台挨拶はもちろん初めて。ソーシャルディスタンスを保ちながらもお客様との一体感を味わえる、まさに“ウィズコロナ”なイベントとなりました。
コロナ禍にエンターテインメント業界に振りかかる逆境を跳ね除け、見事に“共存”した、まったく新しいタイプのホラー映画。
絶対に語ってはいけないとされる最恐ネット都市伝説、“鮫島事件”とは一体、何? 想像を絶する恐怖を、是非、スクリーンで味わって。
<作品情報>
『真・鮫島事件』
2020年11月27日(金)から全国ロードショー
監督・脚本:永江二朗
主題歌:『ツグム。』 清水理子 (虹のコンキスタドール)
出演:武田玲奈、小西桜子、濱正悟、林カラス、鶴見萌、山形啓将、水島里菜、佐藤仁、しゅはまはるみ、佐野岳
製作:有馬一昭、村上潔
プロデューサー:伊藤修嗣、上野境介、木俣誠
撮影・照明:今井哲郎(JSC)
録音・整音:指宿隆次
編集・合成:鳥居康剛
スタイリスト:網野正和
ヘアメイク:平野仁美
特殊メイク:千葉美生、遠藤斗貴彦
サウンドエディター:花谷伸也
フォーリーアーティスト:田久保貴昭
選曲:加藤博紀、久本幸奈
助監督:坂野崇博
キャスティング:北田希利子
ラインプロデューサー:酒井明
メイキング:岩井雅治
スチール:中居挙子
宣伝プロデューサー:渋谷昌彦
製作幹事:イオンエンターテイメント/キャンター
制作プロダクション:キャンター
配給:イオンエンターテイメント
(C)2020「真・鮫島事件」製作委員会
公式サイト https://samejimajiken-movie.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/