ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月4日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。政府が決定した緊急事態宣言の延長を受け、立憲民主党、共産党、国民民主党の野党3党の国対委員長らが今後の国会対応を協議したというニュースについて、立憲民主党の泉健太政調会長を電話ゲストに招き、解説した。
野党~緊急事態宣言延長で医療現場への支援など、コロナ対策の問題点追及へ
政府が決定した緊急事態宣言の延長を受け、立憲民主党、共産党、国民民主党の野党3党の国対委員長らが2月3日、国会内で会談し、今後の国会対応を協議した。野党側は、「医療現場への支援など、政府による新型コロナウイルス対策は不十分だ」などとして、4日からの衆議院予算委員会で問題点を追及して行く方針だ。
飯田)ここで、立憲民主党の政務調査会長を務めていらっしゃいます泉健太議員にお話を伺って参ります。電話がつながっております。泉さん、おはようございます。
泉)おはようございます。
飯田)新型コロナウイルス対策、緊急事態宣言が延長されましたけれども、3月7日までとなっております。いかがお考えですか?
泉)いまの状況では、やむを得ないと思います。病床の逼迫(ひっぱく)度もまだ高いということだと思います。今後は、支援がきちんと延長されるか、十分であるかということ。そして、いつこの宣言が解除されるのか。宣言が解除されたあとは、どのように患者数をコントロールして行くのか。その辺りが問われると思います。
復職する看護師へのハードルを低くするべき
飯田)追加支援策について、医療現場への支援というのは予算をつけても根詰まりするなど、いろいろな問題点が指摘されています。
泉)いまは人材も不足しています。3日も厚生労働省に確認したのですが、看護師の皆さんの復職についても、久しぶりに職場に戻ろうと思うと、事前の研修や説明が必要なのですが、そういうところには手当てがまったく出ていないのです。
飯田)そうなのですね。
泉)あくまで無料でセミナーを受けられますとか、場合によっては、実習は有料で受けていただきますとか、その辺りのハードルも低くすることが重要ではないかと思います。
政府と異なる立憲民主党の「zeroコロナ戦略」~ワクチン効果も含めて患者数をゼロに近づける
鈴木)枝野さんが党大会で「政権交代」ということを口にしました。私は政策で勝負して政権交代をして欲しいのですが、次の総選挙も絡めて、このコロナで「これだ」という対立軸のようなものを教えて欲しいのですが。
泉)いま枝野代表が特に主張しているのは、「zeroコロナ」という考え方です。これまでの政府の対応は、患者が増えては押さえつけて、一進一退の状況を繰り返して、むしろ経済の疲弊を長期化させてしまっている。私は、今回の緊急事態宣言の延長も解除のタイミングが早過ぎると、夏前に患者数が再拡大する可能性があるのではないか、ということを懸念しています。しっかりとここで対策を打って、支援を十分にして患者数を少なくする。その後はワクチンの効果等々も含めてゼロに近づけて行くという、「zeroコロナ戦略」ということが、政府と大きく違っているところだと思います。そこからさらにカーボンニュートラルなど、新しい時代の政策を、我々立憲民主党が自民党よりも早いスピードで実施するというところで訴えて行きたいと思います。
罰則よりも宿泊療養施設の質を上げるなど、患者を支援する必要がある
飯田)「zeroコロナ」というところに関連して、緊急事態宣言がいま出されていますけれども、去年(2020年)の4~5月も含めて、法律として都道府県知事や政府レベルでできることが限られているという指摘もありました。それが特措法等々の改正にもつながったと思いますが、この辺りで道具立てはできたのですか、それともまだ不十分なところはありますか?
泉)正直に言いまして、今回の特措法は、知事会の皆さまからも要望があったということで、過料、罰則が残ったわけですけれども、実際の運用は極めて難しいと思います。いま保健所の現場も疫学調査をやっていますが、そこで「あなたは協力をしなければ罰金が発生します」ということで無理やり話をしても、なかなかいい関係は築けないと思います。やはり、十分に患者に対する支援をする。例えば、宿泊療養施設も、もう少し質を上げて、入ってゆっくり休みたくなるというくらいの体制をつくるべきだと思います。宿泊療養をすると大変だとか、生活するには、あまりにも辛い環境だとか、そういうことも広まってしまっています。もう少し医療のキャパと宿泊療養のキャパを増やして、皆さまに安心していただくという方向性で、患者の皆さまを支援して行くということが必要だと思います。
予防接種への懸念~「練馬区モデル」において詰めて行かなければならないこと
飯田)今後はワクチンが出て来るということですが、これも国民1人ひとりにどう管理して打つのかということにも、いろいろ懸念が出て来ています。この辺りはいかがですか?
泉)これまでの予防接種台帳では、入力に2~3ヵ月かかるということで、「2回の予防接種の管理がリアルタイムにできないのではないか」という問題があります。一方、海外からの報道で流れていますが、ヨーロッパでは、高齢者の方々の予防接種抑制が進んでいるということです。本当に効果があるかどうかがわからなくなっているという報道もあるので、その辺りで、思った以上に、予防接種は日本国内でも進んで行かないのではないか、ということは懸念しています。
飯田)ワクチンに対して希望されている方も多いところではありますが、その辺りはきちんと詰めて行かないと、まだ懸念は多いですか?
泉)「練馬区モデル」が取り沙汰されています。大きな体育館や公民館で接種をするという集団接種方式に加えて、近くの診療所、クリニックでも打てるというものです。「歩いて行ける距離で予防接種ができる」というモデルを今後やって行こうと思っているのですが、一方ではそこにどうやってワクチンを運ぶのか。また、そのワクチンを無駄なく、品質管理をしながら各診療所で打てるのか等々、まだ課題は多いので、この辺りを詰めて行かなければいけないと思っています。
持続化給付金や雇用調整助成金の延長~納税や社会保険料、融資などのリスケジュール
飯田)経済が相当底打ちされています。再び緊急事態宣言が出て、この1~3月も厳しいのではないかと言われていますが、立憲民主党として、コロナ対策とパッケージとした経済政策というものには、どういうものがありますか?
泉)まずは、緊急事態宣言が延長されるのであれば、「支援も延長である」ということが基本的なスタンスです。これまでのコロナ対策のなかで、評価が高かった支援策がいくつかあります。例えば、持続化給付金、雇用調整助成金。こういうものを半年くらい延ばして、厳しいところは、しっかりと支えてもらえるような体制をつくることが大事だと思います。あとは、これだけ長期化して来ますと、納税や社会保険料、融資など、さまざまな返済期限が迫って来ているものがあります。こういうものを、リスケジュールして、当面は凌いで行かなければいけないのではないかと思います。
飯田)一部で訴えられている、国民1人ひとりへの、もう1回の給付金、また遍(あまね)く人たちに減税したらどうかということについてはどう思われますか?
泉)究極、経済を大きく止めて、国民全員の皆さまに負担がかかるということであれば、一律ということも十分あり得るかなと思っています。昨年(2020年)は、全国に緊急事態宣言が出たということで、全国民に給付ということだったと思うのですが、今回はエリアが限定されているということ。また同じだけの予算があるのであれば、よりいま弱っている方々、例えば、国会議員や公務員は多少給料が削減されたとは言え、基本的には安定しているという状況がありますので、そういう人まで給付ということではなく、いま生活が急変した人。そして事業が急に立ち行かなくなった方々。そういう方々を中心に支援するという、狙いを定めた支援策がより効率的ではないかと思います。
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