ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月11日放送)に国民民主党代表、衆議院議員の玉木雄一郎が出演。政府が閣議決定した73兆6000億円の追加経済対策について解説した。
財政支出は40兆円~身が小さくて衣が大きなエビの天ぷら
政府は12月8日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた追加の経済対策を閣議決定した。財政支出は40兆円、事業規模は73兆6000億円となっている。
飯田)見出しを見ると大きな数字が並びますが、いかがでしょう。
玉木)これは一言で言うと第1次も第2次もそうなのですが、エビの天ぷらで言うと、エビが小さくて衣がとても大きいということですね。エビの部分というのは、ダイレクトに個人や企業にお金が行って即効性のあるもの。衣の部分というのは、3年後や5年後に効いて来るとか、お金を出すけれども貸付金で返すものとか、民間の事業費というものです。「民間でこれくらい合わせてお金が回ります」ということも含めた概念なので、財政支出は40兆円くらいです。これは政府も認めています。
飯田)そうですね。
40兆円の財政支出のなかでコロナ対策には「4兆円」~執行されるのは2021年2月
玉木)40兆のなかでも、8兆円くらいが「財政投融資」と言って、国の貸付や出資なので、それを除くと32兆円。さらにそのなかで、使い道は決まっていないけれど、とりあえず積んでおくという予備費が10兆円あります。だから、「20兆強」というのが大体の相場です。おそらく第3次補正予算案も20兆くらいの規模だと思います。問題はそのなかなのですが、いまは何と言っても急ぐのは感染拡大防止ですよね。それに使われる予算はその20兆のうち4兆円です。
飯田)4兆円だけですか。
玉木)ええ。残りの約15兆円は何に使われるかと言うと、国土強靭化、公共事業と、将来コロナが収まったあとに、「こういう社会になります」というものです。例えば2050年、いまから30年後にカーボンニュートラル、脱炭素社会にしましょうとか、そういう未来向けのものが実はいちばん多くて、十数兆入っています。だから、少し心配なのは73.6兆でしょう。しかし、そのうち当面のコロナ対策に使われるのは4兆円なのです。しかも、これは第3次補正予算案ですから、早く成立しても来年(2021年)1月中旬です。執行は2月ですよ。4兆円さえ使われ始めるのは来年2月からなのです。
飯田)効いて来るのは2月なかばか3月にようやくという感じですよね。
余っている2次補正の予備費の使い道
玉木)2次補正で10兆円の予備費を積んでありました。それは医療関係者に行くのかと思ったら、「Go To トラベルの延長に3000億」ということです。しかし、いまGo To トラベルをやめるという話をしているのではないのかと。だから、メニューとしては、それぞれ悪くないのですが、優先順位とタイミングが間違い過ぎています。
飯田)あの予備費は7兆ほど余っているはずですよね。
玉木)次の予算の財源に回すのではないですかね。
飯田)このまま行くと使い残しますよね。それこそいま「医療崩壊だ」と言われていますが、病床の整備や検査の拡充など、使い道はなかったのですか?
玉木)コロナの患者を受け入れて、真面目にやればやるほど経営が悪化してボーナスを削らなくてはいけないという、そういう看護師さんや医療従事者や介護の現場にいる人に、国が代わってボーナスを払ってあげればいいのです。
飯田)慰労金が出ましたが、あれ1度きりでしたよね。
もう1度定額給付金を出すべき~低所得者には20万円
玉木)1度きりです。10万円の定額給付ももう1度やったらいいのですよ。定額給付金は3月9日に私がいちばん最初に提案しましたから。
飯田)そうでしたね。
玉木)公明党さんの手柄のようになっていますが、最初は反対していましたからね。今回もう1度10万円の定額給付をやれば、大体10兆円から13兆円です。今回は年金受給者はコロナで収入が減っているわけではないので、そこを外せば、その財源でより所得の少ない人にもう10万円を乗せて20万円給付することができます。低所得者には20万円、後の人にはもう1回10万円、ということが10兆円あればできるのです。よくわからない3年後や5年後に使うお金を積み増すのではなく、いますぐ必要なところに10万円をもう1回配る。低所得者にはもう10万円上乗せして20万円配る。これをやれば菅政権の支持率も上がると思うのですが。
より法人税的な性格に変わっている「消費税」~期間限定でできるのでやるべき
飯田)消費税も、春先から夏くらいには下げるべきだと。あのシブチンのドイツでさえ下げているというところで。
玉木)そうなのですよ。あのケチなドイツがやったのですよ。
飯田)今回の与党の税制改正大綱などでも、まったく話が出なかったではないですか。これはどうなっているのでしょうか?
玉木)細かい「租税特別措置を延長する」ということなど、国民は聞きたくないのですよ。政府のメッセージとして、「いま家計消費が落ち込んでいるから、半年でも1年でも消費税を半分や0にします」というメッセージを出したら、みんな安心するのです。実は消費税減税は消費者が助かるのと同時に、消費税を払うお金がない中小事業者も助かるのです。預かり金の性格だと言いながら、手元にお金があれば、従業員の給料などに回してしまいますから。
飯田)キャッシュフローの一部としてみますよね。元財務省、大蔵の立場だと、やはりこの消費税というのは絶対に手をつけたくない、下げたくないというものなのですか?
玉木)そうなっていますね。ただ、これは少し難しい話をすると、2019年10月1日に8%から10%に上がったではないですか。あのときに少し消費税の性格が変わっているのです。それまで(8%の時代まで)は、例えば10月1日に8%に上がったら、前の夜に値札をすべて8%に変えなくてはいけなかったのですが、10%になったときに「いつ販売価格を上げるか」というのはタイミングも含めて事業者に委ねられるようになったのです。1対1対応はもう切れているのです。しかし、「その代わりに各事業者は10%分の税金を納めてくださいよ」と。ある種、第2法人税のようになっているのです。だから、価格の設定については柔軟になっているのです。多少上げ下げしやすい税制に、より法人税的な性格に昨年(2019年)から変わっているので、法人税減税は景気が悪くなるとやるではないですか。だから、消費税の減税も期間限定でやれるようになったし、やるべきだと言っているのです。
飯田)そう変わっているのですね。
「本体価格の値札だけでいい」書籍にある特例を延長、拡大すれば現場に迷惑がかからない
玉木)ええ。値札を入れ替えたりするのが困るという話もありますが、総額表示しなくてはいけないという原則があるけれど、特例で、本体価格だけ表示でいいというのが書籍には認められているのです。この特例も年度末に切れるのですが、そういう特例を延長するとか、対象を拡大するとかすれば、短期間の税率の変化に対して、現場にあまり迷惑をかけないようにするのも可能なのです。そういうこともセットでやればいいのですよ。みんなはなからできないという頭になっているのですが、私から言わせればできますよ。あとは政治的意思です。
飯田)値札が変わらないということになると、消費者からすれば、ある意味で減税の実感は薄いかも知れませんが、企業が助かる分だけ、給与にも影響が出るということですか?
玉木)そうです。一部益税のようなものが生じるかも知れませんが、それは企業に対する減税だと捉えて、その分従業員に対して支払いをしてもらうなどということに使ってもらえればいいと思います。とにかくあのケチなドイツでも、イギリスでもやって、さらに延長という話もあるので、消費税の減税は重要なコロナ対策、経済対策の1つとしてやるべきです。
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