緊急事態宣言~強制力を持って明確なガイドラインを示すべき
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月7日放送)に慶應義塾大学教授・国際政治学者の細谷雄一が出演。1都3県を対象に再び発令される緊急事態宣言について解説した。
1都3県への緊急事態宣言、7日発令決定へ
政府は1月7日にも新型コロナウイルス対策として、東京都と埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象に再び緊急事態宣言の発令を決定する。期間は1月8日から2月7日までとする方針である。
飯田)「ことここに至れり」という感じですが、いかがですか?
細谷)昨年(2020年)4月のときと比べて、コロナについてはいろいろなことがわかって来ています。いかにして感染拡大を防ぐかということと、経済のダメージをいかに減らすか……。「どうにかこれを両立できないか」とこの1ヵ月、政府官邸は悩んで来たのだと思います。しかし、両立させたいということは、1つ間違えると、どちらも生ぬるい中途半端な対応になってしまう可能性もあります。
飯田)はい。
世界中が模索する「経済を持ちこたえ、感染の拡大を防ぐ」ことの最適な解
細谷)「経済を持ちこたえ、感染の拡大を防ぐ」ということ、これは世界中の国々が悩みながら最適な解を模索しているわけです。そのなかで、日本政府がどのような解を、この2つを組み合わせられるかということが問われていると思います。
強制力のない日本の緊急事態宣言
飯田)そもそもこの新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言は、私権の制限という意味では、強制力がないということは、昨年の4月辺りから言われていました。そこが変わらないままということは、「空気で人を縛るのか」ということも言われます。
細谷)他国と比べて日本の場合は、戦後の民主主義の影響もありまして、人権や個人の権利を制圧することに対する過剰な抵抗があったと思います。保守政権と言われた安倍政権でさえも、この問題に対しては一定程度以上、踏み込めませんでした。ですから政府がこのような緊急事態のときに……軍事的な緊急事態については有事法制で変わりましたが、そうではなく、自然災害や今回のような感染症の場合には、政府がどの程度、強力な措置を取ることができるか、これについて真剣に考えるときがいま来ているのだろうと思います。
明確なガイドラインを一定程度の強制力を持つ形で政府が示せるよう、法律の改正をする必要がある
飯田)有事に平時のままの状態でやれるのかというところと、空気で縛るということになると、どんどんエスカレートしそうで怖いと指摘する人もいますけれども。
細谷)軍事的な有事と非軍事的な有事がありまして、非軍事的な有事に関しては、3.11の東日本大震災でようやく動けたわけです。ですが、それは自然災害で、震災に限られるわけです。感染症に関しては、少しずつ変えては来ているのですが、やはり国民の権利を制限するということには抵抗があるのです。しかし、このような大変な事態のときに、要請だけで国民に動いてもらうということは、国民側もどこまでそれに応えていいのかわからないわけです。いま検討されていますが、明確なガイドラインとして、「何をするのがよくて、何をしてはいけないのか」ということを、一定程度の強制力を持つ形で政府が示せるよう、法律の改正をする必要があると思います。
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